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2012.4.15

平成24年度入学式
本岡誠一学長 式辞


「失敗恐れず21世紀型の人間に」
本岡誠一学長
 新入生諸君、ご入学おめでとう。会場にご臨席のご父母の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。衷心よりお祝い申し上げます。
 本日、千葉工業大学に迎える運びとなりました新入生諸君は、工学部:機械サイエンス学科、電気電子情報工学科、生命環境科学科、建築都市環境学科、デザイン科学科と未来ロボティクス学科の6学科合計1651名、情報科学部:情報工学科、情報ネットワーク学科の2学科合計322名、社会システム科学部:経営情報科学科、プロジェクトマネジメント学科と金融・経営リスク科学科の3学科合計327名、また、大学院:修士課程は工学研究科、情報科学研究科、社会システム科学研究科の3研究科合計238名、博士後期課程は同じく3研究科合計12名、併せて総数2538名でございます。千葉工業大学の教職員一同、このように多くの新入生を迎えて、入学式を挙行できますことを非常にうれしく思いますと同時に、身の引き締まる思いでございます。
変わる世界に対応
「出口保証」が責務
 ところで、我々が生活しているこの21世紀の国際社会は急激な様変わりをしております。IT革命によって、情報は地球上を一瞬のうちに駆け巡ります。一国だけでは解決できない地球規模の問題も多くなって来ました。したがって、多くの企業は世界を相手に仕事のできる人材を求めています。人材競争に国境がなくなり、働くためには新興国の豊富で安い労働力との競争も必要となります。
 また、我が国では少子化、グローバル化等大学を取り巻く環境は大きく変わり、大学のユニバーサル化等で学生の価値観も多様化しております。更に、バブル崩壊後の円高、デフレなど経済の不況が長期化し、国際化と共に就職条件も厳しくなり、「大学教育の質」が問われております。特に理工系の分野は国際競争に晒される傾向が強く、そこで働く卒業生は何を学んだかではなく、何が出来るかが強く求められます。このことを私共は卒業生の「質の保証、出口保証」と言っておりますが、社会で通用する卒業生を世に送り出すことが大学の責務なのです。
 千葉工業大学の教育研究の基本的な考えは、本学設立時の理念である建学の精神にあります。本学の建学の精神は、「師弟同行」「自学自律」です。「師弟同行」は教員と学生が切磋琢磨し合いながら共に学ぶということで、教員は学生の目線に立ってきめ細やかな教育を行う師弟共生という教育理念のことです。また、「自学自律」とは自ら学び、体験し、思索し、創造し、問題解決能力を養う自啓自発という教育理念のことです。この建学の精神には、時代の変化にかかわらずどの様な時代でも絶えず通用する非常に高邁な精神がうたわれております。
 私共は、この建学の精神を実現するために、「科学技術の厳しい変化に対応できるしっかりした基礎学力を持つ学生(人材)の育成」という教育目標を掲げ、これを実践することで「卒業生の質の保証」、すなわち「出口保証」を行うべく教職員力を合わせて努力を重ねております。
 新入生諸君には大学卒業までに、自ら問題を見つけ解決の出来る力、所謂自学自律のできる、社会で高級技術者として通用する人材に成長することが求められているのです。千葉工業大学ではさきほどの教育目標にありましたように基礎学力を重視しております。それはどんなに立派な山も頂上だけでは山として成り立ちません。しっかりした裾野に支えられて初めて立派な山であるように、創造性豊かな工業技術者は、裾野である広い一般教養と基礎学力に裏打ちされて初めて可能であるということなのです。また、工学の基礎概念を理解するためには、教養基礎科目を、十分理解して次に進めるように基礎学力の修得が大切です。図書館や学習支援センターなどを積極的に活用して、基礎学力の修得に努めて下さい。教育課程は学年進行や新入生諸君の成長とともに自学自律できるように用意しております。
千種寮生有志による校歌斉唱
千種寮生有志による校歌斉唱
大人の責任自覚し
「繋がり」を大切に
 さて、新入生諸君は本日から、千葉工業大学という学問を学ぶ場での学生生活がはじまります。諸君はそれぞれ期待や不安を胸に抱きながら、この席に望んでいるものと思います。そこで、諸君が今日から学生生活を始めるに当たって、必要な心構え、三点について述べます。
 まず、一点目は、大学では学生諸君を大人として扱います。したがって、大学からの連絡はご父母ではなく原則学生本人に伝えられます。講義の履修は必須科目以外は各自の選択で行います。科目選択等の諸手続きも当然各自が行うことになります。これらは、学事日程に沿って進みますので、決められた期間内で諸手続きを行わなくてはなりません。このように大学は大人の自己責任を前提にしているということを最初に認識してください。
 第二点目は大学生活においては自己管理が大切であるということです。諸君の生活環境は昨日までと大きく変わります。高校までは敷かれたレールの上を歩むことが基本だったと思いますが、大学では自己責任が基本であり、レールも基本的には自分で敷くことになります。大学は自由が多い反面、安易な方向に流される危険もあります。自己管理に注意を払ってください。大学生活に慣れるまで、時々チェックをして軌道修正をすることも必要です。
 第三点目は友人関係です。このところ「人と人との繋がり」が希薄になり、孤独死等が社会問題になっておりますが、昨年の東日本大震災以来「絆」の大切さが改めて叫ばれております。理解し合える友人を得ることも、今後の長い人生という旅路では貴重な宝であり財産となります。新入生諸君は、勉学は勿論のこと、趣味、サークル活動などを通して「人と人との繋がり」を大切にしてください。
 以上3点を良く理解して大学生としての自覚と目的意識を持ち続けて下さい。
 新入生諸君は現在青春真只中にあります。人生の中で最も生命力にあふれ、日々成長するのがこの時期です。
 青春について、サミュエル・ウルマンは次のように言っています。
 「優れた想像力、逞しき意識、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言う」
 人生に「青春」と言う時期は2度とありません。この2度とない青春の可能性を信じ、悔いのないよう、それぞれの目的に向かって邁進されることを切望致します。
 それでは、新入生諸君、指示待ち人間にならないで、失敗を恐れず、自分で考えて行動できる二十一世紀型の人間を目指して、学部、大学院のそれぞれの課程で、またサークル活動を通して、有意義で充実した学生生活を送られるよう願っております。今日から諸君の笑顔がキャンパスいっぱいに溢れる事を楽しみに、式辞と致します。
平成24年4月1日
千葉工業大学学長
本岡 誠一
吹奏楽部の演奏が式に華を添えた
吹奏楽部の演奏が式に華を添えた