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2018.12.15

坂野さん ポスター賞も


ロケット燃料の熱分解挙動解析 講演賞に続き
 日本分析化学会・高分子分析研究懇談会の第23回高分子分析討論会(10月11、12日、名古屋市の名古屋国際会議場で開催)で、坂野文菜さん(工学専攻博士後期課程1年、和田豊研究室=写真)が「熱分解GC/MSによるロケット燃料用高分子材料の熱分解挙動の解析」の概要説明(口頭)とポスター発表を行い、ポスター賞を受賞した。
 熱分解GC/MSは試料導入部に熱分解装置を設置したガスクロマトグラフィー質量分析計のこと。研究では1秒間で5千度以上もの高温に達するハイブリッドロケット燃料の瞬間加熱環境を模擬した発生気体分析により、ロケット燃料表面の熱分解挙動を解析した。
 同学会でロケット燃料を扱った発表は初めてという。このため高分子分析を取り入れた研究背景や、ロケット燃料と他の高分子材料との分析環境の相違を重点的に説明した。討論会では90余件が発表され、内容や提示方法、説明要領について参加者全員が投票した結果、坂野さんらが優秀ポスターに選ばれた。
 坂野さんは「分析化学を専門とする方々からこのような賞をいただけ、大変光栄です。セッション中は多くの方が足を止めてくださり、分析手法や解析結果について多分野の視点から議論を重ねることができました。得られた知見を研究室仲間とも共有して、次の研究につないでいきたいと考えています」と述べた。
 坂野さんは今年5月の火薬学会春季研究発表会でも、ハイブリッドロケット燃料の熱分解挙動について口頭発表し、優秀講演賞を受賞している。

安川准教授らポスター賞


金ナノ粒子を使った磁性膜の磁気物性制御で
 安川雪子・電気電子工学科准教授=写真=が、2018年(第79回)応用物理学会秋季学術講演会(9月18日、名古屋市の名古屋国際会議場で開催)で5人連名のうえポスター発表した「Auナノ粒子に誘起される遷移金属―希土類アモルファス薄膜の磁気物性」がポスターアワードを受賞した。
 5人は安川准教授と小林政信・先端材料工学科教授▽本学電気電子情報工学専攻修士課程を修了した原亮介さん(日本電波工業(株)勤務)▽山根治起・秋田県産業技術センター電子光応用開発部上席研究員▽リン・ジャウィン国立台湾大研究員――で、発表者は安川准教授が務めた。
 金ナノ粒子の電子は光と共鳴振動し、優れた光エレクトロニクス特性を発揮する。これを利用して発色関係、光磁気記録、レーザー、有機太陽電池、治療薬関係、触媒――と、さまざまなハイテク分野に応用が広がっている。
 安川准教授らは金ナノ粒子によって遷移金属―希土類のアモルファス(結晶構造を持たない)薄膜の磁気物性が変化する現象を詳細に調べた。
 安川准教授が本学着任時の2014年に構想を始め、翌年から研究に着手。磁気を使って光を制御する未経験の分野だったが、小林教授らの指導のおかげで、ここまで進展できたという。
 安川准教授は「伝統ある学会から栄誉ある賞を頂き、大変うれしく思っています。発表テーマはこれまでの経験・実験技術、そして多くの温かい人の和を融合したオンリー・ワンの研究と自負しています。これからも研究の革新性を追求し、創造を目指したいと思っています」とコメントした。

