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2012.4.15

瀬戸熊修理事長 祝辞


「夢=生きる原動力を持って」
瀬戸熊修理事長
 今年は例年になく寒さが厳しいですが、桜の蕾もふくらみ、開花まであと一歩のところまで来ています。春の足音がすぐそばに感じられるこのよき日に、新入生諸君、ご入学おめでとうございます。そして、ご列席のご父母・御家族の皆様にも、心からお祝いとお喜びを申し上げます。
 また、東日本大震災と言う未曽有の大災害や原子力発電所事故が発生して、私たちが迫られた事のない未知への対応に直面して、一年の歳月が流れました。本日、入学された諸君の中にも災害に遭われた方もいらっしゃると思います。被災された方々に対しましては、心よりお見舞い申し上げます。遅れている復興作業が進み、安心して暮らせる日が、早く来る事をお祈りします。
 今回の震災は、大変不幸な出来事ではありましたが、日本国民がみせた「人の絆」の強さは世界の称賛を浴びました。我が国の、文化・伝統に根づいた、他者への礼節・地域社会への帰属意識に基づく、「国民の復興への力」は、他国にはない「人材育成教育」の賜物であり、日本の素晴らしさを諸君も感じたと思います。
 では、諸君が入学した千葉工業大学についてご説明したいと思います。本学は今年の5月15日に創立70周年を迎えます。創立は昭和17年、第二次世界大戦のさなかに誕生いたしました。当時の名称は「興亜工業大学」でありました。興亜つまりアジアを興すと書きますが、その名称が物語るとおり、国家の命運を担う優れた工学技術者を養成するために設立されたものであります。
国の期待担い創立
学ぶ誇り忘れずに
 このように、本学は、単なる私立の工業大学ではなく、国の期待を担って創立された、日本で唯一の旧制の私立工業大学であります。
 「建学の精神」は、一つが「師弟同行」で、教員と学生が一体となって学問に携わるキメ細やかな指導体制を表し、もう一つは「自学自律」で、自ら学び、思索し、創造し、解決する、創造性豊かな人材の育成を意味しています。
 この伝統を受け継いだ卒業生は、すでに7万人を越え、技術の最先端で活躍し、技術大国日本を支えています。
 諸君は、このような本学の伝統と、実績を引き継ぎ、学ぶ誇りを忘れずに、目標をしっかり立てて学業に打ち込んでいただきたいと思います。
 さて、わが国が、「科学・技術創造立国」を目指すのは、科学・技術を通して人々を豊かにする、そして、世界に貢献する国になろうということであります。
 人口減少時代を迎え、科学技術のトップを目指す我が国にとって、その担い手となる人材の養成・確保は極めて重要な課題です。
 天然資源に乏しく、世界で類の見ない速度で進む少子高齢化、人口のさらなる減少が見込まれています。科学技術に基づく改革は、将来に向けた唯一とも言うべき、競争力の源泉であり、我が国の生命線と言ってもよいと考えます。
 しかしながら、近年、先進国に加えてアジア諸国をはじめとする新興国が、科学技術に対して投資を大幅に拡充し、国を挙げて、その発展を図っており、科学技術においても、我が国の相対的地位が、将来的に低下していくことが懸念されています。
 今すぐにでも、我が国におけるものづくりを更に強化しつつ、新たな産業基盤の創出に向けて、世界最高水準の研究開発を推進していく必要があります。さらに、災害などから人々の生命や安全を確保して、生活の利便性や快適性を向上させ、真の社会的な豊かさを実現するための技術開発と、そのシステムの構築に取り組む人材が早急に必要であります。まさに、科学技術を学ぶ諸君に求められています。
 しかし、科学・技術の発展が、生活を豊かにした反面、地球環境の破壊など負の側面もあります。先端技術は、応々にして自然界に存在しない事象を作り出すことにつながるため、自然界への影響を最小限に留めることが重要である事と、諸君には、科学技術を学ぶ者として、忘れて欲しくありません。
広い視野に立って
環境守る技術者に
 諸君は、常にグローバルな視点に立って考え、一つの技術や解決策に対し、様々な切り口からの考察を徹底的に加え、科学・技術の影響を推測・評価し、自然環境が守れる循環型社会を目指す技術者になって欲しいと思います。
 そのために、大学は、諸君が日本の科学・技術の優れた継承者として恥じない技術者になるよう、教育・研究活動の支援はもちろん、学生生活まで含め、総合的に支援いたします。
 私は、諸君が「社会への参画意識」や「人生の満足感」を高める教育研究活動が図れるよう、教育環境の整備や学生支援を積極的に強化して、「活力溢れた多様な人材の育成」を通して、「千葉工大生なら出来る」と評価される、高度産業社会に対応出来る人材の育成を目指しています。
 本学の最近の社会的評価では、現在、福島第一原発の冷温停止に向けて、本学が開発した、原発災害対応ロボット「クインス」が、国産初のロボットとして投入され、テレビや新聞等で話題になりました。2月には、改良型の「クインス2号・3号」の2台を投入し、作業員の被ばくの減少を図るとともに、建屋内の動画撮影や放射線量を測定し、様々な成果を挙げています。
 3台のロボットは、大学の社会的貢献の一環として、東京電力へ無償提供しております。
 さらにクインスの性能の優秀さが、世界的に高く評価され、人間が近づけない活火山の調査など、様々な分野から依頼が来ております。
 諸君の記憶に新しい小惑星探査機「ハヤブサ」が、小惑星イトカワから採取した微粒子の分析は「惑星を作るもとになった材料がどんなものか」その解明は、科学的意義が極めて大きいと言われています。2014年に打ち上げ予定の「ハヤブサ2」には、本学の惑星探査研究センターが開発した機器が搭載され、調査・研究に参加・支援することが決定しており、今、世界中が注目しています。
 また、第3者評価の一環として行っております、株式会社格付投資情報センター(R&T)による格付けで、経営面や教育指導体制の充実度が評価され、9年連続AA−の評価を受けました。企業で申しますと新日鉄・パナソニック・YKKと同じランクになります。
 いろいろと申しあげましたが諸君、早い段階で、「夢」を持って下さい。それは、何よりも貴い夢があれば、それだけで「生きる原動力」になるからであります。
 夢は一つでも、実現する手段は無限にあります。失敗するほど、成功は近づいてきます。夢の実現への過程は、苦労も多いと思いますが、熱意を持って行動するほど、楽しいと感じるはずです。
 何事にもめげず「夢」を成功させる事は、周りの人を感動させ、幸せにします。
 そのためには、仲間も必要になります。
 多くの友達と出会って切磋琢磨し、諸君の大いなる夢を実現しようではありませんか。そして将来、世界に飛躍する研究者や技術者となることを願いまして、私の祝辞といたします。
平成24年4月1日
学校法人千葉工業大学
理事長  瀬戸熊 修

