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2016.5.15

楽しいドライブ動画 提案


秋山さんに感性工学会が優秀発表賞
受賞した秋山さん(左)と指導の大川教授
受賞した秋山さん(左)と指導の大川教授
 大学院・未来ロボティクス専攻の秋山聡志さん(今春、修士課程を修了・大川茂樹研究室)が第10回日本感性工学会春季大会(昨年3月28、29日、京都市の京都女子大で開催)で「ドライブレコーダによる車内映像のエンタメ的利用の提案」を発表、優秀発表賞に決まった。今年3月26日、神戸国際会議場で開かれた第11回春季大会で表彰された。
 車の走行を映像で記録するドライブレコーダー(DR)は前方周囲を撮影するが、最近は後方映像も収録するタイプが登場している。秋山さんはこれを生かし、フロントガラス上部に付けたDRで、車内映像を連続的に収録し、自動的にダイジェストを生成。「後で見て楽しめる」ドライブ記録を作ることを試みた。
 DRにGPSで位置解説情報を付加、走行風景とともに、車内で会話が盛り上がったり笑顔の場面を抽出し、ダイジェスト動画を記録する。
 ランダム、笑顔、ランダム+笑顔、の3通りの場面抽出例を学生89人に見せて印象を調べた結果、動画コンテンツとして十分成立する余地があると分かった。
 普及が目覚ましいSNSや動画サイトとの整合性もよく、DRの設置率の向上も見込める。前席乗員の表情抽出が比較的容易と考えられる反面、後席乗員についての抽出条件が課題という。
 秋山さんは「研究を通して貴重な体験ができたことに満足しています。同時に、学生生活の最後に賞を頂け、うれしく思います。チームメンバーや大川教授、共同研究企業の方々に感謝します」とコメントを残した。

伊藤さんに奨励賞


「自己組織化特許マップ」を講演
 大学院電気電子情報工学専攻の伊藤智教さん(受賞時1年・小原和博研究室=写真)が、情報処理学会の第78回全国大会(3月10〜12日、横浜市の慶応大・矢上キャンパスで開催)で「企業名・技術用語をラベルとした自己組織化特許マップの作成と企業戦略の考案」を講演し、学生奨励賞を受賞した。
 小原研は人工知能(AI)をテーマパークの混雑緩和、避難シミュレーションなど新しい社会サービスに生かす方法に取り組んでいる。その一つが、膨大な特許情報を利用目的に応じ加工分析して表現する「特許マップ」の作成・利用法。
 伊藤さんは、情報家電に関する登録特許556件を対象に、テキストマイニング(単語〈1文節〉や係り受け〈2文節〉の頻度解析など)で特徴ベクトルを作成しニューラルネットワークの一種・自己組織化マップ(SOM)に入力して特許マップを作成した。
 SOMは、多次元の入力データを学習して2次元マップを出力するもので、類似データが近くに配置されるのが特徴。
 SOMへの入力データ(行列)として、企業名を行、技術用語を列とした場合=企業名をラベルとした特許マップ=と、技術用語を行とし、企業名を列とした場合=技術用語をラベルとした特許マップ=を調べた。
 これらの特許マップを用いて、日本企業連合(A社・B社・・・)が外国のX社(最も登録特許数が多い企業)に勝つ戦略を考案した。例えば「A社が秀でているモバイル機器と宅内無線LANに関連した技術に重点を置いた製品開発」や、「A社のエージェント技術(AIで処理を助ける技術)とB社のゲートウェイ技術(ネットワーク接続技術)を利用した端末選択自動化に関する製品開発」など。その講演内容と質疑応答の態度が高く評価された。
 伊藤さんは「小原教授から丁寧に指導していただき、自分も積極的に取り組んだ結果で、大変うれしいです」と受賞の喜びを語った。

