NEWS CIT ニュースシーアイティ

2021.12.15

佐藤研3人の電流経路撮像


電気学会誌の表紙を飾る
佐藤研の(左から)角さん、鶴岡さん、田村さん
  佐藤研の(左から)角さん、鶴岡さん、田村さん
 133年の歴史がある電気学会の学会誌10月号表紙に、本学・佐藤宣夫研究室の角真輝さん(機械電子工学専攻修士2年=2面・YSP優秀論文発表賞の記事参照)、田村知孝さん、鶴岡智彦さん(同1年)の3人が知恵を絞って撮像した電流経路像8枚が掲載された。
 電気学会は1888(明治21)年に創立。現在2万人近くいる会員に配布され、研究の最新事情を伝えている。10月号は交流を直流に変えるパワーコンバータの諸問題を列挙しており、テーマに最適、と3人の成果が表紙を飾った。
 撮像は、角さんらが「パワーコンバータ用電流経路可視化技術」の論文で使ったもの。絶縁型フライバックコンバータと、コッククロフトウォルトン回路と呼ばれる電源回路の動作状態の内部電流経路を映し出した。
 前者は、電気機器では一般的な回路でスマートフォンの充電器などに使われている。後者は、受動素子のみを使った簡単な回路ながら、数キロボルトを超える高い昇圧比を実現した電源回路。
 佐藤研では、磁場分布計測によって、電流経路を非破壊で遠方から可視化する技術を持ち、内部劣化箇所の特定、故障の判断、設計指針の向上などに役立てている。
 今回、撮像した絶縁型フライバックコンバータは高周波駆動する回路で、通常帯域を超える高周波磁場の観測は困難を極めたという。
 初めは回路自体の駆動周波数を下げて計測したが、通常時の動作を観測したことにはならない。そこで高周波位相計測技術として通信分野で使われていたダウンコンバート法を、本回路に備わる半導体素子の非線形出力特性に適用して、磁気センサーの周波数特性の課題を克服した。
 2種類の回路を設計製作し、計測の3つのパートを3人で担った。角さんは、研究室で学生対学生、対教授、対外部のコミュニケーション機会が充実しているおかげで成果を挙げられたといい、「鶴岡君・田村君の協力で実った成果ですが、先輩、後輩と佐藤教授の支援があってこそ」。
 鶴岡さんは「佐藤研の成果を報告できて大変喜ばしく思います。日々の両親の支援にも感謝したい」。田村さんは「電源回路の設計に携わって、新たな評価方法を確立できたことを佐藤教授、先輩、同輩に感謝します」と語った。

田島研などが催し


“秋の袖団ウィーク”再開
 習志野市の袖ヶ浦団地で11月13、14の2日間、「秋の袖団ウィークエンド〜団地の魅力を発見しよう〜Discover My SodegaURa」が開かれ、団地を活性化する参加型イベントを、多くの住民が楽しんだ。
 建築学科の田島則行准教授、都市環境工学科の鎌田元弘教授、磯野綾助教の3研究室とUR都市機構が主催した。習志野市と2014年から進めている「袖ヶ浦団地活性化プロジェクト」の一環だが、昨年はコロナ禍で中止に。今回、田島研を中心に、まちづくり活動を再開させた。主な催しは次の通り。
 ▼コミュニティ・ライブラリー 団地住民たちから本を寄付してもらい、田島研が作った本棚と一緒に展示するコーナー。多くの本が寄付され、訪れた人々が本を手に取り、本を介して会話が生まれるなど、住民間、住民と学生の間の新たなコミュニティーの場となった。
 ▼アクティビティ調査報告 鎌田研・磯野研とUR都市機構が共同で実施した団地の公園・広場・商店街の使われ方調査について速報版を報告。来場者に聞き取り調査を行った。
 ▼ストリートファニチャー 団地内で使えるよう田島研が作った「ストリート・ファニチャー」を体験してもらい、可能性を探るコーナー。子供たちが紙飛行機を折り、家具の上で飛ばしたり、椅子を自由に組み合わせて遊んだり、活気あふれる場となった。大人たちも休憩スペースに利用し、高評価をもらった。
 ▼スペースハンティング 団地内のさまざまな空間や魅力を、学生が撮影した写真を通じて考えるコーナー。見物に訪れた人々と、団地の未来について多くの意見交換ができたという。
 ▼コミュニティシンポジウム “JoinSpot袖ケ浦”でゲストに森田芳郎・東京工芸大教授、河野直・合同会社つみき設計施工社代表を迎え、田島准教授を司会役に、地域コミュニティーの活性化について意見交換。地域との関わり方や団地再生の取り組みなどを考え直す機会となった。
 ▼手芸ワークショップ 本学同好会の手芸倶楽部が鎌田研有志の呼びかけで今年度から参加。ペットボトルビーズの腕輪づくりを伝授した。
 会場ではこのほか、京成バラ園芸鰍竰n域関連会社が各種催しを展開して、にぎわった。
 田島准教授は「多くの方々に来てもらい、今後の袖ヶ浦団地の可能性を考える貴重な時間をいただきました。準備や製作に協力してもらった皆さんにも心から感謝します」とコメントした。
コミュニティ・ライブラリー ストリートファニチャー
コミュニティ・ライブラリー ストリートファニチャー

