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2021.4.15

谷津干潟 生方さん 優秀発表者賞


シギ・チドリで生態系解析
 土木学会の第48回関東支部技術研究発表会は3月1〜4日、オンライン開催され、生方真奈さん(生命環境科学専攻修士2年=今春卒業、村上和仁研究室・写真)の「シギ・チドリ類(アンブレラ種)を指標とした谷津干潟生態系状態の解析」が優秀発表者賞を獲得した。
 村上研は生態系保全について、生命現象の源である水を対象に、分子生物学・生態学の観点を取り入れ生態工学的に研究している。
 生方さんは、ラムサール条約に登録された谷津干潟(習志野市)で、従来の水質(栄養塩)▽付着珪藻(生産者)▽ベントス(消費者)による生物指標――を総合的に統合しようと、アンブレラ種(最上位捕食者)であるシギ・チドリに着目し生態系全体の環境状態を評価・解析した。
 「真奈」の命名がマナヅルから、という生方さんは研究室に配属時、鳥の研究を希望したが、村上研では当時、鳥類は対象外。生方さんは文献検索から始め、研究室のテーマ水環境の修復・保全≠ニどう結びつけるかに苦心したという。
 生方さんは「学生時代の最後に賞を頂き、大変うれしいです。村上先生と、ともに研究に励んだメンバーに大変感謝しています」と語った。

波良さん 優秀論文発表賞


回転機 巻線損失を検討
 電気学会の第3回全国大会が3月9〜11日、Webexを使ってオンライン開催され、波良駿希さん(電気電子工学専攻修士1年=受賞時、山崎克巳研究室・写真)がライブで口頭発表した「永久磁石同期機における電機子巻線損失の発生要因」が優秀論文発表賞に選ばれた。
 波良さんは、回転機(電動機や発電機、タービン)の2次元モデルをパソコン内で作り、回転機に適用された並列丸線で発生する循環電流の特性を解析した。
 過去に、実機の実験値と2次元モデルでの解析結果を比べ、妥当性が高いことが確認されていたので、2次元モデルで最適な並列丸線数を検討。この時、銅線断面の形状を丸から真四角に変更した場合の2次元モデルも作成し、同様に比較した。
 論文発表が昨年5月、新型コロナで緊急事態宣言発令の直後で、研究方法や論文作成を手探りで進める点も多かった。
 波良さんは「過分な評価をいただき、光栄に思っています。山崎教授や研究室メンバーの協力のおかげで、感謝の念に堪えません」と述べた。

多田准教授が優秀賞


パネル板を折り紙原理で
 建築の発想・技術を評価する第1回アーキニアリング・デザイン・アワード(AND賞実行委員会主催)の最終審査会は2月6日、ライブ配信され、多田脩二建築学科准教授=写真=の「TBM PROJECT―CLTを用いた折版構造V字梁―」が優秀賞に選ばれた。2月27日、オンラインで表彰式があった。
 CLT(クロス・ラミネーティド・ティンバー)は、板(繊維層)を何枚か互いに直交して重ねて接着し大判パネル化したもの。国産杉の需要拡大を助けているが、繊維により強弱の方向(異方性)がある結果、パネルを並べた単調な空間になりがちという。
 そこで多田准教授は、折り紙の原理を用いた折版構造を考案。幅2.4メートルのCLTマザーボードを対角に斜め切断し、その一方を反転させV字に組み合わせることで折板構造を構成した。すると作用する応力は面内力だけになり、CLTの構造的特徴も生かす。
 板の接合も最小限ビス止めとボルト止めするだけで、他の金物は一切用いない。これで強度と剛性、造形性を合わせ持った屋根空間を実現した。
 審査では「V字梁による空間は特徴的でありながら、普遍性も感じる」と高く評価された。
 多田准教授は「建築で、我々の研究分野である構造やものつくりに関する賞はさほどありません。優秀作に選ばれ、とても光栄です。研究室での活動とも連動して評価されたことはなによりです」と感想を寄せた。

