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2020.10.15

情報通信教育など協力


館山市とも連携協定
金丸館山市長(右)と協定書を交わす瀬戸熊理事長
金丸館山市長(右)と協定書を交わす瀬戸熊理事長
 本学は10月2日、館山市(金丸謙一市長)と「包括的な連携に関する協定」を締結した。県内自治体との同様の協定は今回で16番目。
 連携内容は▽まちづくり▽地域経済活性化▽教育、文化およびスポーツの振興▽人材育成▽情報通信技術の活用▽災害対策――など。特に、デジタル技術を活用したICT(情報通信技術)教育の推進に力を入れていく。
 金丸市長は「最先端の研究成果のある大学と連携できるのはありがたい。まちづくりや行政に生かせるよう協力をお願いしたい」とあいさつ。瀬戸熊修理事長は「地域共生で、地元の自治体にぜひ大学の知財を使ってもらいたい」と応えた。

表面に外来の岩塊 JAXA・本学発表


リュウグウ誕生過程見えた
得られた高解像度の画像の1つ。矢印が明るい岩塊(JAXA発表から)
得られた高解像度の画像の1つ。矢印が明るい岩塊(JAXA発表から)
 小惑星探査機「はやぶさ2」が取得したデータを分析していた宇宙航空研究開発機構(JAXA)と千葉工大などプロジェクト参加6大学は9月22日、リュウグウ表面に、他とは異なる明るい岩塊を発見したと発表した。「S型」小惑星に由来すると考えられるという。
 リュウグウは大きな母天体が衝突破壊されたのち、破片の再集積過程を経てできたと考えられているが、母天体とは異なる物質が見つかったことで、衝突過程や相手の正体が見えてきた。この成果は英科学誌ネイチャー・アストロノミー電子版に同日付で掲載された。
 光学航法カメラ(ONC)と近赤外分光計(NIRS3)が低高度運用の際に取得した高解像度のデータの詳細な解析から明らかになった。これまでの研究から、リュウグウは暗く均質な含水鉱物でできていることが分かっている。しかしミリ〜センチ程度の岩塊を識別できる解像度での観測では、非常に明るい物質が少なくとも21個見つかった。
 中でも大きい岩塊(数十センチ以上)についてONCとNIRS3のデータを合わせて解析した結果、6つは波長1マイクロメートルあたりに吸収帯をもつ鉱物、つまり無水の珪酸塩鉱物であることが判明。リュウグウ表面にみられる他の物質とは異なっていた。無水鉱物の中でも特に普通コンドライトと呼ばれる隕石に近い特徴を持っていることが明らかになった。
 普通コンドライトは地球上で発見される隕石の大部分を占めるグループで、水や有機物をあまり含まない。一方、炭素質コンドライトと呼ばれるグループは水や有機物を多く含む特徴がある。これらが混合した隕石はほとんど発見されないことから、普通コンドライト的なS型小惑星と、炭素質コンドライト的なC型小惑星は独立に進化したと考えられていた。しかし「C型」のリュウグウで「S型」岩塊が複数見つかったことから、S型小惑星とリュウグウ母天体が衝突し、現在のリュウグウが誕生したことが示唆される。
 発見された明るい岩塊の残り15個の反射スペクトル(岩石の色)は、リュウグウの平均的な値とよく似ている。これらは同じ母天体の異なる場所からきたと考えられている。
 「はやぶさ2」はリュウグウで採取した試料が入ったカプセルを12月6日、地球に届ける予定。試料中に、明るい岩塊のカケラも混じっている可能性があり、詳しく調べることでリュウグウ母天体の熱進化や衝突天体について、より詳細な情報が得られると期待されている。

