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2018.4.15

伊藤さん 優秀講演奨励賞


HDDの磁気ヘッド位置決め制御系設計で
 日本機械学会のIIP2018情報・知能・精密機器部門講演会(3月14、15日、埼玉県川越市の東洋大・川越キャンパスで開催)で、伊藤淳さん(受賞時は機械サイエンス科4年、熱海武憲研究室=写真)が「HDD磁気ヘッド位置決め制御系におけるRBode plotを用いたH∞(無限)制御器の改善法」を講演発表し、優秀講演奨励賞に選ばれた。
 研究は、ハードディスクの磁気ヘッド位置決め制御系設計に関するもの。既存の制御系に対し、RBode plot(ボード線図)と呼ばれる手法を用いて容易に制御系の改善ができることを示した。
 制御の基礎的勉強から始め、最先端の機器を対象に研究したため、難解なことが多くて苦労。壁にぶつかるたびに、熱海准教授に助けてもらったという。
 機械学会の同部門は「ロバスト制御(安定的で満足な制御)性能を補償する高性能な制御器を簡易に設計可能とする優れた手法」と評価した。
 伊藤さんは「研究途中で投げ出したくなることもありました。熱海先生のご指導のおかげで受賞できました。諦めずに取り組んでよかったと思います」と語った。

小林さん 優秀ポスター賞


高分子学会千葉地域活動若手セミナーで
 高分子学会関東支部が産官学の若手研究者のために開く第35回千葉地域活動若手セミナー(3月14日、習志野市泉町の日本大生産工学部・津田沼キャンパス)で、小林紅留美さん(生命環境科学科4年、島崎俊明研究室=写真)が「トレハロースを親水基とする両親媒性蛍光色素材料の合成と光物性」をポスター発表し、優秀ポスター賞を受賞した。
 島崎准教授の研究室では、強く蛍光を発したり安定な酸化状態を保つ有機化合物を合成し、有機ELパネルや照明、有機太陽電池などに役立てる有機材料化学を研究している。
 小林さんは生体親和性の高いトレハロース(親水基)と、強い蛍光性を有する芳香族化合物のピレン(親油基)とを組み合わせることで、細胞内に導入可能な蛍光プローブを化学合成した。
 この蛍光発光のメカニズムをスペクトルなどによって詳細に解明し、さらに細胞内に導入したところ、実際に細胞が緑色に発光することを見出した(生命科学科の黒崎直子教授との共同研究)。これらが今回の受賞につながった。
 小林さんは「初めての学会でしたが、日々の研究をこんな形で評価していただき、とてもうれしい。これを励みに大学院でも頑張りたいです」と語った。

緒方教授が機械学会賞


論文3度目 耐熱金属材料のクリープ損傷研究で
 機械工学科の緒方隆志教授=写真=が2016年に発表した研究論文「Cr MoV鍛鋼環状切欠き試験片のボイド成長シミュレーションに基づくクリープ損傷評価」について、日本機械学会は17年度の日本機械学会賞(論文)に選定。4月19日、東京・元赤坂の明治記念館で開いた年次総会で賞状を贈った。緒方教授の同賞受賞は3度目。
 緒方教授は金属材料の強度評価、損傷機構の解明などを研究している。高温機器の耐熱金属材料は、高温下で複雑な応力を受けるとクリープ損傷=結晶粒界上にボイド(空孔)が発生・成長=が起きる。その過程の解明と定量的な予測方法の開発が待たれている。
 緒方教授は、火力発電所の蒸気タービンローター用材料に使われているCr MoV鍛鋼を対象に、高温強度試験と電子顕微鏡観察、応力解析を行い、それまで明確でなかったクリープ損傷の進行に及ぼす複雑な応力の影響を解明した。
 さらに、ボイドが成長するメカニズムに基づき独自に提案したシミュレーション手法を適用、複雑な応力条件下で進むボイドの発生・成長挙動の定量的な予測に成功した。
 成果は、当時院生だった池田直人さん(現・(株)神戸工業試験場勤務)と連名で発表。日本機械学会論文集 第82巻第844号(2016年12月)に収録された。
 同学会賞は、年ごとに過去3年の学会誌掲載論文を対象に決められている。
 緒方教授は「研究室に初めて迎えた院生との共著で、実験や解析に真剣な議論を重ねた結果が表彰につながったことをうれしく、光栄に思います。ご協力いただいた多くの方々に感謝します。成果が、稼働中の高温機器の損傷や寿命評価精度の向上に役立てば幸いです」とコメントした。

岩瀬翔さん 学生奨励賞


ウエブサービス障害の影響研究で
 情報処理学会の第80回全国大会学生セッション(3月13〜15日、東京都新宿区の早稲田大・西早稲田キャンパスで開催)で、岩瀬翔さん(プロジェクトマネジメント学科4年、矢吹太朗研究室=写真)が「Twitter発言の分析によるWebサービス障害の影響調査」を発表し、学生奨励賞を受賞した。
 論文はGitHub(ギットハブ=ソフトウエア開発プロジェクト用の共有ウエブサービス)のようなウエブサービスの停止がプロジェクトに及ぼす影響を、Twitter上での反応を通じて調査したもの。
 TwitterはAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)と呼ばれる仕組みを使って調査できるが、岩瀬さんの研究にはあまり役に立たなかったため、それに変わるツールを自分で制作。今回の研究以外でも使える汎用的ツールを開発した。
 岩瀬さんは「学内だけでなく、学外の発表で賞をいただけたことがとてもうれしいです。アドバイスをしてくださった先生や友人たちに感謝します」と語った。

お手本ロボが優勝
ロボットグランプリ


西村研究員 ランサー競技で学生を指導
 日本機械学会主催の第21回ロボットグランプリは3月24、25日、東京・南千住の都立産業技術高専・荒川キャンパスで開かれた。ロボットランサー競技には全国から58人がエントリーし、スタンダードクラスで西村健志・未来ロボット技術研究センター(fuRo)研究員のロボット「ザビエル」が優勝した。
 未来ロボティクス学科から参加した学生たちの成績は▽鍬形篤史さん(4年)「Hoecar」6位▽草野克英さん(2年)「†航希†」9位▽岡淳之介さん(同)「†赤川†」19位――だった。
 ロボットランサーは、自律型ロボットに“槍”を装備させた槍騎兵(ランサー)による競技。白線コースを60秒周回し、コース左右の標的を、槍でどれだけ正確に、数多く突けるかを競う。学生にとっては、ロボット作りの基礎技術を学べる競技。
 今回、fuRoの西村研究員は、未来ロボティクス学科の学生たちを指導する傍ら、手本としてロボットを製作した。
 ランサー競技は実績順にマイスター、スタンダードの2クラスがあるが、西村研究員は学生たちと一緒にスタンダードクラスに参加し、確かな技術を示した。
 西村研究員は「優勝はもちろん、指導学生たちも結果を残すことができて、うれしく思います。工作センターをはじめとした本学の設備はレベルが高く、研究やものづくりを行う上で非常に恵まれた環境だと改めて実感しました」と語った。
(左から)岡さん、草野さん、西村研究員、鍬形さん
(左から)岡さん、草野さん、西村研究員、鍬形さん
ロボット作りを指導する西村研究員(右)
ロボット作りを指導する西村研究員(右)