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2018.12.15

日欧「Beyond 5G」開発 始動


枚田教授らのチーム
次々世代 高速移動通信
10月29日、ブラウンシュヴァイク工科大で開かれたキックオフミーティング。前列中央(黒いスーツ姿)が牧田教授
10月29日、ブラウンシュヴァイク工科大で開かれたキックオフミーティング。
前列中央(黒いスーツ姿)が牧田教授
 スマートフォンやIoT(モノのインターネット)が広がり、高速大容量の無線通信が求められるなか、本学情報通信システム工学科・枚田明彦教授、水津光司教授の研究室と早稲田大、岐阜大、日本電気(株)、高速近接無線技術研究組合の国内チームは7月1日、ブラウンシュヴァイク工科大、ドイツテレコムなど欧州の7研究機関と共同で「大容量アプリケーション向けテラヘルツエンドツーエンド無線システムの開発」を開始し、10月29日、世界に公表した。
 現在普及している移動通信システムは第4世代(4G/フォージー)と呼ばれ、より高速な第5世代となる5Gの技術開発が進行中。今回、日欧連携グループが目指すのは5Gの次の「Beyond5G/ビヨンド・ファイブジー」。
 Beyond5Gでは、膨大な数の基地局をネットワーク化する必要があり、高速大容量をうたう光ファイバーでも日欧の膨大な基地局を結ぶのは困難だ。また、途上国などでは依然、伝送能力が低い固定無線に頼っている。
 そこで期待されるのが光ファイバー並み伝送力と、固定無線の容易な設置性を兼ね備える技術。
 日欧グループは、実際のネットワークに接続可能な300ギガヘルツ帯高速無線伝送システムの技術開発を実施。日本側の高速無線信号処理・テラヘルツ帯増幅技術と欧州側テラヘルツ帯半導体回路技術を融合した無線システムの開発を行うとともに、標準化を進め、Beyond5Gの実現を目指す。
 そのためには①屋内外で10メートルから1キロメートルの範囲でのリンク性能のモデル化と、オフライン処理を用いた100Gbps(毎秒100ギガビットのデータ伝送)以上の伝送速度の達成②リンク距離1キロメートルで伝送速度40Gbps以上のリアルタイム動作可能な300ギガヘルツ無線システム③キーデバイスである300ギガヘルツ帯用の高性能増幅器、周波数変換器、低雑音受信器や、V/Eバンド信号合成分配技術――などの技術課題をクリアし、成果を国際標準に反映したいとしている。
 連携グループのリーダーは川西哲也・早大理工学術院教授、サブリーダーは枚田教授らが務め、欧州委員会Horizon2020と国立研究開発法人情報通信研究機構の委託研究として、3年後の2021年6月末まで実施される。
欧州側の7研究機関
 ブラウンシュヴァイク工科大▽ドイツテレコム▽フラウンホーファー応用固体物理研究所▽シュツットガルト大(以上ドイツ)▽Siklu Communications(イスラエル)▽リール第一大マイクロエレクトロニクス・ナノテクノロジ電子研究所(フランス)▽VIVID Components(イギリス)

産官学インターンシップ開く


サイバーセキュリティー
 理工系・情報系の学生を対象にした「サイバーセキュリティ産官学合同インターンシップ」(千葉県警主催)が11月28日、津田沼キャンパス2号館の大教室で開かれた。本学のほか千葉大、東京情報大などから学生約50人が参加し、コンピューターウイルスの感染や情報漏洩の脅威から、どうネットワークを守るかを学んだ=写真
 大学と県警、IT関連企業などが結んだ協定による取り組みの一環で、サイバーセキュリティーに従事する人材の確保と育成を目的としている。
 当日は、パソコンをウィルスに感染させ持ち主が閲覧できない状態にしたうえで、復旧のためと称して金銭を要求する「身代金ウイルス」の実際の画面などを示した。また、スマートフォンのアプリを使ってパネルディスカッションが行われた。
 参加した学生たちは「新たに出てくる脅威にどう対処していくか、興味がわいた」「予防や対策だけでなく、電子機器から証拠を解析するのが面白そうだなと思った」などの感想を寄せた。

放送研が協力動画制作


「電話de詐欺」撲滅
「電話de詐欺」撲滅の動画から
「電話de詐欺」撲滅の動画から
 習志野市内では今年、「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」など、電話で高齢者を狙った詐欺が過去最多を更新し、習志野警察署が「電話de詐欺」撲滅運動を展開している。
 本学文化会・放送研究部(代表・松尾佳典さん=情報通信システム工学科3年)は、習志野署から撲滅運動に協力してほしいとの依頼を受けて「習志野市における防犯協定の締結」とタイトルを付けた動画を制作し、千葉県警察公式チャンネルにアップした。この活動に同署の國ア正晴署長から10月25日、感謝状が贈られた。
 動画は山本賢雅さん(電気電子工学科3年)が撮影した。内容は▽市や同署など官民5機関による防犯協定締結式と撲滅宣言発表の様子(6月28日・習志野市役所で)▽津田沼駅前で行われた防犯キャンペーン。ガイドブックやチラシを配る様子(同日)▽小学生が「おじいさん、おばあさん気を付けて」と市の放送で呼びかける様子(7月3日・市役所内)――などで、ニュース動画のように構成した。
 キャスター役は、島村春美さん(生命科学科3年)と鮎原常翔さん(先端材料工学科2年)の2人が画面に登場。年々、巧妙化している詐欺手口などを紹介して、卑劣な電話詐欺の撲滅を訴えた。
 習志野署から依頼を受けた時、代表の松尾さんたちは「サークルの評価も上がり大変光栄なこと」「日頃の技術を生かすチャンス」と即、協力を決めたという。
 山本さんは「現場で取材して報道の雰囲気を味わえ、警察署を訪れたときの緊張感など、貴重な経験ができました」と話し「少しでも多くの人に見てもらい、被害の減少に貢献できれば……」と、啓発効果に期待を寄せている。
 動画はYouTube「千葉県警察公式チャンネル」で公開中。
感謝状の贈呈式で松尾さん(左)と山本さん。後ろ左は國ア署長
感謝状の贈呈式で松尾さん(左)と山本さん。後ろ左は國ア署長

31年度 AO・推薦入試終了


 平成31年度AO・推薦入学試験が、11月18日に行われた指定校制推薦入学試験を最後に、全日程を終了した。
 9月から11月にかけて▽AO創造入学試験▽公募制推薦入学試験▽専門高校推薦入学試験▽指定校制推薦入学試験▽帰国生徒推薦入学試験(指定校制)▽特別入学試験(外国人留学生・帰国生徒・社会人)――と、順次行ってきた。志願者数の合計は1652人。
 また、編入学試験、指定校制(高等専門学校)編入学試験を11月17、18日に行い、今年は39人が志願した。

31年度 授業料決まる


 平成31年度入学生の学生納付金が、7月18日の理事会で決定した。
 入学金は学部(工学部、創造工学部、先進工学部、情報科学部、社会システム科学部)、大学院(工学研究科、情報科学研究科、社会システム科学研究科)とも、25万円。授業料については、学部139万円、大学院84万円。次年度以降在学生の授業料は、学部、大学院とも5万円のステップアップとなる。