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2020.1.15

南鳥島周辺にマンガン密集域


世界初 海洋資源研主導で探査手法確立
船上から音波で
記者発表で探査手法とその成果を説明する町田上席研究員
記者発表で探査手法とその成果を説明する町田上席研究員
 本学次世代海洋資源研究センター(ORCeNG)の町田嗣樹上席研究員が主導する研究者グループが、船から発する音波を使って深海底に広く分布するマンガンノジュール(マンガン団塊)の密集域を探査する手法を世界で初めて確立。12月11日、東京スカイツリータウンキャンパスで記者発表を行った。
音響データを「しんかい6500」の潜航調査により得た海底の地質の変化の様子と照らし合わせた結果、浮かび上がったマンガン団塊の密集域(黄色部分)
音響データを「しんかい6500」の潜航調査により得た海底の地質の変化の様子と照らし合わせた結果、浮かび上がったマンガン団塊の密集域(黄色部分)
 このグループは本学のほか国立研究開発法人の産業技術総合研究所(産総研)、海洋研究開発機構と、東京大、神戸大の研究者で構成。海底鉱物資源を音波を用いて効率的に探査する手法の研究開発を進めている。
 今回発表したマンガンノジュール探査手法はこの研究開発の一環。海洋研究開発機構の調査船を使って南鳥島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で17年までに7回の研究航海を行った。航海で得られた音響データを数学的に解析し、潜水調査船「しんかい6500」を用いた海底観察の結果と統合することで、マンガンノジュールの密集域を地図上に表示するとともに、その面積を正確に算出することを可能にした。
希少メタルを含有
四国九州分の広さ
音響の反射強度で突き止めたマンガン団塊の密集域
音響の反射強度で突き止めたマンガン団塊の密集域
 この手法を使って、南鳥島EEZ内の調査が終わった15万5500平方キロについて解析した結果、その40%に当たる約6万1200平方キロに及ぶ海底がマンガンノジュールの密集域であることを突き止めたという。この面積は四国と九州を足し合わせた広さに匹敵する。
 南鳥島EEZに分布するマンガンノジュールはコバルトを多く含むという特徴がある。コバルトは今後、急速な普及が見込まれるエコカーや、スマートフォンなどの電子機器に必須のリチウムイオン電池の正極材に使われているレアメタル(希少金属)。原料鉱石の7割をアフリカのコンゴ、精錬生産の4割を中国に依拠しており、価格変動が激しく安定的な供給にリスクがある。
 そこで、この探査手法で解明した南鳥島EEZ内6万1200平方キロに眠るマンガンノジュールが含有するコバルトの量を試算すると約470万トン。これは2017年の日本のコバルト需要の300年分に相当するという。
 南鳥島EEZ全体の広さは約43万平方キロ。研究グループは今回開発したマンガンノジュール探査手法をマイルストーンとして、コバルトなどさまざまなレアメタルを豊富に含む資源の開発に適した有望海域を、船上からの観測だけで絞り込むことを可能にする、画期的な音響探査手法へと発展させたいとしている。

東京スカイツリー タウンキャンパス


来場者90万人に
 東京スカイツリータウンキャンパス(東京都墨田区押上・東京スカイツリータウン8階)の総来場者数が1月15日、90万人に達した。2012年5月に開設以来約7年7カ月での達成。
 記念すべき90万人目は都内葛飾区在住の土屋さん母娘=写真=で、小宮一仁学長=同左=から来場に感謝する言葉と記念のチバニーグッズが贈られた。
 土屋さん母娘は、ソラマチを訪れるたびに本学ブースに足を運んでくれるファン。
 5歳のふうかちゃんは、ブースでロボティックシャドーに挑戦したり、クインスが階段を上り下りする様子をじっと見学。大スクリーンに映し出されるロボットの中でも、特に人型ロボットの「morph」がお気に入りという。
 土屋さんは「数えきれないくらい訪れてきた甲斐がありました」と90万人目を喜び、チバニーグッズを手に、ふうかちゃんとアトラクションを楽しんでいた。