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2021.4.15

科学技術者に最も必要な「夢」


瀬戸熊修理事長 祝辞
 新入生諸君、入学おめでとうございます。また、保護者の皆様にも心よりお喜びを申し上げます。緊急事態宣言は解除されたとはいえ、コロナ禍がなお続いており、皆様と一堂に会して入学を祝うことができないことについてお詫び申し上げます。
 昨年は新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、苦難に満ちた1年間となりました。受験生だった新入生諸君も大変な思いをしながら勉学に励んだことでしょう。
 多くの大学がキャンパスを閉鎖し、オンライン授業のみを行う中、本学は、万全の新型コロナウイルス感染症対策を施した上で、他大学に先駆けてキャンパスを開放し、対面授業や実習を再開させました。優秀な技術者・科学者を育成するには、実習や研究、対面での教育が不可欠だと考えたからです。さらに学生たちに学生食堂で使用できる学食券を無償配布するなど生活支援にも力を入れました。
 このような取り組みは教育界でも注目を集め、昨年の6月30日には萩生田光一文部科学大臣が本学を視察に訪れてくださいました。萩生田大臣は、対面授業を重んじる本学の教育姿勢を高く評価してくださり、定例の記者会見などで幾度も紹介してくださいました。
 また、文部科学省がホームページなどで「大学における新型コロナウイルス感染症対策の好事例」として本学を紹介したこともあり、日本テレビやフジテレビなど多数のメディアが本学の取り組みを全国に報道してくれました。
最先端技術で牽引
 昨年は学術面でも様々な成果を上げました。松井孝典学長が率いる地球学研究センターと惑星探査研究センターが進める古代エジプトのツタンカーメン王の鉄剣の分析や、トルコのアナトリア高原での4300年前の鉄球の発見は、鉄文明の起源を解明するカギになると期待されています。
 また、未来ロボット技術研究センター(fuRo)がパナソニックと共同開発した高性能ロボット掃除機「RULO(ルーロ)」が昨年3月に発売されました。RULOには、パナソニックのロゴとともに千葉工大のfuRoのロゴも入っております。パナソニックが他のロゴを入れることは滅多にないそうです。
 暮れも押し迫った12月6日にもうれしいニュースが飛び込んできました。惑星探査研究センターと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が協力し、多くのミッションを成し遂げた小惑星探査機「はやぶさ2」が無事地球に帰還したのです。「はやぶさ2」は、小惑星「リュウグウ」から地下物質の採取に成功しており、生命誕生の謎を解明するカギになると世界中の期待を集めております。
 このほか、海底鉱物資源探査やAI(人工知能)、ロケット工学など本学の研究はさまざまな分野で大きな成果を上げております。
 皆さんは、世界初となる最先端技術を「見て・触れて・学べる」大学に入学したわけです。これは他の大学では経験できないことです。
 このような本学の前向きな姿勢が評価されたのでしょうか。おかげさまで今年の志願者数は10万8000人を超え、早稲田大学や明治大学などの数あるマンモス大学を抜き、全国2位になりました。志願者の増加数は全国1位、倍率は78・8倍となりました。新入生諸君は大変狭き門をくぐり抜けて本学に合格したことを誇りに思っていただきたい。
専門性の殻を破って
 さて、本学の前身である興亜工業大学は1942年に旧制私立理工系大学として創設されました。来年の2022年には創立80周年を迎えます。本学は現存する私立理工系大学として日本で最も古い歴史と伝統を有すると言ってよいでしょう。
 興亜工業大学は、終戦前後の混乱に翻弄されながらも1946年に千葉工業大学に名称変更し、その後、旧陸軍鉄道第二連隊跡地に津田沼キャンパスを構えました。現在は5学部17学科、3研究科8専攻を有し、学生数は1万人を超えています。OB・OGは9万人を超えました。この中には、俳優の舘ひろしさんもおられます。研究者・技術者として国際的なステージで活躍している方も多数おられます。
 新入生諸君に申し上げたいのは、諸君がそれぞれの学部・学科で学んだ知識や技術は将来の職業と直結するということです。
 しかも、AIをベースとした知識科学の時代では、自分の専門性の殻を破らざるを得なくなります。AIが最も不得意とする新しい知識や技術の創造する人材になるためには、文系・理系と分けるのではなく、文理融合的な多様な知識と経験を積むためへの挑戦する力も必要になります。
 自分の考えや技術を磨くこだわりや向上心、途中であきらめない持続力をもって、自らの将来像をいかに描きながら研究課題に取り組んでいくか、その心構えがとても大切になります。
建学の精神を胸に

 新型コロナウイルス禍により、医療のみならず、あらゆる科学技術が、日本、そして世界を危機から救うバックボーンであることが再認識されました。小さな島国にすぎない日本は、科学技術立国として幾多の苦難を乗り越えて国際社会での地位を築き上げてきました。そして将来も科学技術国家であり続けなければ、国際競争の激流の中で生き残っていくことはできません。
 これからは「テクノロジーが社会を変えていく」時代となりました。
建学の精神は「世界文化に技術で貢献する」ことです。新入生諸君はこの精神をしっかりと胸に刻んで下さい。
 新習志野キャンパスの図書館には「夢」という書を掲げています。興亜工業大学の創設に深く関わった玉川大学の創立者であり教育学者の小原國芳先生(1887〜1977)が揮毫した書です。
 実はこの「夢」という字は一画多くなっています。「他の人より一つでも多くの夢を持ってほしい」という思いが込められているのです。
 一流の科学技術者にもっとも必要なのは「夢」です。夢があってこそ、真に社会に役立つ科学技術が生まれてくるからです。新入生諸君は、大きな夢を抱きつつ、ひたむきに研究・学術に勤しんで下さい。
 諸君の夢が実現するように教職員も全力でサポートしていきます。9万人を超えるOB・OGもきっと力になってくれることでしょう。保護者の皆様にはぜひ温かいご支援と励ましを賜りたいと思っております。諸君の夢がいずれ大きく花開くことを心より祈念し、私の祝辞と致します。

学校法人千葉工業大学

理事長 瀬戸熊 修

ガイダンスを受ける新入生たち(新習志野キャンパスで)
ガイダンスを受ける新入生たち(新習志野キャンパスで)

入学式スナップ


幕張メッセの会場外で記念撮影 “おめでとう”モニュメント 入学式を控え、会場前で
幕張メッセの会場外で記念撮影 “おめでとう”モニュメント  入学式を控え、会場前で
ガイダンスへ向かう新入生たち クラブの勧誘にもフェースガードを付けて
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