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挨拶集


令和元年度千葉工業大学PPA総会挨拶


 学長の小宮でございます。本日は御多用中にも拘らず、千葉工業大学令和元年度PPA総会に御出席賜り誠にありがとうございます。

私は学長就任以来、瀬戸熊理事長の支援、教職員の理解と協力、そしてPPA会員の皆様の多大なる御援助を賜り、全学をあげて教学の改革に取り組んでまいりました。
 ご子息ご息女に関係の深い教育改革には特に力を入れ、学生の身になり学生の力を伸ばす教育を目指し、カリキュラム・履修制度の見直し、学習支援体制やキャリア教育の拡充、大学院進学者の増加、学生の国際交流の機会の増加、そして教員の教育能力や研究指導力を高めるための実践的方法、即ちファカルティ・ディベロップメントの強化等のための新しい取り組みを実行してまいりました。
 これらに全学をあげて努力してまいりました結果、学長就任前には年5.5%と全国の大学の中でも極めて高く問題になっていた退学率は、昨年度は2.5%まで減り全国平均の2.65%を下回るまで改善しました。また、留年を経験することなく入学後4年間で卒業する学生の割合も59.9%から82.6%に増えました。本学が他大学に先駆けて制度化した学生による授業評価の結果を見ましても、当初は5点満点の3.2点だった全授業の総合評価の平均値が、この5年間は連続して4.1点以上と高くなっていることから、ご子息ご息女が興味をもって臨み、力を付けることができる授業が行われているものと考えます。
 研究面では、教員に対し、自分のための研究から教育のための研究へという意識改革を求めました。また、学内の教育研究経費と附属研究所の助成金の配分にメリハリを付けて、より教育力・研究力の向上に効果がある取り組みに重点的に配分する等の制度改革を行いました。その結果、在学中に世界トップクラスの研究成果を生み出す学生も出てきています。
 一昨年には本学の大学院生が開発した光コネクタを使い、光ファイバによる伝送容量の世界記録が達成されました。また昨年は、修士課程の大学院生が筆頭著者として書いた論文が、インパクトファクターが3を超える海外の著名な学術雑誌に4編も掲載されました。多分これは、修士課程の大学院生が2年間で残した研究実績としては日本では最上位ではないかと思われます。
 このように改革の成果は数字として表れてきておりますが、決してこの結果に満足することなく、教育力・研究力を更に向上し、より充実した教育を提供できるように引き続き改革に力を入れてまいります。

 さて、日本にもグローバル化の波は容赦なくそして急速に押し寄せ、グローバル化した社会を生き抜くことができる人材の育成が言われて久しく、早急な対応が求められています。このグローバル人材の育成という観点から、日本と同じアジアの国であるシンガポールの例を少し紹介したいと思います。
 世界銀行がまとめた2017年の、各国の物価を考慮した国民の経済的な豊かさである購買力平価を表すPPP(国民一人当たりのGNI)を見ますと、日本は約500万円で世界22位ですが、シンガポールは日本の2倍の約1000万円で世界第2位となっています。国土が狭く資源を持たないシンガポールは、貿易・金融・重工業・交通等に力を入れ、経済競争力や医療の水準は世界のトップクラスに位置しています。また、人材開発に積極的なことは世界的に知られ、アジアの国では古くから英語教育に非常に力を入れていることでも有名です。以前は小学校において中国語による授業を選択することができましたが、現在は公立の小学校、中学校、高校、大学の全ての授業が英語で行われているそうです。
 そして、強力な英語教育によって子供の英語力が高くなった近年は、それに続く戦略として、多くの優秀な外国人の教員・研究者をシンガポールの大学に専任教員として招き入れ、彼らに英語でシンガポール人の学生の指導をさせることで、シンガポールの大学から国際的に通用するシンガポール人の若者を毎年数万人の規模で輩出しています。
 英国の著名な高等教育雑誌である「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」の世界大学ランキングでは、シンガポール国立大学は2016年から3年連続してアジアの大学の1位となり、また、同じシンガポールにある南洋理工大学も常に世界の上位にあり、日本の東京大学や京都大学に大きく差をつけています。

 古くは産業革命以降、工業国とそこに原材料を提供する国との間に格差が生まれ、先進国と発展途上国が形成されました。しかし、シンガポールのように語学教育や高度な最先端の教育に多くの国が力を入れている現在では、産業革命によって生まれた先進工業国、発展途上国といった序列は消滅する方向に向かっています。そして、情報通信技術という新たな競争によって、技術革新に成功した国・人と、そうでない国・人との間に新たな格差が生まれようとしています。
 グローバル社会とは、国の力や会社の力よりも、個人個人が持っている力が問われる社会です。そういう意味では、工学系の専門分野を学んだ卒業生にとっては、グローバル化された社会は、活躍する場が広がる有利な社会であると思います。情報通信技術を使って、世界中どこにいても高度な仕事ができるようになるからです。企業も、「広く世界に知識を求める好学心を持ち」、新しい時代に新しい価値を生み出す力を持った理工系の人材を求めています。
 このような人材として、高度な教育を受け、時間をかけて研究課題の解決に取り組み、学会発表などの経験を積んだ、大学院修士課程修了者が注目されています。既に日本の大企業においては、技術系の採用枠の多くが修士課程修了者に割り当てられています。日本とアメリカでは、修士課程修了者の平均的な生涯所得が学部卒業者のそれよりも16.5%高く、金額にすると日本では約4800万円も多くなっていることから、各所の主要なポジションには大学院修士課程修了者が多く就いているという研究成果も発表されています。ご子息ご息女には将来、新時代のグローバルリーダーとして活躍して頂きたいと思っていますので、私は多くの学生に学部卒業後は大学院修士課程へ進学することを強く薦めています。是非、御父母の皆様からも御推薦頂きたいとお願い申し上げます。

 千葉工業大学PPAは、日本の大学では最初の御父母と教職員との会として昭和24年11月26日に設立されたと聞いております。以来、御父母と教職員の密接な連絡と協力により、学習・研究環境、課外活動の充実とその援助のために幅広く活動して頂いております。皆様の御援助に心から御礼を申し上げます。
 教育・研究環境を更に向上させ、建学の精神である「世界文化に技術で貢献する」人材の育成を達成するために今まで以上に精進努力する決意でおりますので、引き続き御支援御協力賜りますことをお願い致しまして御挨拶とさせて頂きます。

 本日はご出席賜り、どうもありがとうございます。

千葉工業大学
学長 小宮一仁

令和元年6月29日土曜日
於 習志野文化ホール
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