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挨拶集


平成29年度学位記授与式式辞


 本日、ここに平成29年度学部・大学院学位記授与式を挙行するに当たり、卒業生・大学院修了生並びに御列席の御家族・御友人の皆様に対し心よりお祝いを申し上げます。今日、晴れてこの千葉工業大学を巣立って行かれるのは、学部卒業者1982名、大学院修士課程修了者212名、博士の学位を受けられた方12名、合計2206名に及びます。
 昭和17年に創立された千葉工業大学は、昭和22年の第1回卒業式で初めて卒業生7 名を送り出しました。以来、東京工業大学に次ぎ日本で2番目に長い歴史を有する工業大学として、今年も多数の俊英を世に送り出すことができることは、千葉工業大学で教育を司る者としてこの上ない慶びであります。世界中で国家間・民族間の紛争や自然災害が頻発し、人々がそれらを解決するための新たなビジョンを模索し苦しんでいる状況の中で、多彩で個性に溢れ、時代を変革し新しい社会を生み出す可能性を秘めた皆さんの将来の活躍に私は大きな期待を寄せています。
 千葉工業大学の創立に当たり、我が国を代表する哲学者である西田幾多郞先生は、本学の設立趣意書に、広く世界に知識を求める好学心を持ち、日本だけではなくアジアを背負い世界文化に尽力する人物を養成すると書き、建学の趣旨を明らかにしました。先生が掲げた理想は「世界文化に技術で貢献する」という建学の精神として、今日まで脈々と受け継がれています。
 現代社会はグローバル化の時代と言われています。グローバル化というのは、国を介して物事が動く国際化と同じものではありません。少しお話ししましょう。
 国際化(Internationalization)という言葉は、第二次世界大戦末期の1945年にアメリカ合衆国、ソビエト連邦、イギリスの首脳の間で交わされたヤルタ協定において、日本が租借していた大連港を多国化する、複数の国が利用できるようにすることを表すために使われた「be internationalised」に由来すると言われています。つまり、国際化とは、複数の国同士が相互に結びつきを強め、相互に共同して行動し、互いに経済的、文化的に影響をあたえあうことを示しています。
 これに対して、グローバル化(Globalization)は、国境を含め様々な境界や垣根が取り払われた全地球的な社会の到来を意味します。この考え方は、アメリカの哲学者であるOliver Leslie Reiser とカナダの健筆家Blodwen Davies が、1944 年の著書「世界的な民主主義」(「PLANETARY DEMOCRACY」)において、科学的ヒューマニズムの根本は、グローバリズム(globalism)、即ち地球を一つの共同体と見なして思考することである、と示したことが最初であるとされています。
 国際化とグローバル化という言葉はほぼ同じ時期に世に現れましたが、その後、国際化は急速に進展し、政治・経済・学問・芸術・スポーツ・工業・農業・ビジネス等のどれを見ても、今では複数の国が関わっていないものはないと言っても過言ではありません。しかし、世界は今、大きなターニングポイントに差しかかっています。アジアやアフリカの新興国が競って成長を追い求める中で、これまで世界を動かしてきた先進国中心のシステムや秩序が根底から揺らぎ始めています。さらに、環境破壊、地球温暖化、感染症、食糧、エネルギー、格差問題等の課題はますます深刻になっており、特定の国だけで解決することが不可能なレベルに達しています。今や、全地球が一致団結して持続可能な世界を構築していかなければならなくなりました。そこで、様々な垣根や境界が取り払われた、グローバル社会の実現が求められています。
 科学技術の進歩によって、既にグローバル社会は現実のものになっています。人や物そしてお金が国を超えてダイナミックに動く社会が実現しています。将来は、地球上の全ての人を繋ぐ巨大なネットワークが構築され、様々な営みは世界中の人々を繋いで行われるようになるかも知れません。
 私は、皆さんには、このような世界中の人と人とが繋がったグローバル社会の中で、一つ際立つ点になって、皆さんの周囲や、全世界をも輝かせることができる個性溢れる仕事をして欲しいと思います。国別に色分けされた世界地図の上で、世界中にいる人と人との間を全て直線で結ぶと、無限に近い数の多くの線によって地図上の物は全て塗り消されて、地図は一色の紙になります。線の色が白色ならば、世界地図は一枚の白い紙になるでしょう。白い紙を見ても感動はありません。しかし、この白い紙の真ん中に黒い墨を一滴落とすと、周りの白が際立って感動に変わります。皆さんには、このような仕事をして欲しいと思います。
 千葉工業大学自身も、教職員、学生、卒業生が伝統と実績に基づき築いてきた社会との強力なネットワークを持っています。明日からは、様々なところで、また様々な場面で、皆さんはこのネットワークを実感することになるでしょう。皆さんも同窓生として是非このネットワークに積極的に参加してください。世界中にいる8万5千人を超える同窓生が皆さんを歓迎してくれます。そしてたまには千葉工業大学に帰って元気な顔を見せてください。大学はいつも皆さんを歓迎します。
 どうか志高く精一杯生きてください。皆さんの未来が豊かで実り多いものであることを心からお祈りして私の式辞といたします。
 卒業生・修了生の皆さん、卒業・修了おめでとうございます。

平成30年3月22日
千葉工業大学 学長 小宮 一仁

於 幕張メッセイベントホール
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