神保さん優秀ポスター賞


動画像のデータ圧縮に深層学習応用
 IEEE(米国電気電子学会)主催の情報家電に関する国際会議GCCE2018(10月9〜12日、奈良市の奈良ロイヤルホテルで開催)で、神保悟さん(情報科学専攻修士2年、八島由幸研究室=写真)が「Deep Learning-based Transformation Matrix Estimation for Bidirectional Interframe Prediction」を発表し、アウトスタンディングポスターアワードを受賞した。
 テレビの4K・8K実用放送には、映像データ圧縮国際標準「H.265」が用いられているが、ディープラーニング(深層学習)を応用してさらにデータ量を削減する方法が模索されている。
 神保さんはディープラーニングを、隣り合うフレーム間の差分信号を符号化する「フレーム間符号化」に応用する方法を検討。脳の神経回路網を模した画像認識モデル「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)」を用いて、2つの参照フレームからそれらの中間フレームを予測するための変換行列を推定し、参照フレームにその変換行列を乗算することで、複雑な動きに対しても中間フレームを的確に生成する手法を提案した。
 その結果、従来の「H.265」に比べて30%を超える圧縮率向上を達成した。神保さんは「多くの参加者がさまざまな観点からディスカッションして評価してくださり、大変うれしく思います」と受賞を喜んだ。

最優秀賞に加藤所長
日経地球環境技術賞


南鳥島海底でレアアース泥発見、選鉱技術を確立
 2018年・日経地球環境技術賞の表彰式が11月29日、日本経済新聞社(東京・大手町)で開かれた。最優秀賞に「南鳥島レアアース泥 ―革新的な資源開発システムの創成―」(本学の加藤泰浩・次世代海洋資源研究センター所長=東京大大学院工学系研究科エネルギー・資源フロンティアセンター センター長・教授を併任=写真)が選ばれ、表彰された。
 加藤所長は、日本最東端の小笠原諸島・南鳥島(東京都)周辺の排他的経済水域(EEZ)の海底を、本学、東京大、早稲田大、海洋研究開発機構などの研究グループを組織して調査し、大量のレアアース(希土類)を高濃度で含む泥を発見。さらにレアアース濃集鉱物の高効率な選鉱技術を確立した。
 日経地球環境技術賞は温暖化防止、新エネルギーや省エネルギー、地球環境保全への貢献度、技術開発・研究や調査についての独自性、将来性や実現性、社会へのインパクトなどを総合判断して毎年、選出されている。
 加藤所長は「レアアース泥は、放射性元素など環境に負荷をかける元素をほとんど含まず、極めてクリーンな資源です。採掘からものづくりまで一連のサプライチェーンを構築したいと考えています」と語っている。

マレーシア科学大と


大学間交流協定に調印
 小宮一仁学長は11月27日、マレーシア・ペナン州(ペナン島)のマレーシア科学大を訪問し、本学との交流協定に調印した。
 マレーシア科学大は国立総合大学で1969年に創立。応用科学工学系、教養系、基礎科学系の23学部と通信教育学部を持っている。本学との海外交流協定校はこれで17カ国・地域の38大学となった。
 写真は調印式の小宮学長(左から3人目)とアブドゥル・ラフマン・モハムド副学長(右隣=研究・イノベーション担当・教授)

教育功労者に3氏


県私学教育振興財団
村越 祐子氏 皆川 真由美氏 竹内 秀一氏
村越 祐子氏 皆川 真由美氏 竹内 秀一氏
 本学の竹内秀一・新習志野学生センター課長、皆川真由美・入試広報課長、村越祐子・学生センター課長補佐の3人が12月8日、千葉県私学教育振興財団から教育功労者として表彰された。
 竹内課長は平成3年4月に勤務以来、入試課、教務課、学生課を歴任。現入試システムの構築や教学学生支援に取り組み本学の発展に多大に貢献した。課外活動でも野球部の監督として指導に尽力し、教員学生たちの信頼が厚い。
 皆川課長は平成元年に勤務以来、熱心誠実に職務に精励。これまで学事課、入試課、総務課で、適切な判断力で迅速に業務を成し遂げた。現在、入試広報課長として入試改革に取り組むとともに管理職として女性活躍推進の一役を担っている。
 村越課長補佐は昭和61年に勤務以来、就職課、入試課、学務課、会計課、津田沼教務課で熱心に職務を遂行。特に津田沼教務課では学生の就学相談などに積極的に取り組み、快活な性格で信頼されている。学部学科改組に伴う教育課程変更、教学システムの導入など複雑な業務にあたり、本学の発展に尽力した。