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2020.1.15

群れの緊急動作、車に応用


野上さん 国際会議で受賞
 中国西南部の雲南省大理市で開かれたIEEE(米国電気電子学会)の「ロボット工学とバイオミメティクス(生物模倣)に関する国際会議」(ROBIO 2019=12月6〜8日、Hilton Dail Resort&Spaで開催)で、野上匠さん(未来ロボティクス学科4年、王志東研究室=写真)が「Behavior on Emergency Mode Transferring in Autonomous Multi-Robot System with Subgroup(サブグループで複数移動ロボットシステムに伝播する緊急モード動作)」を発表し、Best Paper in Robotics賞を受賞した。
 王研究室では、自然界の魚や鳥の群行動を模倣したロボットシステムを研究。彼らの群行動は自律的でありながらも協調制御されており、緊急状況が素早く群全体に伝わる。
 野上さんはそんな群行動を、車の自動運転システムに応用し、地震災害や高速道路上の事故時に車列全体が素早く危険を察知し、回避することができないかと考えた。
 鳥や魚の群は分裂し、また単一群に戻るが、分裂群をサブグループと定義。複数移動ロボットシステムについて、多車線高速道路でサブグループが存在する時の緊急停止メカニズムを提案した。
 高速道路での緊急停止イベントは単車線か複数車線で起こる。それぞれの状況で緊急モード伝播の群効果と緊急停止メカニズムの有効性を分析。さらに、緊急停止イベントが異なるグループに異なるタイミングで発生する場合の群効果を強化するため、Attentionモードとその実装メカニズムを提案した。
 学会前にファイナリスト選出が伝えられ、英語発表のため、野上さんは王教授の前で何回も練習を繰り返した。「院生や博士課程の方々がいる中、受賞できるとは思いませんでした。とても驚くと同時にうれしかったです」と語っていた。

物々交換プラットフォーム提案


情報科学4人チームが優秀賞
(左から)鈴木さん、片岡さん、増田さん五十嵐さん
(左から)鈴木さん、片岡さん、増田さん五十嵐さん
 「足りてるモノを 足りないトコへ」をテーマに、サービスやプロダクトを再考する“開発マラソンイベント”「ディスカバリーハッカソン2019」(ディスカバリー・ジャパンなど主催=昨年9月6〜8日、滋賀・日野町の総合展示場「日に新た館」と大阪市の大阪イノベーションハブで開催)に、眞部雄介研究室の五十嵐陽己さん(情報科学専攻修士2年)、片岡玄太さん(同)、増田宗一さん(同)、鈴木滉平さん(同1年)の4人=チーム名「隠す爪がない」=が出場し、優秀賞(First Place)を受賞した。
 主催系列のディスカバリーチャンネルは世界220以上の国・地域で科学・技術情報を配信する世界最大手メディアの一つ。大会ではProvide(提供)・Exchange(交換)・Share(共有)をキーワードに、課題を見つけ、「足りない」を解決するアイデアを具体化する。機械・電子・電気などのハードウエア技術から、アプリ開発に関わるソフトウエア技術まで、さまざまなアイデアを結集して新プロダクトの制作を競う。
 4人チームは「物々交換プラットフォームWAR ASHIBAY」の構築を提案した。欲しい物と、出品できるものを、複数の人々でマッチングできる物々交換プラットフォームで、新しさ、有用性、実現可能性など多角度から評価され、優秀賞を受賞した。
 ハッカソンには全国から86人の学生が集まってチームを作り、今回18のプロダクトが誕生した。
 大会の様子は10月19日、ディスカバリーチャンネル(CS放送)で放映された。また、以下のURLで見ることができる。
 https://www.discoverychannel.jp/campaign/hackathon2019/

