NEWS CIT ニュースシーアイティ

2020.1.15

ゼミ生・職員8人 消防長が感謝状
倒れた教授を連携救命


小宮学長も学生を表彰
 津田沼キャンパス2号館の研究室で昨年9月26日、ゼミ中の男性教授が倒れ、一時心肺停止状態になったが、学生・職員らの連携で一命を取り留めた。関わった8人に習志野市消防本部(高澤寿消防長)から12月17日、消防長感謝状が贈られた=写真・東京新聞提供。
 8人は電気電子工学科4年の石川薫さん、井柳翔さん、小幡りおさん、田中玲さん、成瀬律さんの5学生と学生課の今井学課長補佐、飯田誠係長、看護師の長田恵さん。小宮一仁学長も同18日に学生5人を表彰した。
 石川さんらによると、研究室で突然倒れた教授に駆け寄ると、教授は唇が紫色で、呼びかけに応じなかった。ただ事ではないと感じた成瀬さんが学生課へ走り、小幡さんがスマートフォンで119番通報。その間、田中さんと石川さんがAEDを探した。井柳さんが教授の脇で呼びかけ、小幡さんが119番通報で出た救急隊員の指示を仰ぎながら、気道確保や胸骨圧迫を数回行った。その後、駆け付けた長田さんら職員と協力しAEDを稼働、救急隊到着時には心拍が再開したという。
 教授は病院に搬送され入院手術。約2カ月後には復帰し、学生たちに感謝の気持ちを語った。
 小幡さんらは「夢中で、何とかしなければとしか考えなかった。後遺症もなく、本当によかったです」と振り返った。
 この出来事は「ゼミで倒れた教授救命 千葉工大生らに感謝状」として東京新聞が12月19日付千葉県版で報じた。
みんな自発的に動いた
 小幡さんにまとめてもらった詳細は次の通り。
 ――救命が奏功したわけは 5人が自発的に動けたことです。誰かが指示を出すのではなく、全員が「私はこれをする」「じゃあ俺はこれをやる」と動きました。誰かが指示を出すのも悪くはないと思いますが、その場にいれば焦りや動揺もあり、通常の思考はできません。自身が行動する以外に他の人にも指示するのは難しいのではないでしょうか。今回は指示を待つ人はおらず、それぞれが自発的に動けたのがよかったと思います。
 ――新聞では胸部圧迫やAEDで救命措置に取り組んだとありますが、ほかには まず成瀬君が学生課に走り、私がスマートフォンで119番に通報にする間に、田中君と石川君がAEDを取りに走りました。井柳君は先生に呼びかけし、私がスマホのスピーカーで救急隊員の指示を仰ぎながら気道確保(先生の頭の下に膝掛けを敷く)、胸骨圧迫を数回したところで保健医の長田さんがいらっしゃいました。
 ――講習会でAEDなどの使い方を知っていた学生が多かったとありますが 胸骨圧迫の方法は皆知っていましたが、私が受講したのはかなり以前だったため救急隊員に聞きながら行いました。
 ――今後、生かしていきたいことや気を付けていきたいことは 講習をきちんと受けておくんだったと痛感しました。AEDの場所が分からなかったので、日頃から確認すべきでした。
 ――現実の危機に直面して 何とかしなければと対応している間は無我夢中でした。職員の方々が到着したことで急に現実味を感じ怖くなりました。私たちの処置が間違ったものでなく、本当によかったと思いました。
普通救命講習会開く
 今年度2度目の普通救命講習会が12月21日、新習志野キャンパスの食堂棟3階・多目的ホールで開かれ、学生ら22人が心肺蘇生法(胸骨圧迫、人工呼吸)やAED(自動体外式除細動器)の使い方の講習を受けた=写真
 昨年9月3〜5日には本学学生向けに習志野市消防本部が応急手当普及員講習会を開催。講習会では必須取得単位科目の一つ「教養特別ボランティア科目」と連携を図り、単位と応急手当普及員の資格を取得。取得学生は市内中学・高校・大学・事業所で普通救命講習会のボランティア普及員として活動できる。

