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2012.5.15

平成24年度予算案を承認


 3月28日(水)、東京ガーデンパレスで開催された理事会・評議員会で、千葉工業大学の平成24年度予算案が承認された。
千葉工業大学 平成24年度予算
高等教育を取り巻く環境と本学の現状
 国際社会のグローバル化はさらに加速度を増し、一部地域の問題が瞬時に世界中に影響を及ぼすほど、国々の関係は緊密になってきている。昨年3月、東日本大震災によって大打撃を受けた日本経済は、さらにユーロ圏の金融、財政危機の影響を受け、空前の円高に苦しんでいる。
 東日本大震災から1年が経過し、被災地の復興はこれからであるが、東北地方を含めた日本経済の本格的な回復にはまだまだ時間を要することとなろう。これに関連して、企業の新卒採用は引き続き厳選化が図られ、大学卒の就職率は昨年度よりはやや持ち直したものの、過去3番目の低水準となっている。
 東日本大震災により本学も多大な影響を受けたが、被災した芝園校舎及び茜浜運動施設では短期間に急ピッチで仮復旧工事を進め、4月の新学期開始に間に合わせることができた。本格的な復旧工事は10月から着手し、平成24年度早々に完了の見込みである。
 震災復興への支援としては、未来ロボット技術研究センターが中心となって開発した災害対策ロボット「クインス」を、東京電力の要請を受け、急きょ原発対応に改良し、福島第一原子力発電所に投入した。
 本学の一般入試の志願者動向は、新校舎の完成、入試制度の改革、教育研究体制の充実、積極的な広報展開等によって志願者が継続して増加している。しかし、この結果に満足することなく、時代に即した教育課程改革を継続的に実施しつつ、修学支援体制の更なる充実やキャリア教育の拡充など、今後も総合的な学生支援体制の整備を進めていく。
■事業計画
1 教育研究
 本学の教育目標「科学技術の厳しい変化に対応できるしっかりした基礎学力を持つ学生(人材)の育成」を図るための一環として、前年度に引き続き、次の2項目からなる初年次教育を実施する。大学での修学に適応するのに必要な技術や心構えを養う授業工科系大学生としての学力を確保するための数学・物理学・化学の補完授業。これらを実施すると共に、1・2年生が通う芝園キャンパスの学習支援センターも充実させることにより、高校教育から大学教育への円滑な移行を進める。
 教育力の向上を図るために、FD活動の一環として平成21年度から学部教育シンポジウムを通じた「教育業績表彰」制度を運用しており、この制度の更なる充実を図る。また、学生を主体としたものづくり活動「CITものづくり」に対して人的・経済的支援を行い、学生に”ものづくり”に対する興味を抱かせるとともに実行力を養わせる。
 JABEE(日本技術者教育認定機構)認定コースの申請については、今年度に機械サイエンス学科(機械設計・開発コース)と建築都市環境学科(建築都市エンジニアリングコース)の申請準備を進める。これにより、当初予定したすべての学科(コース)が受審することになり、工業大学としての「出口での質保証」に繋がるものと考える。
 また、キャリア教育(初年次)の促進やキャリア形成支援の強化をはかり、近年の厳しい就職環境に対応する力を育成する。
 研究面においては、若手教員に対する研究支援強化等により、研究活動の活性化を進めるとともに、産官学融合センター機能の一層の充実を図ることで大学の第三の使命である「社会貢献」を推進し、研究シーズの積極的な公開を行う。
2 管理運営
 平成18年度からスタートした5カ年計画の再開発は、平成23年3月の新2号棟竣工を以って完結した。平成24年度以降も進行中の4号館改修工事に伴う移転作業や備品の購入計画を進めるほか、金属・工化実験室や部室棟の解体工事と本館・1号館跡地の整備計画を同時に進めて行く。
 芝園校舎においては、授業への配慮により工程の見直しを余儀なくされた震災復旧工事を早々に完成させた後は、計画的に更新してきた空調改修工事(6号館)と併せ、太陽光発電装置の屋上への設置を進める傍ら、平成26年春の竣工を目指し、新学生寮の建設計画を進めていく。
 既存建物の改修整備計画は、「学生のための環境整備」・「電力需要への対応(省エネ・節電)」・「災害時における安全・安心のための対策」をテーマに各種整備計画を検討していく。
 財務面は、上記の再開発計画による大型投資後も引き続き安定した財務基盤を確保し得るが、18歳人口の減少など大学経営をとりまく環境は一層厳しくなることが予想され、本学でも経費面の見直しや効率化に従来以上に力を入れていく所存である。
 さらには、競争的外部資金の獲得強化や資金運用の効率化などの諸施策を通じて大学の経営基盤の安定を図っていく。
平成24年度予算の概要
I【帰属収入】
 156億円(昨年度180億円 昨年度比24億円減)
 学生納付金は2・5億円の減少を見込み135億円とした。また雑収入は退職金財団交付金の減少13億円、補助金は7億円の減といずれもマイナスを見込み、帰属収入は昨年度比24億円減の156億円とした。
 なお、補助金と雑収入の減少は、昨年度の特殊要因(大震災対応補助金・教員の退職年齢引下げによる退職者増)がなくなったことによるもの。
II【消費支出】
 152億円(昨年度193億円 昨年度比41億円減)
 人件費は、退職金の減少が主な要因で、昨年度比16億円減の64億円とした。人件費比率は、40・9%(昨年度44・3%)である。
 教育研究経費は、震災復旧工事関係の経費および津田沼4号館他の建物改修に伴う経費や図書館システム、減価償却額を予算化した。
 なお厳しい経済環境に配慮した給付型奨学金や学生の教育に関する経費は引続き充分に予算化している。
 教育研究経費比率は、48・9%(昨年度38・6%)と大きく上昇している。
 管理経費は、平成24年に本学創立70周年を迎えることから、この関連経費を予算措置した。管理経費比率は、7・0%(昨年度7・0%)である。
 資産処分差額として、図書の処分差額を計上した。
III【基本金組入額】
 44億円(昨年度20億円 昨年度比24億円増)
 24年度の主な基本金組入額は次の通りである。
1) 第1号基本金 組入額49億円
  津田沼4号館改修工事 20億円
  建物各所改修工事 9億円
  建設仮勘定(芝園学生寮) 16億円
  津田沼金化実験棟他 取壊し ▲7億円
  構築物 8億円
  教育研究用機器備品 10億円
  教育研究用機器備品 除却 ▲7億円
  図書他 1億円
  同 除却 ▲1億円
2) 第2号基本金 ▲5億円
  教育環境整備資金 組入額15億円
    (芝園学生寮建設)
  校舎改修準備資金 組入額10億円
    使用額30億円
IV【帰属収支差額と消費 収支差額】
 以上の結果、帰属収支差額は4億円(3%)、当年度消費収支差額は40億円の支出超過となる見込である。
 翌年度繰越額は、42億円の支出超過となる予算である。