洋上発射などロケット技術


和田教授に宇宙工学業績賞
 大学ロケットとして世界初の洋上打ち上げに成功し、宇宙空間での推進手段を広げるガスハイブリッドロケットを開発している和田豊・機械電子創成工学科教授(受賞時は准教授・写真)に対し3月17日、日本機械学会の宇宙工学部門(田中宏明部門長)から業績賞が贈られ、オンラインで発表された。
 授賞は「ロケット推進技術の研究に取り組み、世界初の洋上打ち上げに成功するなど日本の宇宙工学の発展に貢献した」業績に対して。
 和田教授の宇宙輸送工学研究室は、ロケットの発射場難を助けながら技術の可能性を広げようと2019年3月、洋上発射実験を成功させた後、今年3月までに3度の洋上発射にすべて成功。亜酸化窒素を使い自動的に消炎、かつ宇宙空間での再着火も可能な新型ロケットエンジンの開発改良に挑んでいる。
 和田教授は「洋上発射実験が日本の宇宙工学の進歩に貢献できたことを大変うれしく思っています。低い高度への打ち上げを繰り返してきたことでノウハウも蓄積されてきました」。今後は高度100キロの宇宙をめざして、より高高度への打ち上げ実験を行い、洋上発射の実用化を最短で目指すという。
はやぶさ2関連も
 なお、部門賞のうち宇宙賞には、本学惑星探査研究センター(PERC)が大きく寄与した「はやぶさ2」の衝突装置・分離カメラ開発チーム、サンプリング装置開発チームが選ばれた。

2年度ベスト・ティーチャー賞
大川教授に表彰盾


後期グッド・レクチャー賞に8人
 令和2年度後期のグッド・レクチャー賞に教員8人が選ばれ、4月8日の受賞式で松井孝典学長から表彰された=写真。前後期のグッド・レクチャー賞からさらにベスト・ティーチャー賞として大川茂樹教授=左端=が選出され、同日開かれた教授総会で松井学長から表彰盾が贈られた。
 また、今回から、過去5回以上ベスト・ティーチャー賞を受賞した先生をDistinguished Teacher、過去5回以上グッド・レクチャー賞を受賞した講義をDistinguished Lectureと認定して表彰対象からは外すこととした。今回はプロジェクトマネジメント学科の鴻巣努教授がDistinguished Teacherに認定された。受賞者は次の通り(順不同)。
 ▽ベスト・ティーチャー賞=大川茂樹教授
 ▽グッド・レクチャー賞=井上泰志教授、橋伊久磨准教授、大川茂樹教授、今野将教授、東條晃次教授、木島愛准教授、山田圭介非常勤講師、中村美枝子非常勤講師

18年連続「AA−」


本学格付け 安定評価
 格付投資情報センター(R&I)は3月31日、本学の長期債務の信用格付けを「AA−(ダブルエーマイナス)」、格付けの方向性は「安定的」と公表した。本学は2003年に同評価を取得以来、18年連続「AA−」となる。
 評価理由には、未来ロボット技術研究センター(fuRo)、惑星探査研究センター(PERC)などで研究活動に積極的に取り組み、大手家電メーカーとの共同研究で次世代家庭用掃除ロボットを製品化したほか、「はやぶさ2」に搭載された観測機器の企画・開発の実績を挙げている。
 今後も人工知能(AI)やビッグデータ、地球学研究センターの研究領域で大学の知名度向上に寄与すると期待されている。
 このほか▽20年度は受験生の安全志向が高まる中で初めて志願者が10万人を超え、21年度は志願者トップ10大学の中で唯一、前年比で増加。全国2位の約11万人を確保。受験生のニーズに沿った入試戦略のほか、コロナ禍による経済情勢の悪化に対応した運営▽コロナ禍対応策で早期からオンライン授業を導入、キャンパス内の感染防止対策で修学環境を整え、早期に対面授業を復活させた――などが挙げられる。

瀬戸熊氏、私大協会副会長に


 本学の瀬戸熊修理事長が日本私立大学協会副会長に就任した。任期は令和3年4月1日から3年間。
 私大協会には全国の391学校法人410大学(2021年4月1日現在)が加盟。北海道、東北、中部、関西、中国・四国、九州の各支部と関東地区連絡協議会の計7つをネットワークとして協力し合っている。