中川助教・学生ら南房総市に


区長の業務 軽減アプリ
 地域連携協定を交わした南房総市と本学を結び9月23日、「地域課題解決のためのアプリ・システム開発プロジェクト」の最終報告会がオンライン会議で開かれ、情報ネットワーク学科・中川泰宏助教の指導のもとに開発された「区長さんお助けアプリ」=写真下=が発表された。
 行政連絡員として活動する区長の業務負担を軽減するもので、タブレットでアプリを運用して移動の手間を省き、申請の効率化を図ることができる。導入コストも試算し、嶋田守副市長や市職員から高い評価を得た。
 報告会には中川助教と知能メディア、情報、情報ネットワークの各科から関純香さん、井出圭祐さん、土井敦也さん、黒馬裕貴さん、櫻井拓海さん、筒井かれんさんら6人が参加。さらに協力企業の4人が加わり、市役所大会議室で副市長を含む市職員30人がスクリーンを囲む形で開かれた。
 今回プロジェクトは中川助教が主導。兜x士通パブリックソリューションズ、潟gータルオーエーシステムズ、NPO法人トージバの協力を受けた産官学プロジェクトとして、30時間の履修科目に組み込まれた。
 新型コロナ禍で活動が制限される中、ガイダンスや現場担当者ヒアリング、アイデア提案、プロトタイプ制作、発表会形式の活動報告など、すべての工程を履修時間の枠内でオンラインで進行。市職員や各団体関係者、学生同士でさえ一度も顔を合わせずにプロトタイプを完成させたという。活動は南房総安房地域の日刊「房日新聞」1面に掲載された。
 学生の1人・櫻井さん(情報ネットワーク学科3年)は「いま、日本で行政のデジタル化を進める中でのアプリ作成で、大規模な都内の区と違い、本学と連携している小さな南房総市で行うことに意味があります。やろうと思えばできるので、デジタル化を進めてほしい」。
 他の学生も「個人的に大きく成長できました」「実際に自分たちがシステムを提供する相手がいるという状況での開発は、とても刺激になりました」などと語った。
区長さんお助けアプリ
アプリ開発報告会 市役所側の様子 オンライン画面(学生たちと中川助教=左)
アプリ開発報告会 市役所側の様子 オンライン画面(学生たち)

本学にOB、企業から


コロナ禍 寄付金が多数
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、本学に卒業生や企業団体から多くの寄付・支援が寄せられている。
 これまでに集まったのは、千葉工大学生共済会から1億円▽同PPAから1億円▽同窓会から1億円▽同窓会成田支部から20万円▽企業団体から600万円――など。
教職員も自主募金
 こうした寄付支援に、本学教職員も一丸となって協力していこう、と若手教職員を中心に学生への支援募金を呼びかけ、9月30日時点で教職員216人から約600万円が集まった。
 本学はこれまでに新型コロナ対策として、発熱者検知サーマルシステムの導入や消毒剤の設置、PCR検査など各種の感染拡大防止策を徹底。また、2万円分の食券配布などで学生を支援した。後期授業からは全学科が対面授業を再開し、オンラインも併用してハイブリッド授業を展開している。
 先を見通せない状況が続くが、本学はこれら寄付金を学生支援や今後の対策に有効に活用していく予定。教職員の自主募金活動も続けていく。

いすみ市から地元米


 7月に本学と包括連携協定を結んだいすみ市の太田洋市長=写真右=が10月5日、地元いすみ米を持参し来校した。
 いすみ市と本学は包括協定を結ぶ前から地域連携事業を展開し、本学が市内の小中学生に消しゴムやマスクを寄贈した。提携後の8月には市側から学生支援に役立ててほしいと、いすみ米1トンが寄贈され、今回も重ねての寄贈となった。

実験動物の慰霊祭開く


 実験動物の令和2年度慰霊祭が9月25日、津田沼校舎5号館で行われた。教育研究に貢献してくれた実験動物を供養するため、毎年開かれている。
 コロナ禍にもかかわらず、佐波孝彦副学長(情報工学科・教授)、前田修作常務理事をはじめ教職員・学生約50人が参列。順番に献花し、動物たちに感謝と哀悼の意を捧げた。
 本学は科学技術の発展がこれら動物たちの犠牲の上に成り立っていることを再認識し、強い倫理観を持って教育・研究を進めていく。