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2020.3.15

車いす 簡易電動化を研究


樋口さん優秀発表賞
 要介護者の支援機器や医療機器の開発を目指す日本福祉工学会の第23回学術講演会(昨年11月23日、北海道函館市の函館高専で開催)で、樋口有孝さん(機械工学科4年、高橋芳弘研究室=写真)が卒業研究を兼ねた「車いすの簡易電動化装置に関する研究」を口頭発表し、優秀発表賞を受賞した。
 車いすには手動と電動があり、電動は高価、手動式は身体的負担が大きい。手動に後付けする電動化装置があるが、大型・高価・取り付けが難しい、などの傾向があり、折りたたみ式車いすに対応しないものも多い。
 樋口さんは、折りたたみ手動の車いすに、使用者自身が介助なしで着脱できる、小型で安価な後付け簡易電動化装置を考えた。
 市販の汎用折りたたみ車いすをベースに、駆動システムは小型で安価な構造を追究、電動・手動を切り替えられるようにした。取り付け部にワンタッチクランプを使い、車いすに座ったまま手が届く範囲に自分で装着できるようにした。さらに駆動トルクや速度の測定を続け、改良を進める予定。
 福祉から工学まで幅広い研究者を前に、伝えたいことを10分間に絞って伝えるのは大変だったという。樋口さんは「名誉ある賞をいただけ誇りに思います。発表後の交流会ではいろいろな意見をいただき、今後への糧としたいと思います。助言をいただいた高橋先生に感謝します」と語った。

皆川さん準優勝 再び


ロボワン ライトでも4位
 二足歩行ロボット協会主催のロボットの格闘技大会・第36回ROBO-ONE(ロボワン=重さ3キロ以下、2月9日、東京都江東区の日本科学未来館で開催)で、本学文化会総合工学研究会・皆川泰輝さん(未来ロボティクス学科4年=写真)の出場機「Typerion(タイペリオン)」が2位となり賞金30万円を獲得。前日8日の第20回ROBOONE Light(ライト=1キロ以下)では頭部がカーボン製の「初代・蟹蔵」を出場させ4位に入賞した。
 ROBO-ONEは年2回、2月と9月に開かれ、皆川さんのTyperionは昨年2月の第34回でも準優勝、第32回(18年2月)ではデザイン賞を受賞している。
 今回ROBO-ONE決勝トーナメントは予選(床運動)を通過した48機で、Lightは予選4.5メートル走をクリアした32機で争われた。ROBO-ONEでTyperionは次々に5機を倒し、決勝で「立地有無」チームの「りんぼ」と対戦。相手は身長で14センチ、重量もやや上回り、Typerionは機動性を武器に立ち向かったが惜しくも敗れた。
 皆川さんは大会前日に卒業研究発表があり、それから急いで出場2機を床運動、4.5メートル走と異なる予選用に調整した。
 ROBO-ONでは総工研の後輩・曽我部亘さん(未ロボ2年)の「Jinx」もベスト8まで勝ち上がり、皆川さんは「学生生活の4年間で“強い総工研”を作っていくことが出来たのかなと思っています。まもなく卒業しますが、優秀な後輩たちと新入部員が総工研を今以上に強くしてくれると思います」と期待した。

南房総の花 ブランド化


長岡さんが道の駅にブース
 高齢化が進む南房総市白浜地区で産学協働地域活力創造推進プロジェクトを進めるデザイン科学科・赤澤智津子研究室の長岡美咲さん(4年)が、市特産のカレンデュラ(別名キンセンカ、同市が生産量日本一)を広くアピールしようと「道の駅 白浜野島崎」の農産物直売所「Farmers Concierge(ファーマーズコンシェルジュ=(株)DIGLEE運営)」に設置するカレンデュラ商品の販売ブースを手がけた=写真
 カレンデュラによる町起こし事業に取り組む市民団体「カレンデュラプラザ」(代表・高倉かつ江さん)に本学が協力した。長岡さんらが目指すブランド化の実験でもある。
 カレンデュラの花は3〜6月に咲き、観賞花のほか、食べたり、殺菌力から皮膚の炎症を鎮める薬に、ハーブティーにと秘めた力を持つ。長岡さんは「南房総産カレンデュラをあなたの暮らしに」をコンセプトにブランドを制作。その一部・専売ブースをデザインしカレンデュラ商品を取り入れた暮らしのシーンごとに広告を付けた。
 直売所では「学生の視点で、おしゃれ。南房総の景観である花畑の荒廃を食い止める一助になれば」と期待している。

