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2016.9.15

鎗田さん 若手奨励賞


窒化炭素の電界電子放出特性に関する研究で
 日本材料科学会学術講演大会(6月29日、東京都江東区青海の産業技術総合研究所臨海副都心センター別館で開催)のポスター発表部門で、鎗田滉大さん(機械サイエンス専攻博士前期課程1年、坂本幸弘研究室)が「窒化炭素の電界電子放出に及ぼす放出時の圧力の影響」を発表し、若手奨励賞を受賞した。
 電界電子放出とは、材料表面に強い電界がかかると、自由電子が量子力学的トンネル効果で真空中に放出される現象。放出電子はその表面を反映した形で放出されるので、表面観察に用いられる光学顕微鏡の光源に相当する電子源として電子顕微鏡などに使われる。
 電子放出材料としては現在、カーボンナノチューブ(CNT)が優れているが、酸化が起きやすく超高真空の中でしか扱えない。そうした中で、新電子源として有望視されているのが結晶性の窒化炭素。より低い真空度で電界電子放出するとみられ、物理・化学的にもCNTより安定している。
 鎗田さんは窒化炭素の合成と電界電子放出特性について詳細に検討し、計測を重ねた。その結果、窒化炭素は従来の電子放出材料と比較して、低い真空度で電子放出が認められた。しかも劣化せず長寿命の電子源であることを明らかにした。
 発表では、図や表で内容を分かりやすく、伝えるよう努めたという。鎗田さんは「賞を頂け大変うれしく思います。坂本教授と助言をいただいた田中一平さん(学習支援センター・教育系職員)、研究室の方々のおかげです」と感謝の気持ちを表した。
鎗田さん(左)と田中さん(坂本研で)
鎗田さん(左)と田中さん(坂本研で)

滝口さん 最優秀賞


国際ハープフェスティバルのポスター
滝口さん
滝口さん
 音楽都市を目指す埼玉県草加市が国際ハープフェスティバル2016(11月、草加市文化会館で開催)のポスターを募集したデザインコンクール(草加市、日本ハープ協会、上野学園大など主催、外務省、オーストリア大使館など後援)で、デザイン科学科4年・滝口亜美さん(松崎元研究室)の作品が、プロのデザイナーらを抑えて最優秀賞に決まった。
 表彰式は11月20日、ファイナルコンサートの会場で。入賞作品展は8月24〜31日、同文化会館で開催された。11月19、20日にも展示される。
 滝口さんの作品は、ハープを象徴する形の下に、コンサート概要を見やすく整理した。全面を塗り分けた作品が多い中、シンプルで品の良さが際立った。
 「ハープの音色の繊細さと華麗さを表現し、フェスティバルという名の通り、明るさを全面に出しました」と滝口さん。
 例年は背景が黒っぽい作品が多かったので滝口さんは、ハープの繊細さを出すため敢えて背景を白くし、ハープの枠と弦に絡む花模様を、明るい赤やオレンジ色にした。ハープは紙だけで制作し、陰影を出した。応募総数69点のうち10人が入選、その頂点に輝いた。
 滝口さんは「最優秀賞をいただき、とても光栄です。制作でお世話になった方々に感謝します。フェスティバルが開かれる草加市文化会館に行って、私のポスターが実際に張られているのを見てとてもうれしく思いました」と感想を寄せた。
 国際ハープフェスティバルは1989(平成元)年から草加市で開催。国内外の一流ハープ奏者が集まり、日本ハープコンクールも開かれる。
最優秀賞に決まったポスター
最優秀賞に決まったポスター

小林さん 学生優秀賞


大気圧プラズマジェットを用いた水質浄化
 日本海水学会の第67年会(6月9、10日、北海道登別市の登別グランドホテルで開催)で、生命環境科学専攻の小林拓洋さん(修士1年、尾上薫研究室=写真)が「大気圧プラズマジェットを用いた水質浄化法の開発―ヒドロキシルラジカル生成法の検討」を口頭とポスターで発表し、学生優秀賞を受賞した。
 大気圧プラズマジェットは、基本的にはアルゴンなどの希ガスに電磁波を印加することで生成。反応性の高い活性種(ラジカルなど)を生み出せる。活性種を活用すると、化学薬品を用いずに特異的な反応を起こせるため、水質浄化以外にも医療・半導体・材料加工・化学原料合成など多分野での応用が期待されている。
 小林さんらは、プラズマジェットと水との接触を利用して、有機物分解能が極めて高いヒドロキシルラジカルを水中に効率的に生成する手法を研究。一般的なオゾン処理にプラズマジェット接触を同時に行うことで、分解しにくい有害有機物を迅速に分解する方法に目途を付けた。
 小林さんは「高効率化を達成できたのは尾上先生や博士研究員の和田善成先生、研究室仲間のおかげです」と喜びを語った。

馬場さん竹下さん 最優秀賞


不動産鑑定士PR動画コンテスト
 日本不動産鑑定士協会連合会が公募した「不動産鑑定士PR動画コンテスト」で生命環境科学科2年、馬場樹さんと経営情報科学科2年の竹下将大さんの「名称未設定のプロジェクト」が最優秀賞(賞金10万円)に選ばれた。同連合会の総会(6月23日、東京都港区白金台の八芳園で開催)で表彰された。入賞動画は連合会ホームページと公式Facebook、YouTubeで公開中。
 YouTubeでは、馬場さんらの作品は優秀作などを紹介した最後に登場。樹木豊かな公園で若い不動産鑑定士が空中にバーチャル画面を広げ、音楽を指揮するかのように画面やキーボードを操り物件を鑑定する未来の姿が描かれている。
 「インパクトの強い作品を」と馬場さんがストーリーを考え、サークル仲間だった竹下さんが鑑定士を演じた。
 コンテストは“不動産鑑定士になろう!”をテーマに30秒以内のPR動画を競作するもので大学、専門学校、高校の学生生徒を対象に3〜5月に募集。全国から28チーム30作の応募があり▽不動産鑑定士の業務内容が伝わるか▽印象に残るか▽メッセージ性が明確か――などを審査された。
 最優秀賞獲得に馬場さんは「学科の学びには直接関係ありませんが、映像製作に興味を持っていて、自分の力を試したかった。評価され素直にうれしいです。さらに良い作品へ、技術の向上に努めたい」と語った
(上)PR動画で未来の不動産鑑定士を演じる竹下さんと(下)馬場さん
上PR動画で未来の不動産鑑定士を演じる竹下さんと馬場さん
(上)PR動画で未来の不動産鑑定士を演じる竹下さんと(下)馬場さん