新入生インタビュー


三瓶康太君

エネルギー技術学びたい

三瓶康太君
(機械サイエンス学科)

中島瑠惟さん

心細さより期待でいっぱい

中島瑠惟さん
(生命環境科学科)

 AO入試ではラグビーで身に付けた明るさと元気の良さをアピールしました。父が空調設備の会社を経営しているので、エネルギー変換技術を学びたい。将来は自然エネルギーを地元(福島県郡山市)で活用したいと思っています。  化粧品に興味があり、関東で関連分野を学べそうな工学部ということで入学しました。自分で新しい製品を開発するのが夢。出身の長崎県から東京に出て来た友だちは数人しかいませんが、心細さより大学生活への期待でいっぱいです。
       
飯村由美さん

「絶対入る」がかなって

飯村由美さん
(デザイン科学科)

橋詰拓君

人と接するロボット開発

橋詰拓君
(未来ロボティクス学科)

 将来は空間デザインの仕事をしたいと考えています。絶対に千葉工大に入ろうと決めていたので、張り切っています。一人暮らしになりますが、こまめに料理もするつもりです。カレーが得意料理。  機械の仕組みが知りたくて、子どものころから古いラジオや電話機、ビデオデッキなどを分解していました。知らないパーツを見ると「これは何だ?」と興味が湧きます。介護ロボットや、人と接するロボットを開発したいです。
       
加瀬彩乃さん

画期的ゲームつくりたい

加瀬彩乃さん
(情報工学科)

吉川秀斗君

巻選手を見習い本気で

吉川秀斗君
(金融・経営リスク科学科)

 尊敬するゲームクリエーターは十字ボタンを開発した横井軍平さんと「星のカービィ」の桜井政博さん。私もいつか、画期的なゲームをつくりたいと思っています。  リスクマネジメントを学んで、投資のリスク面もきちんと説明できる金融マンになりたい。サッカーファンとしてはジェフユナイテッド千葉と柏レイソルの2チームがある千葉は楽園。巻誠一郎を見習い、僕も本気で取り組みます。