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挨拶集


平成31年度入学式式辞


 本日ここに平成31年度入学式を挙行するに当たり、新入生並びに御列席頂きました御父母・御家族・御友人の皆様に対し心より御祝いを申し上げます。
 今年、千葉工業大学は9万2千人を超える志願者を集めました。大変な難関を突破し晴れて千葉工業大学の入学式を迎えられた皆さんの感慨もひとしおだと思います。今日、才気溢れ前途洋々たる皆さんをお迎え出来たことは、千葉工業大学にとりましても大きな慶びであります。
 千葉工業大学は昭和17年に旧制大学として創立されました。日本では国立の東京工業大学に次いで2番目に長い歴史を持つ工業大学です。戦前は官立以外の大学において工学教育を行うことがなかなか認められなかったこともあり、工学部を設置できた私立大学はごく僅かでした。その中でも創立時から大学予科3年・本科3年の教育課程を認められたのは、早稲田大学、慶應義塾大学そして千葉工業大学の3つの大学だけでした。
 昭和の初め、日本の工業技術は欧米先進国のそれと比べ大きな遅れをとっていました。我が国を代表する先進的なエリート・オピニオンリーダーであった東久邇宮稔彦殿下、教育学者の小原國芳先生、森財閥の森曉先生、作家の武者小路実篤先生らが、欧米に負けない優れた工業人材を育成するために創立したのが本学です。京都帝国大学総長であった小西重直先生を初代学長に迎え、磁性物理学の世界的権威である本多光太郎先生、八木アンテナで知られる八木秀次先生らを教授陣として開学した本学には、創立当初から官民挙げて大きな期待が寄せられていました。開学3年目の入学試験には定員の約45倍の受験生が殺到し、当時の若者たちの羨望を集めた大学であったことが窺えます。
 彼らと共に本学の創立に大きく関わった我が国を代表する哲学者である西田幾多郞先生は、本学の設立趣意書に「広く世界に知識を求める好学心を持ち、日本だけではなくアジアを背負い世界文化に尽力する人物を養成する」と書き、建学の趣旨を明らかにしました。この理想は「世界文化に技術で貢献する」という建学の精神として、本学に関係する全ての人々によって今日まで脈々と受け継がれています。人々が未来への確かな指針を待ち望んでいるグローバル化した現代社会において、人のために無私無欲に尽力する心を持ち、自ら育んできた技術で世の中に貢献する人材の育成を目指して来た千葉工業大学の重要性は益々高まり、持続可能な人類の未来を切り拓くための創造性を生み出す源になると考えます。今日入学された皆さんにも、是非、大学の門をくぐった今から、千葉工業大学の建学の精神とその継承の歴史を担ってもらいたいと思います。
 まもなく新しい元号が発表されますが、平成27年9月、ニューヨークの国連本部において193の加盟国首脳が参加して開催された「国連、持続可能な開発サミット」は、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」を全会一致で採択しました。これは、地球上の誰一人として取り残さないことを誓い、持続可能な世界を実現するための、2016年から2030年までの国際目標を定めたものです。そこには、貧困・飢餓・人や国の不平等をなくし、健康で良い暮らし・質の高い教育・安全な水・クリーンなエネルギー・働き甲斐・産業と技術革新の基盤をつくり、つくる責任とつかう責任を持ち、気候変動を食い止め、豊かな海と陸を守り、グローバルなパートナーシップによって平和と公正を全ての人に与えるといった17のゴールと169のターゲットが示されています。ひとことで言いますと、全ての人が幸福を感じられるような世界を実現するために、国や人が取り組むべき行動計画が書かれたものであると私は考えますが、これらを実現するためには、従来とは違った新しい知恵や力を出せる人材が必要です。なぜなら、これらの目標を達成するためには、正解がない問題の解を見出さなければならないからです。
 皆さんは、高等学校までの間に答えのある問題を解くための努力をしてきたと思います。大学の入学試験問題にも必ず正解がありました。しかし、大学生・大学院生になった皆さんは考え方を変えて、答えのない問題に自ら主体的に解を出していく力を身に付けて頂きたいと思います。
 答えのない問題や課題を解決するためには、情報や知識を多面的に組み合わせる必要があります。そのためには、まず基礎的な知識と技能を身に付けなければなりません。入学後直ぐに始まる教養を高める科目では、優れたエンジニアや工学者になるために必要な、専門科目の基礎となる数学・理科や語学の力を身に付け、更に日本社会や国際社会について理解してください。そして、それぞれの学科の専門科目では、講義・演習・実験等を通して、先人が残してくれた多くの優れた知見・設計法の技術等を徹底的に修めてください。
 基礎的な学力は個人の努力で身に付けることが基本ですが、千葉工業大学の教員は、これからの世の中を睨んで、皆さんにどのような力を付けてあげればいいかということを知って指導を行いますので、懸命に授業についていってください。ゼミナールや卒業論文・修士論文等では、身に付いた知識を使って、自ら発見し証明する醍醐味を体験すると共に、学んだ人が集まり、主体的に多様な人々と議論して、更に協働して学び、答えのない問題の解決策をつくり出していく力を身に付けてください。ただし、協働して学ぶということは、わからない人がわかる人から教えてもらうという意味ではありません。あくまで学びの基本は個人です。協働して学ぶとは、答えのない問題を解決するために、それぞれが持つ知識や技能を駆使して解決策を考え・提示し、異なる人と議 論してよりよい解を見出す力を身に付けることです。議論に参加しても、人の話を聞いているだけでは貢献していることにはなりません。
皆さんは、これから長い人生を生きて行きます。今日学部に入学した皆さんの大部分が丁度100歳になる年に22世紀が始まります。国立社会保障・人口問題研究所が平成29年7月に発表した日本の将来推計人口によると、2101年の日本の総人口は約5900万人に半減しますが、100歳以上の人の数は約47万2千人と7倍に増えます。これと過去の国勢調査等の結果から単純に計算すると、今日入学した皆さんの中の440人以上は22世紀をその目で見ることができることになります。皆さんは、まさに自らの手で21世紀を創り、自ら生きて行く世代です。
 私がかつて所属したカレッジの卒業生であり、2009年にノーベル生理学・医学賞を受賞した健康寿命研究の権威であるエリザベス・ブラックバーン博士からつい2週間前にこう教わりました。「百歳以上の人の大半は、自分は幸せである、と言う。ただ、これは長生きをしているから幸せなのではない。自分は幸せだと感じている人が長生きするのだ。」と。皆さん自身が幸福な人生を送るためにも、答えのない様々な問題を解決して、地球上の全ての人が幸福を感じられる、持続可能な開発のための役割を担って行くという気概を、今日からの大学生時代・大学院生時代の学びの目標に置いて勉学に励んで頂ければと思います。
 千葉工業大学に入学された皆さんが充実した大学生活を送られることを願っています。これからの学生生活において自己の可能性を最大限に引き出し新しい課題に果敢にチャレンジされることを心から期待して私の式辞といたします。
千葉工業大学御入学おめでとうございます。

千葉工業大学 学長 小宮一仁

平成31年4月1日 午前10時30分
於 幕張メッセイベントホール

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