坂本教授ら11機関


次世代型核酸医薬 開発が始動
 東京理科大(和田猛・生命創薬科学科教授)を総代表に千葉工大(坂本泰一・生命科学科教授=写真)、東京医科歯科大、東京大の4研究機関は、革新的な次世代核酸医薬を開発するため、国立研究開発法人日本医療研究開発機構と委託契約を結び、「INGOTプロジェクト」をスタートさせた。
 10月25日、報道陣に公表した。INGOTは、従来の核酸医薬よりも生体内で優れた安定性・有効性を示し、副作用も低減された革新的な次世代型核酸医薬を表す。英語名「Innovative Next Generation of Oligonucleotide Therapeutics」の頭文字をとった。
 核酸医薬とは、化学合成されたDNAやRNA誘導体からなる医薬で、疾病に関連するDNA、RNAおよびタンパク質を標的とする。従来は治療不可能だった疾病にも有効な薬を生み出すことができ、世界的に開発が進められている。
 利点は作用機序が明確で副作用が少ないこと。一方で、生体内での安定性や標的へ確実に届ける技術、生産コストなど課題も多い。4研究機関には一般財団法人バイオインダストリー協会と関連6企業が加わり、全11機関で製造・精製・分析技術の3課題を分担し合って開発、産業化し、高性能・安全な医薬を患者に届けることを目指す。
 坂本教授は、東京大の鈴木健夫講師(大学院・化学生命工学専攻)とともに、新規製造技術の評価と、合成した新規モノマーやオリゴマーの高度な分離・分析を可能にする分析技術を開発する。
 特に、光学異性体を制御した核酸の分離・分析法を確立し、精密質量分析と核磁気共鳴装置(NMR)を駆使して構造決定法や純度検定法、立体化学の最適化手法の開発を行う。
 今回の大型プロジェクトは、産学連携で産業化へ実現性の高い体制を構築した点が大きな特徴。代表の東京理科大では、プロジェクトのために野田キャンパス(千葉県野田市山崎)に先端的な「集中研」(仮称)を設置し、最先端機器や実験環境を集中させる計画という。

3氏を教育功労者表彰


福山氏 河村氏 倉田氏
福山氏 河村氏 倉田氏
 教育功労者として、総務部(情報システム)の福山達也グループ長と河村俊一係長、教学センター(新習志野教務担当)の倉田幸恵グループ長補佐の3人が12月4日、千葉県私学教育振興財団から表彰された。
 福山グループ長は平成11年4月に入職以来、電気工学の知識を生かし、電気電子工学科の助手、研究員、技術職員として業務を遂行。特に本学の情報システムの基盤を築き、事務システムの統合と情報セキュリティー対策の強化を図っている。
 河村係長は、平成9年4月に勤務以来、職務に精励。専門分野の情報システムに携わり、現在は技術職員として的確に業務を遂行。本学の演習室の運営や情報ネットワーク管理に貢献している。
 倉田グループ長補佐は平成6年4月に勤務以来、国際交流課、入試広報課、新習志野教務課を歴任。本学の国際交流に積極的に取り組み、海外大学との協定事務や留学生の受け入れに尽力。周囲からの信頼が厚い。