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2016.9.15

和田准教授開発 小型観測ロケット


音速超えに成功
 機械電子創成工学科の和田豊准教授が研究を進めている低融点の熱可塑性樹脂(プラスチック)を燃料とする小型観測ロケットの打ち上げ実験が7月8日、伊豆大島で行われ、音速を超えるマッハ1.2での飛行に成功した=写真下。また超音速ロケットの機体設計技術の独自開発にも新たな道を開くものとして注目される。
大気圏境で宇宙塵採集目指す
 この実験の成果は、本学独自のプロジェクトとして、今後数年以内の打ち上げを目指した高度30キロに到達する観測ロケットの設計製作に生かされる。最終的には地球外気圏と宇宙空間の境目とされる高度100キロを目指し、本学惑星探査研究センター(PERC)が進めている流星粒子など宇宙塵の採集を行うロケットとしての運用が予定されている。
 今回打ち上げられたロケットは全長約2.5メートル、燃料積載時の重量17キロ。機体は超音速飛行に耐えられる軽くて高強度のCFRF(カーボン繊維複合材料)製。和田准教授が開発した低融点プラスチックを燃料とし、酸化剤に亜酸化窒素を用いるオリジナルエンジンを搭載したハイブリッドロケットだ。
 7月8日午前8時6分45秒、伊豆大島南端の差木地広場から打ち上げられたロケットは、テレメトリー(遠隔測定法)のデータから高度約4.9キロに到達。その高度に達するまでの時間からシミュレーションしてマッハ1.22を記録したと考えられている。
 また、テレメーターのデータから、飛翔頂点付近でのパラシュート開傘にも成功したことが分かり、回収予想地点の海上でロケットエンジンの一部の回収にも成功した。
 PERCは今年6月、大気球による成層圏での微生物採集実験(biopauseプロジェクト)と、やはり成層圏での宇宙塵採集を目的とした簡易型気球のモンゴルでの放球実験を相次いでスタートさせた。いずれも「地球型生命の起源」や「宇宙の成り立ちの解明」にPERCが独自の発想で挑む壮大な実験の始まりだ。
 PERCの非常勤上席研究員でもある和田准教授によるハイブリッドロケット技術を活用した小型観測ロケットの開発は、これらの実験との相互補完関係をもつプロジェクトとして位置づけられている。
 和田准教授の話
 火薬や大量の液体を使わない“爆発しないロケット”の研究が最近、数多くされています。私が開発しているハイブリッドロケットエンジンは非常に安定性が高く、かつ安価。アストロバイオロジーの研究推進という科学目的に貢献する一方、将来の有人ロケットの打ち上げに利用してもらいたい。宇宙空間に持って行き、さらに深宇宙に向かって航行するための推進力を得るためのエンジンとしても利用できるのではないか。
松崎研がロケットを彩色
 今回ロケットの彩色=写真上=は和田准教授がデザイン科学科・松崎元研究室に依頼。4年生全員が出した60案から3案を選んで滝口亜美さん(同科4年)が実物大で作成。和田准教授と学生たちが推した1案を調整して仕上げた。滝口さんは「速さ、勢いをスクールカラーの紫紺でデザインし、ロケットに乗せるロマンや夢を、オレンジと水色を足して表現しました」。

豊田高専と連携協定


有能な工科系人材育成へ
 本学は8月17日、国立高等専門学校機構豊田工業高等専門学校と、地域で有能な工科系人材を育てようと教育・研究活動全般に係る「包括的な連携に関する協定」を締結した。
 締結式は豊田高専で行われ、小宮一仁学長=写真右=と高井吉明校長=同左=が締結書を交わした。両校は今後、協力して、次代を担い国際社会で活躍できる人材の育成を進めていく。

タブレット端末200台


浦安市の中学に寄贈
 夏休み明けの9月1日、浦安市の入船中学校で、本学が生徒たちにタブレット端末を贈る贈呈式が行われた。
 本学は平成26年に浦安市と人材育成などで包括的連携協定を締結。学生に貸与し卒業で返却されるタブレット端末の再利用について昨年度、ICT活用推進モデル校(高洲中学校、入船中学校、入船小学校)への活用を提案。高洲中に120台、入船中に80台を寄贈した。
 今年度はさらに200台を寄贈することにし、入船中に120台、その他の全市内8中学に10台ずつを贈った。これで入船中では全生徒に1台ずつ端末が行き渡った。
 贈呈式では松崎秀樹浦安市長のあいさつに続き瀬戸熊修理事長が「自主性や創造性を育む学習へ、さらなる活用を期待します」と生徒たちに語りかけた。今後、インターネットやカメラ機能の利用など、さまざまな授業でタブレット端末が活用される。
入船中での贈呈式で生徒から謝辞を受ける瀬戸熊理事長(壇上中央)と松崎浦安市長(同左)
入船中での贈呈式で生徒から謝辞を受ける瀬戸熊理事長(壇上中央)と松崎浦安市長(同左)