雨水抑える屋上緑化


中村さん若手優秀発表賞
 2019年度日本建築学会大会(北陸)学術講演会(昨年9月3〜6日、石川県野々市市の金沢工業大・扇が丘キャンパスで開催)材料施工部門で、中村沙彩さん(建築都市環境学専攻修士1年=写真)が発表した「屋上緑化の雨水排水遅延効果における遮断降雨量」が若手優秀発表賞に決まり、表彰状が届いた。
 集中豪雨などで都市型洪水の発生が増えている。屋上緑化は、雨水の排水をどれだけ効果的に遅らせているのか。主に土壌と植物の態様で決まるが、中村さんは降雨量の遮断に影響する植物の要素について検討した。
 戸外で雨が降った時の実測と、模擬植物を用いた人工降雨実験を重ねた結果、葉面積及び植物の高さが遮断降雨量に及ぼす影響が大きく、緑被率(緑の面積割合)と葉の重なりによる影響は小さいことを示した。
 冬場に、寒い屋外で実験。データから考察して結論を導き出すことは初めてで難しかったが、この経験がその後の研究に役立っているという。
 中村さんは「(受賞は)大変光栄です。大勢を前にしてのプレゼンは、とても緊張しましたが、ほぼ無難に質疑応答ができたように思います。研究に協力してくださった皆様のおかげで、厚く御礼を申し上げます」と語った。

支援ロボ考案し3賞


介護ロボ全国フォーラム
フォーラムの参加者たち
フォーラムの参加者たち
 高齢者や障がい者用の介助支援ロボットを紹介する「介護ロボット全国フォーラム」(テクノエイド協会主催=1月24日、東京都江東区のTOC有明コンベンションホールで開催)に、本学と千葉大、城西国際大など7大学の学生たちが参加。支援ロボットをパネル提案し、本学参加チームは3賞を受賞した。
 フォーラムは介護ロボットを集め説明・相談の機会を設けるのが目的。同時に厚生労働省と経済産業省が連携して進める介護ロボットに係る事業の進捗が報告された。
 学生たちは他大学の学生とチームを組んで介護現場で課題を調べ、解決するロボットを提案する“介護ロボットアイデアチャレンジ”(厚労省推進の協議会主催)で、事前に国際ロボット展2019(日本ロボット工業会、日刊工業新聞社主催=昨年12月18〜21日、東京ビックサイト)に出品した作品を発表。本学関係では次のチームが受賞した。
▽A「オークリー」チーム=グッドアイデア賞
 清水駿介さん(機械工学科4年)、飯田和虎さん(同3年)、福山和希さん(デザイン科学科4年)、柿崎光さん(同3年)と千葉大・城西国際大の6人の計10人で提案=呼ぶと来てくれ、おしゃべりもできるゴミ箱「ゴミュニケーションロボット・ゴミミー」と、紙おむつを簡単に履き替えできる「多機NEWトイレ」
▽B「モビリティ専隊令和Ⅹ」チーム=グッドケア賞
 樋口有孝さん(機械工学科4年)、伊藤里菜さん(デザイン科学科4年)、丸山拓海さん(同3年)と千葉大・城西国際大の5人の計9人で提案=足元に足形を投影し足を置く位置を分かりやすくした歩行器(ロボット名Brilliant Walker)
▽C「ガガーリン」チーム=グッドデザイン賞
 崎山匠さん(機械工学科4年)、鳥飼秀一さん(同3年)、川田夏美さん(デザイン科学科3年)、高室拓さん(同3年)と千葉大・城西国際大の6人の計10人で提案=入れ歯の紛失を防ぐ見守りシステム(ロボット名・見守りロボットホーホーくん)