ドローン飛行コンペ優勝


航空工学研究会の3人
(左から)小野さん、竹田さん、小川さん
(左から)小野さん、竹田さん、小川さん
 ドローンを自動制御し正確な飛行を競うMathWorks Minidrone Competition at Tokyo 2019(12月7日、東京・秋葉原UDX Next Galleryで決勝ラウンド)で、本学文化会・航空工学研究会無人機班のsennbaduruチーム=竹田一裕さん(機械工学科4年)、小川達也さん(機械電子創成工学科1年)、小野貴彦さん(同)の3人=が優勝した。
 MathWorksは計算ソフトの世界的開発会社で、大会はその日本法人が主催。競技は、Parrot社製のミニドローンを使い、地上に引かれたラインを追跡し円形マーカーに着陸するよう、プログラムを開発・実装して、その正確さを競う。
 昨年9月から募集して12チームが参加。11月に決勝進出6チーム(岐阜大、本学、奈良先端科学技術大学院大、立命館大、呉高専、東京大)が決まり、12月に決勝が行われた。
 航空工学研究会の無人機班は普段、機体製作、自立制御プログラミングの研究、操縦練習などをしているが、参加決定時、竹田さんしかMathWorksソフトに触れたことがなかった。そのため、シュミレーションでの動きと、プログラム実装機体の動きが異なったり、急に動かなくなったりと、調整に苦労したという。
 しかし各人が得意分野で知恵を出し合い、課題を解決。決勝ラウンドでは他チームが完走できないなか、3回も完走を成功させた。
 竹田さんは「まさか優勝すると思っていなかったので、とても驚き、うれしかった。最後まで頑張った甲斐がありました」と語った。

「笑顔の国」描き全国2位


加瀬さん未来国会コンテストで
 若年投票率の向上をめざすNPO法人ドットジェイピー(佐藤大吾理事長)が主催した国家デザインコンテスト「未来国会2019」決勝大会(昨年9月20日、東京・西新宿の新宿NSビルで開催)は、地方大会11ブロックとWEB予選から勝ち上がった4組で競われ、加瀬大斗さん(デザイン科学科2年=チームカステラ=写真)の「虹色の笑顔の国」が2位を獲得した。
 大会は「もしあなたが総理大臣ならば」と30年後の自分たちの国家ビジョンを思い描き、実現へ10年後の政策・予算案を提案、コンテスト形式で競い合う。内閣府や各省が後援して年2回開き、今回が10回目。
 加瀬さんの「虹色の笑顔の国」は、身近な幸せをつくり、みんなが笑う国を、と願ったもの。3つの重点政策=子ども家族支援法▽VARS学校《みんなの学校》▽同(学校内オフィス)――を掲げ、いじめや家庭不安のない国の実現を求めた。推進施設に空き教室・空き学校を使って節約。委託料や運営費を実際に計算し、予算を324億円に絞った。タイトルの虹色は、多様性を表したかったという。
 大会参加のきっかけは議員インターン活動で地元・八千代市の高山敏朗市議のもとで夏休みを過ごしたことから。その一環でコンテストの千葉大会から応募した。
 1人なのにチームカステラを名乗ったのは「知り合った大勢の方々からアドバイスをいただき、自分独りでは成しえなかったから」という。
 「大学での学びがプレゼンパネル技術に生かされました。経験を積んで人のために役に立つよう成長したいと思います」と語った。

八千代松陰高と高大連携協定


 本学は12月3日、県内の私立八千代松陰高校(八千代市=平野克也校長、生徒数約2千人)と高校・大学間の連携協定を結んだ。
 八千代松陰高は吉田松陰の松下村塾をモデルに設立。スポーツや語学研修が盛んで、大学科目の聴講や個別活動プロジェクトを通して生徒に主体的行動を促し、大学進学への意識を開発したいと希望。本学は千葉県内での人材育成に貢献し、共同プロジェクトなどの活動を通して学生の育成に寄与したいと考えた。工学系に限らず高校との連携で新たな可能性を探る。
 締結式は津田沼校舎1号館20階のラウンジで行われ、平野校長=写真右=と小宮一仁学長=同左=が協定書にサインし握手を交わした。