グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム > 挨拶集 > 2015年度 > 平成27年度入学式式辞

挨拶集


平成27年度入学式式辞


4月1日 幕張メッセイベントホール
本日、ここに平成27年度入学式を挙行するに当たり、新入生の皆様、並びに御列席頂きました御父母、御家族、御友人の皆様に対し、心より御入学の御祝いを申し上げます。

今年、千葉工業大学は創立以来最多の52,899人の志願者を集めました。平均競争倍率4.9倍という大変な難関を突破し、晴れて千葉工業大学の一員になられ入学式を迎えられた感慨はひとしおだと思います。桜満開の今日、才気あふれ、前途洋々たる皆様をお迎えできたことは、千葉工業大学にとりましても大きな慶びであります。

千葉工業大学は、昭和17年、現在は慶應義塾大学になっている藤原工業大学に次ぎ、日本で2番目の私立工業大学として創立されました。戦前は、政府が国立大学以外に工学部の設置を殆ど認めなかったため、我が国で工学部を設置できた私立大学は僅かでした。その中でも、大学予科3年・本科3年の教育課程を認められたのは、千葉工業大学と藤原工業大学、そして早稲田大学理工学部の3校だけでした。

千葉工業大学の創立に当たり、小原國芳先生は教育の理念を標榜しています。そして小原先生と共に千葉工業大学の創立に尽力した、我が国を代表する哲学者である西田幾多郞先生は、本学の設立趣意書に、燃える愛国心と広く世界に知識を求める好学心とを兼備し、国家のみならずアジアを背負い世界文化に尽力する人物を養成すると書き、建学の趣旨を明らかにしています。この小原先生と西田先生が掲げた理想は、「世界文化に技術で貢献する」という建学の精神として、千葉工業大学に関係する全ての人々が目指し、実行し、今日まで脈々と受け継がれています。

京都帝国大学総長の小西重直先生を初代学長に迎え、磁性物理学の世界的権威である本多光太郎先生らが参加して開学した千葉工業大学ではありましたが、時代は太平洋戦争の真っ直中にあり、戦時下の物資の不足から当時の施設や設備が充実していたとは言い難いものであったと伝えられています。しかし開学3年目の入学試験には定員の約45倍にあたる7200人の受験生が殺到し、官民あげての大きな期待が寄せられ、当時の若者たちの羨望を集めた大学であったことが窺えます。その後、千葉工業大学は時と共に着実に成長を続け、現在では在校生数約1万人を有する、我が国は勿論、世界的に見ても非常に規模の大きな大学になっています。

さて、この場には学部生の皆さんと大学院生の皆さんがいらっしゃいます。学部生の皆さんは、不要な誘惑に負けず、将来のために主体的に自分を鍛えてください。そして4年後には、グローバル社会を生き抜くためのより強靱な知力を身につけるために、是非多くの人に大学院に進学して頂きたいと思います。大学院生の皆さんは、専門性を高め学問と研究を極めるために集ったまさに英知の集団と言えます。専門的な知識や語学力に加えて研究能力を更に高めてください。

今日は、これから千葉工業大学で大学生活を送る皆さんに、学びのヒントをお話ししたいと思います。
皆さんは、物心ついた頃からいろいろなことを考え、思い、意識して、今日を迎えています。皆さんが良いと考えること、悪いと考えること、美しいと感じること、見にくいと感じること、素晴らしいと思うこと、人のためになると思うこと、感じ方は人それぞれであると思いますが、我々人類は五感で物を感じ取り頭で物事を考えて生きています。しかし、皆さんが頭の中で考えていること、思っていることは、残念ながら形のあるものにしない限り、他人に理解してもらうことができません。頭の中にあるイメージを形にして他人に伝える力が技術です。

人は、自分の頭の中にあるものを他人に伝えるために様々な技術を持っています。科学者は、頭で考えた自然界の真理を、数式や文章を使って表現し他人に伝えます。芸術家は、頭に浮かんだ美を、絵画や音楽あるいは舞踊にして他人に伝えます。そして技術者は、頭で考えた人のためになる価値を、製品にして他人に伝えます。いくら頭に浮かんだものが素晴らしいものであっても、それを形にすることができなければ他人には分かってもらえません。だからこそ、頭で考える力・発想する力と同じくらい、他人に伝える技術力・表現力が大切です。

モーツァルトを音楽の天才という人がいます。しかし、天才とは天賦の才能のことを言うので、生まれた瞬間に身に付いているもの、即ち感覚以外にはあり得ません。この意味で、モーツァルトは生まれた時から音感と記憶力に非常に優れた天賦の才能を持っていたと言われています。一瞬にして聞いた音階を聞き分け、記憶する力が卓越していたのです。

彼は、頭の中で記憶した情報を再編し、美しいメロディを創造しました。しかし、これだけでは誰もモーツァルトの音楽を聴くことはできません。彼には、これを譜面に書き演奏する技術があったため、頭の中に芽生えた美しいメロディを他人に伝えることができたのです。モーツァルトを音楽の巨人にしたのは、彼が生まれてから学び、習い、血の滲むような努力をして身に付けた優れた技術力に外なりません。

皆さんが小学校から学習してきた語学や算数・数学、芸術等の科目には、実は皆さんが頭の中でイメージしたものを形にして他人に伝えるための力、技術力・表現力を身に付ける目的もありました。これからの大学生活では、専門的な知識を身に付け、問題を発見する能力、論理的に考え解決する能力を高めることは勿論大切です。これらに加え、自分の考えを他人に伝えるための力、語学力、製作力、造形力、表現力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を徹底的に習得し高めて頂きたいと思います。

本日、千葉工業大学に入学された皆さんが充実した大学生活を送られることを願っています。是非これからの学生生活において、自己の可能性を最大限に引き出し、新しい課題に果敢にチャレンジされることを心から期待して私の式辞といたします。

千葉工業大学御入学、おめでとうございます。
TOP