野村さんベスト・プレゼン賞


究極のクリーンエンジン研究で
 大学院機械サイエンス専攻の野村卓矢さん(今春、修士課程を修了・佐々木洋士研究室=写真)が自動車技術会関東支部2015年度学術研究講演会(3月9日、東京都市大・世田谷キャンパスで開催)で「多段燃焼を行う予混合圧縮着火燃焼機関の研究」を発表、ベスト・プレゼンテーション賞を受賞した。
 佐々木研では、有害物質を出さないエンジンで究極の方式といわれ、日産なども開発を進めている予混合圧縮着火(HCCI=ガソリンをディーゼルエンジンのように自己着火させ炭酸ガス削減とクリーンな排気を両立させる燃焼方式)について研究。燃焼時の急激な圧力上昇率を抑制し、運転範囲を拡大する方法を検討した。
 その結果、燃焼室を大小2つに分割し、小燃焼室で先にHCCI燃焼を行わせ、その燃焼ガスが大燃焼室のガス温度・圧力を上昇させることで、HCCI燃焼を誘発させる二段式の新燃焼方式を考案した。
 野村さんは、二段のHCCI燃焼が行われるときの、小燃焼室の容積比が機関性能・燃焼経過・排ガス特性に及ぼす影響を詳細に調べて発表した。
 大変シビアな燃焼方式なので、データ採取には波形や燃焼音などに神経を集中させ、少しでも良いデータを得られるよう努めたという。プレゼン資料は視覚的に分かりやすく工夫した。
 野村さんは「まさか受賞するとは思っていなかったので、非常にうれしい。研究の成果が1つの形として表れたことに大きな喜びを感じています」と語り、指導の佐々木教授や研究仲間たちに感謝していた。

卒業研究で優秀賞


味八木さん 海水学会の学生研究会で発表
表彰状を手に喜ぶ味八木さん(中央)と研究室のメンバー
表彰状を手に喜ぶ味八木さん(中央)と研究室のメンバー
 生命環境科学科の味八木萌音さん(受賞時4年、4月に大学院進学=矢沢勇樹研究室)が日本海水学会若手会の第7回学生研究発表会(3月3、4日、神奈川県小田原市の塩事業センター海水総合研究所で開催)で、卒業研究をまとめて口頭とポスターで発表し、優秀賞を受賞した。
 矢沢研では機能性の高い地球表面=土壌の開発のほか、砂漠緑化や月・火星での宇宙農業も視野に関連技術を研究している。海水学会若手会は海水資源の有効利用などを目指す。
 味八木さんが発表したのは海水環境に関係する「琺瑯化が難しいとされるステンレス鋼板へのガラス接合の可能性―複合界面の密着強度とXPS解析―」。異種材料の接合の難しさと可能性について、X線照射による光電子分光分析法で表面分析して追究した。
 優秀賞は内容のほか研究の組み立て方、プレゼンテーション能力が総合的に評価される。味八木さんは大学院生・学部生34人の中から受賞した。
 味八木さんは「評価していただき胸がいっぱいになりました。矢沢先生と研究室の仲間のおかげ。今後も研究にまい進します」と喜びを語った。

念願のNコン本選に出場


三上さん 「舟を編む」を朗読
 高校時代から“放送”に挑んできた三上真緒さん(デザイン科学科3年)が第32回NHK全国大学放送コンテスト(通称Nコン)朗読部門で「舟を編む(三浦しをん作)」の抜粋を読んで、本選進出8作品に入り、念願の全国大会出場を果たした。
 コンテストは映像系と音声系に分かれ、音声系はアナウンス、朗読、ラジオドラマの3部門。予選は昨年夏、各作品を郵送で受け付け、NHK京都放送局ディレクター・アナウンサー、放送関係者らが審査し本選進出作品を決めた。
 本選(全国大会)は同12月5日、京都市の京都アスニーで開かれた。出場者たちはステージ上の椅子に座り、2分以内に自分が準備した小説の原稿を読み、その後当日渡された課題文を読んだ。
 三上さんは予選で提示された4作から「舟を編む」を選んだ。出版社で辞書づくりに没頭する編集者らを描き2012年本屋大賞となった小説。朗読したい部分を抜粋して原稿を作成。奇麗な情景描写と、内気な主人公が勇気を出して想いを伝えるすてきな場面を、情景がしっかり伝わるよう注意を払って読んだという。
 三上さんは高校時代、放送部に所属し、高校Nコン出場をめざしたが果たせなかった。あきらめきれず本学で文化会放送研究部に入り、応募した。
 本選進出が決まって以降、原稿を、情景をしっかり伝えられるように毎日、読み込んだ。滑舌練習や基礎練習も欠かさなかったという。
 三上さんは「3年間あきらめなかったことが自信になりました。出場者たちの上手な読みを生で聞けたこともよかった。入賞(3位以内)できなかったので、来年も頑張ろう、と新しい目標を得ることができました」と語った。