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2013.4.15

吉田君 若手優秀研究報告賞


塗膜防水の施工性を研究
 2012年度(第83回)日本建築学会関東支部研究発表会(3月6〜9日、東京都港区芝の建築会館で開催)で、吉田崇人君(建築都市環境学科4年<現在は企業に就職>=石原沙織研究室)が若手優秀研究報告賞を受賞した。
 受賞したのは「ウレタン塗膜防水の施工性と膜厚 粘度の経時変化と施工限界粘度」で、ゼミ生らと卒業研究で取り組んだ研究成果の一部を発表した。
 ウレタン塗膜防水は、液状のウレタンを屋根やベランダなどに塗布し硬化させて防水層を形成するもので、施工が適切でないと膜厚が薄くなったりムラができてしまい、最悪の場合、防水層が破れ漏水などを招く可能性がある。
 そこで石原沙織研は、田中享二・東京工大名誉教授(石原助教の恩師)、施工会社の田中防水工業(株)、日防技研(株)などとともに、塗膜防水の施工性と品質を定量的に明らかにする研究を始めた。
 防水分野の施工性に関する研究は前例がなく、施工性の定量化など試行錯誤しながら取り組んだ。吉田君と一緒に研究した高橋潤君(同学科4年)の2人は、施工職人に現場で集中指導してもらい、一から実験を重ねてきた。実験数が多く徹夜したことも。
 研究を頑張っても、発表次第では聴き手に伝わらない――プレゼンテーションの大切さに気付いた吉田君は、高橋君と何度も練習を繰り返したという。
 材料施工系では発表者72人中、5人が受賞。国公立や有名私大の大学院生が受賞する中、学部生の吉田君が一角を占める快挙となった。石原助教は「卒論レベルを超える水準になった」と努力を称えた。
 受賞は関東支部のホームページで公表、3月22日付で賞状と副賞が届いた。
 吉田君は「一生懸命取り組んだ研究が、受賞という形で残り、大変光栄です。石原先生や共同研究者の方々、何よりも一緒に実験した高橋君のおかげです」と述べた。
吉田君(左)と一緒に卒論で取り組んだ高橋君
吉田君(左)と一緒に卒論で取り組んだ高橋君

学会研究会賞を受賞


安藤准教授と田中さん
看護の現場 音声メモ導入実験
安藤准教授(左)と田中さん
安藤准教授(左)と田中さん
 安藤昌也デザイン科学科准教授と安藤研究室の田中一丸さん(デザイン科学科4年=現在デザイン科学専攻修士1年)らが昨年、共著で発表した論文がヒューマンインタフェース学会(3月7日、大阪大学豊中キャンパス)から第9回研究会賞を贈られた。
 論文は「看護・介護の状況を想定した手書きメモと音声メモの記憶補完効果の違い」(安藤昌也、田中一丸、杉原太郎・北陸先端科学技術大助教、内平直志・東芝研究開発センター技監)で、昨年の学会研究会(8月2日、東京電機大)で発表した。
 看護師や看護職員がメモや記憶を基に清書して看護・介護記録をとる際、手書きメモの代わりに音声メモを使ったらどうだろう、と定量的に比較検討した。
 場面を実験で再現するため、4コマ漫画を使って、流れや登場人物を記憶・再現するタスクを組み立て、割り込みタスクを交ぜながら研究参加者に実施してもらった。その結果、音声メモが手書きメモを代替できる可能性を示すことができたという。
 授賞理由では「割り込み」といった現状の現場を想定した課題設定など実験デザイン・実施手法に優れており、定量的・明確に音声メモと手書きメモの記憶補完効果の違いを示せたことが大きな成果としている。
 実験では5秒程度の短時間では、音声メモが手書きメモよりも優れていたが、記録時間が20秒と長くなると音声再生の手間から、記憶補完の成績が低下した。
 手書きの方は、20秒間記録時間で、割り込み業務があるような複雑な状況を記録する場合に、音声メモよりも優れていた。例えば電話のような割り込み業務は、印をつけて分かるようにするなど工夫がみられたという。
 研究室の田中君は実験の準備と実施、データ分析などを共に行った。
 安藤准教授は2008年にも同学会論文賞を受賞。今回は「実験デザインが評価され、とてもうれしく思います。これまでこうした実験はなく、どんな実験を組み立てたらよいか、悩みました。得られた結果は非常に納得のいくものでした。今後さらに研究を深めていきたいと思います」と語った。
 研究会賞は同学会が、1年間に研究会で発表された論文から、独創性、将来性などに優れ、完成度が高い論文を選んで贈っている。
 昨年の論文では7点が候補に挙がり、審査委員会で査読の結果、安藤准教授らの研究など2件が受賞した。

帰宅困難者受け入れ


習志野市と本学、協定締結 災害時
協定書を手に(左から)宮川常務理事、宮本習志野市長、松盛弘習志野文化ホール理事長
協定書を手に(左から)宮川常務理事、宮本習志野市長、松盛弘習志野文化ホール理事長
 災害時の帰宅困難者について、習志野市と本学、道路向かいの習志野文化ホールは3月28日、「災害発生時における帰宅困難者の受入等に関する協力協定」を締結した。
 協力内容は▽施設の一部を一時受け入れ場所に提供▽水道・トイレを提供▽公共交通機関の運行情報や道路情報を提供▽備蓄する飲料水や食料を可能な範囲で提供▽市が指定する場所への経路を案内する――など。
 協力期間は最大1日程度で費用は市が負担。平常時も市の訓練に協力する、などとなっている。
 東日本大震災時、習志野市内では帰宅困難者が約2000人発生し、JR津田沼駅周辺が混乱したため、関係機関で協議してきた。調印式は京成津田沼駅前ビルの市役所仮庁舎応接室で行われた。
宮本泰介習志野市長の話
  県内初の協定締結に協力をたまわり、非常に喜ばしい。今後も3者の結びつきを強力にしていきたい。
宮川博光常務理事の話
  東日本大震災時、何も準備していない中で本学が約1200人を受け入れた経験を生かし、帰宅困難者に対応したい。本学は科学技術を基にした私的な活動を行っており、さまざまな支援が出来ると思う。

入江主任研究員ら優秀講演賞


ロボット走行時の「道路認識」発表
入江清主任研究員 友納正裕副所長
入江清主任研究員 友納正裕副所長
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の入江清主任研究員と友納正裕副所長が、第13回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2012=昨年12月18〜20日、福岡国際会議場で開催)で「事前情報を利用した単一画像からの道路認識」と題して講演、優秀講演賞を受賞した。
 ロボットが市街地などを走行するために道路を認識する研究を解説したもので、入江主任研究員は「これを励みに一層頑張りたい」と感想を述べた。
 fuRoでは自律移動ロボットの研究をしており、その一環として、公道で課題機能を実証実験する「つくばチャレンジ」(ニューテクノロジー・つくば市主催)に参加。ロボットに街の通りやエレベーター搭乗、上りスロープなどの難コースを完走させて、2011年までただ1チーム、3年連続でつくば市長賞を獲得している。
 システムインテグレーション部門講演会は、ロボット技術のうち複雑化するシステムの諸問題を解決しようとするもので、領域は防災、エネルギー、バイオ、情報、セキュリティー、医療福祉など多岐にわたる。
 今回は全国から1100人を超す産官学の研究者・技術者たちが参加した。