高電圧測定技術で受賞


脇本研の野口さん、森田さん
賞状を手に野口さん(右)と森田さん
賞状を手に野口さん(右)と森田さん
 脇本隆之教授の研究室で、高電圧の測定技術などを研究する野口絵理華さん(電気電子情報工学専攻修士1年)が、電気学会東京支部千葉支所の研究講演発表会(昨年10月26、27日、新潟県南魚沼市の日大理工学部・八海山セミナーハウスで開催)で「急峻波インパルス電圧測定システムの開発」を発表し、優秀論文発表賞を受賞。また、同支所の学術講演会(12月4日、同所で開催)で森田冴朋さん(電気電子工学科4年)が「3kV級雷インパルス電圧測定システム用校生器の開発」を発表し、敢闘賞を受賞した。
 急峻波インパルス電圧とは、落雷などでガス絶縁開閉装置内や電子機器内で生じる急な過電圧。脇本研では、国家標準となり得る性能を持つ高電圧計測標準や計測技術の開発を国内でリードし研究している。
 野口さんは昨夏の電気学会電力・エネルギー部門大会での優秀ポスター発表賞に次ぐ受賞。準備が辛かったものの、脇本教授や研究室のみんなのサポートのおかげで受賞できたといい「発表直前までご指導いただいたので、本番でとくに緊張せず、うまく発表できたと思っています」。
 森田さんも「脇本先生と院生の方々から多くのご指導をいただいて受賞できました」と、それぞれ感謝の気持ちを語った。

光触媒粒子の研究で敢闘賞


天野さん学術交流会で発表
 油脂化学に焦点を当てる日本油化学会オレオマテリアル部会の第3回オレオマテリアル学術交流会(昨年11月18日、東京・神楽坂の東京理科大で開催)で、天野真聡さん(生命環境科学専攻修士2年、柴田裕史研究室=写真)が「アニオン界面活性剤存在下における六角板状酸化亜鉛粒子の調製およびその光触媒活性能」をポスター発表し、敢闘賞を受賞した。
 柴田研では、物と物が接する界面をデザインし新機能を持つ素材につなげようと研究している。
 天野さんは代表的な光触媒で、光を当てると活性酸素を発生し有機物を分解したり抗菌性を示す酸化亜鉛について、界面活性剤を用いた酸化亜鉛粒子の形状の制御と、酸化亜鉛粒子の形状やその結晶面が光触媒活性能に与える影響を検討した。
 光触媒に関する研究は多く、その中で新規性や独創性のあるテーマを見つけなければならない。天野さんは学会やワークショップに多く参加し、多様な研究に触れることで、人が目を向けないようなところに焦点をあてることができたと思うという。そして「私の研究に興味をもってくれる人がいることを実感し、うれしく思います。今後の研究へ励みになりました」と語った。

ビッグデータで美容院改善


知能メディア工学3人受賞
(左から)岩崎さん、三浦さん、永井さん
(左から)岩崎さん、三浦さん、永井さん
 ウェブデータを大量保有する産業界と、そのデータを利用する研究者たちが意見交換するIDRユーザフォーラム2019(昨年11月29日、東京・一ツ橋の国立情報学研究所で開催)で、知能メディア工学科の岩崎友秋さん、永井一平さん、三浦和也さん(いずれも3年、齊藤史哲研究室)の3人が連名で「カスタマーレビューに基づいた美容院業界における地域特性の可視化」をポスター発表。将来性が期待されるとして奨励賞と、協賛企業賞のリクルートテクノロジーズ賞をダブル受賞した。
 発表内容は、リクルートテクノロジーズ社が提供するホットペッパービューティのカスタマーレビューデータを使い、美容院について、顧客満足度の地域特性を分析したもの。用いたデータは、店舗のキャッチコピーや位置情報が1万件、カスタマーレビューなどクチコミデータが36万件で、地域間の差異や特徴を可視化し、顧客満足に影響を及ぼす要因を抽出した。
 店舗・美容師改善の支援データとして取り組んだ。学科で学んだデザインやデータ分析の知識がビッグデータの解析に役立ったという。
 受賞した3人は「素晴らしい2賞をいただき、喜びと感謝でいっぱいです」「ビッグデータを解析し、答えのない課題を追求していく過程はとても有意義でした。今後も一層精進したいと思います」などと語っていた。