基本方針は、経費支出について前年度予算比3%のマイナスシーリングとします。
既存の業務は、過去5年程度遡及してその効果の検証や見直しを行い、コスト削減、業務の改善や効率化を踏まえた新たな施策を検討します(スクラップアンドビルド)。
教育の質の向上及び研究の充実に真につながる予算編成を目指します。
学生生徒等納付金以外の外部資金(科学研究費補助金、受託事業収入、特別補助等)獲得にさらに注力します。
※ 合計は、各項目を四捨五入して表記しているため一致しないことがあります。
教育活動収入計は、ほとんどの科目で予算比増となり、175億5,700万円となりました。前年度比では、学生生徒等納付金、経常費等補助金、付随事業収入が増加しています。
教育活動支出計は、予算比3億3,700万円減少し、159億9,900万円となりました。
- a. 人件費
-
人件費は、全ての科目で予算比減となったものの、前年度比では教職員人件費などの増加により1億9,200万円増の76億700万円となっています。
人件費比率は、41.7%で理工系他複数学部を有する私立大学の平均値 (47.6%)に比べ、引き続き良好な水準となっています。
- b. 教育研究経費
-
教育研究経費は、消耗品費、修繕費、委託費、報酬・手数料等で予算に対して少ない執行額となり、予算比2億1,700万円減の66億8,100万円となりました。前年度比では、受託研究費や消耗品費、光熱水費などの増加により7,300万円増となっています。
教育研究経費比率は36.6%で、理工系他複数学部を有する私立大学の平均値(37.7%)に比べ若干低い値となっています。今後もここ数年と同程度の比率が続くと予測しています。
- c. 管理経費
-
管理経費は、広報費、委託費等で予算に対して少ない執行額となり、予算比6,200万円の減少となったものの、前年度比では光熱水費などの増加により4,800万円増となりました。
管理経費比率は9.4%で、理工系他複数学部を有する私立大学の平均値(5.8%)と比べ若干高くなっていますが、今後更なる経費圧縮に努めて参ります。
教育活動外収入計は、有価証券の受取利息・配当金及び為替差益により6億9,800万円となりました。
教育活動外支出はありませんでした。
特別収入計は、有価証券の資産売却差額で2億3,200万円、現物寄付で8,900万円、施設設備補助金で1,000万円、あわせて3億3,100万円となりました。
特別支出計は、図書処分差額で500万円となりました。
事業活動収入計は、前年度比で6億100万円の増加となっています。
主な要因は、教育活動収入の学生生徒等納付金(2億2,700万円増)、経常費等補助金(3,200万円増)及び付随事業収入(3億3,500万円増)、教育活動外収入のその他の教育活動外収入(2億800万円増)、特別収入の資産売却差額(1億6,000万円増)などが増加したことによるものです。
事業活動支出計は、前年度比で3億1,400万円の増加となっています。
主な増減の要因は、次のとおりです。
人件費 | 1億9,200万円増 | |
主な内訳 | 教員人件費 | 1億4,200万円増 |
職員人件費 | 4,300万円増 | |
教育研究経費 | 7,300万円増 | |
主な内訳 | 消耗品費 | 1億7,100万円増 |
修繕費 | 1億3,100万円減 | |
委託費 | 7,100万円減 | |
受託研究費 | 1億1,500万円増 | |
管理経費 | 4,800万円増 | |
主な内訳 | 光熱水費 | 2,800万円増 |
広報費 | 2,800万円増 | |
会議渉外費 | 3,100万円増 | |
減価償却額 | 9,100万円減 |
この結果、基本金組入前当年度収支差額は25億8,200万円の収入超過(事業活動収支差額比率13.9%)となりました。
主な基本金の組入額は、次のとおりです。
① 第1号基本金 組入額 10億3,100万円
|
事項 | 組入額 | 除却額 |
1 | 建物 | 2,400万円 | — |
2 | 構築物 | 9,300万円 | — |
3 | 教育研究用機器備品 | 6億1,600万円 | 8億2,100万円 |
4 | 管理用機器備品 | 1,500万円 | 1,700万円 |
5 | 図書 | 2,000万円 | 500万円 |
6 | ソフトウェア | 2,800万円 | — |
7 | 建設仮勘定 | 10億7,800万円 | — |
計 | 18億7,400万円 | 8億4,300万円 |
注)合計は、各項目を四捨五入で表記しているため一致しないことがあります。
② 第2号基本金 組入額 △10億7,800万円
|
事項 | 組入額 |
1 | 第1号基本金への振替(教育環境整備資金) | △10億7,800万円 |
これらの結果、当年度収支差額は25億8,200万円の収入超過となりました。
翌年度の繰越収支差額は、前年度繰越収支差額及び基本金取崩額を合わせると、28億4,100万円の支出超過となりました。
今後も引き続き財務基盤の安定をはかるため、次のような課題に取り組んでいきます。
[収入面]
① 学生生徒等納付金の安定的確保
学生生徒等納付金は経営的に最も重要な要素であることから、引き続き在籍者の確保に努めます。そのために、教育力の一層の向上、教育環境の充実や学生への修学支援強化を進めます。留年・退学者数は減少し、改善が進んでいます。
② 外部資金の獲得強化
国庫補助金、受託事業収入、科学研究費補助金などの外部資金の収入増加を図るため、体制を強化していきます。
③ 低金利環境下で、より効果的な資産運用を行っていくとともに、リスク管理の徹底を図ります。
④ その他の収入源確保策の検討を行います。
[支出面]
① 管理経費の効率化
今後、益々収支状況は厳しくなるとの予測から、平成29年度~30年度に経費削減計画を実施し、財務基盤の維持に努めてきました。また、昨今では経費支出を見直し、新型コロナウイルス感染症対策費を確保してきました。
新型コロナウイルスの影響が続く中、更なる経費削減を進めて積極的な財務運営を行っていきます。費用対効果を検証し業務の改善や効率化を図ることにより、管理経費の圧縮と健全な収支状況の維持に努めます。
② 教育研究経費の見直し
徹底した新型コロナウイルス感染症対策により教育環境の維持・継続に努めます。また、高等教育改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)を意識した新たな施策の展開を目指し、サービスの向上、学部・学科の特色を活かしたメリハリのある教育展開、新たな視点での業務の改善・効率化に取り組んでいきます。
注1)理工系他複数学部を有する私立大学の平均値は、いずれも令和2年度全国大学部門(161大学)の値から算出
<出典>「今日の私学財政」日本私立学校振興・共済事業団
注2)比率の計算式
人件費比率 : 人件費÷経常収入 教育研究経費比率 : 教育研究経費÷経常収入
管理経費比率 : 管理経費÷経常収入 事業活動収支差額比率 : 基本金組入前当年度収支差額÷事業活動収入計