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2012.4.15

本岡学長が特別講話(要旨)


入学生諸君へ
本岡誠一学長
 本岡誠一学長=写真=は「入学生諸君へ―千葉工業大学で学ぶために―」と題する特別講話を、入学式終了後の4月1日午前11時半から幕張メッセ・イベントホールで行い、3学部11学科の入学生が聴講、希望家族も列席した。本岡学長は新入生・家族に本学の歴史、建学精神、教育方針などについて次のように語った。
■建学の精神と教育目標
 本学の建学の精神は、「師弟同行」「自学自律」です。「師弟同行」とは教員と学生が一体となって学問に携わる。教員は学生の目線に立って、きめ細やかな教育を行う師弟共生の教育です。「自学自律」は、学生諸君が自ら学び、思索し、創造し、問題解決能力を養うという自啓自発の教育です。
 この建学の精神を実現すべく、科学技術の厳しい変化に対応できるしっかりした基礎学力を持つ学生(人材)の育成という教育目標を立て、実践しています。
■教育の特色
 本学の教育の特色は、第1に、豊かな教養と人格を備えた人材を育成するための教養教育です。最近の学生諸君はコミュニケーション能力がない、といわれます。基礎学力に裏打ちされて初めてコミュニケーション能力が生まれてきます。
 千葉工大の学生として、将来を担うに必要な教養を身につけるため、教養科目30単位以上の取得を義務化し、「教養の数学」「教養の物理」「教養の化学」を必修化しています。
 第2は、変化する科学技術に柔軟に対応するための専門基礎教育です。科学技術が激しく変化する中で必要なことは、応用を可能にする基礎学力です。専門基礎および基幹科目の必修・指定化、教育効果を上げるための習熟度別クラス編成などを行っています。
 第3は、創造性豊かな人材を育成するための実践・体験教育です。演習・実験を重視しており、津田沼キャンパスでは工作センター、芝園キャンパスでは学生自由工作室を設け「CITものづくり」活動の支援も行っています。特に「ものづくり」活動は今年で4年目になります。学生諸君のものづくりを支援するもので、大学が審査しやってみる価値があると判断すれば、材料費として20万円を提供しています。学生たちは非常にいきいきと取り組んでいます。ぜひ諸君も作りたいものがあれば提案してください。
 第4は、工学・技術に夢を持ち続け、自分の将来像が描けるキャリア教育です。将来の仕事と人生設計をきちんと考える習慣を身につけてもらうため、就職課による各種講座やOB・OG懇談会を開いています。
 第5は、学生に対して面倒見のよい大学であること。高校教育の多様化に対応した初年次教育を行い、大学の授業にきちんとついていけるように配慮しています。学習支援センターを活用し、オフィスアワーなどで教員にどんどん質問してください。
 第6は、学生同士のコミュニケーションを育むこと。先輩や後輩などのつながりや友人づくりは非常に大切です。学生が集う場所づくり、クラブ活動の推進などを図っています。
 第7は、社会と密接な関係を築いていく大学であること。社会とのかかわりを通して学生を成長させる教育を行っています。一例として、産官学融合センターの設置のほか、日本技術者教育認定機構(JABEE)による認定プログラムの設置が進行中です。
■千葉工業大学の源流
 1942年、財団法人興亜工業大学として設立されました。設立の趣旨は「志操堅固、学理および技術に優秀なる工業人材の育成」です。わが国2番目の私立工業単科大学として誕生しました。
 1942年には第1回入学式を挙行。1946年には校名を千葉工業大学に改名し、全寮制として再スタートしました。1947年には、旧制工業大学として第1回の卒業式を挙行しております。
■新制大学としての学部・学科の推移
 1950年、新制千葉工業大学として設立許可を受け、機械工学科、金属工学科、工業経営学科の3学科だけでスタートしました。2001年には工学部、情報科学部、社会システム科学部の3学部体制を確立しました。2003年、工学部を9学科から5学科に改編し、2006年、工学部に未来ロボティクス学科を開設。2009年には社会システム科学部に金融・経営リスク科学科を開設し、現在の11学科に至りました。
■現在の学部・学科構成
 工学部は6学科で入学定員1435人、情報科学部は2学科で同280人、社会システム科学部は3学科で同280人という体制です。機械サイエンス学科、電気電子情報工学科、生命環境科学科、建築都市環境学科、情報工学科、情報ネットワーク学科、経営情報科学科、プロジェクトマネジメント学科にはJABEEコースが設けられています。現在、JABEE技術者教育プログラムの認定を受けているのは電気電子情報工学科と情報ネットワーク学科です。
■大学院(研究科)の推移
 2004年、大学院を学部と同様、工学研究科、情報科学研究科、社会システム科学研究科の3研究科に改編。2009年には修士課程に未来ロボティクス専攻を開設しました。現在、工学研究科は修士課程が6専攻、博士後期課程は1専攻。情報科学研究科と社会システム科学研究科はそれぞれ修士課程、博士後期課程が1専攻という体制です。
■国際交流
 本学では現在、6カ国11大学と国際交流を行っています。コロラド大学ボルダー校、テネシー工科大学、ペンシルバニア州立大学工学部(以上米国)、トロント大学理工学部、ライアソン大学(以上カナダ)、スウェーデン王立工科大学、哈爾濱工業大学、吉林大学、北京理工大学(以上中国)、コンピエーニュ工科大学(フランス)、ワルシャワ工科大学(ポーランド)です。留学生の派遣、受け入れなどを行っています。
 今は大学院修士課程の学生がペンシルバニア、トロント、コンピエーニュの各大学に留学中ですし、過去には哈爾濱工業大学に留学した学生もいます。海外に出るには英語が話せないと通用しません。外国で他流試合ができるようにTOEIC450点以上を目指して英語力を磨いてください。
■履修の流れ
 本学では、初年次教育として、全入学生に対し学習技術を受けてもらう他に学習状況調査結果で基礎的な学習が必要と判断された学生には、導入数学、導入物理、導入化学を受けてもらいます。またそれと並行して、習熟度別クラス編成による基礎科目、教養科目が開講され、専門科目へと進みます。
 大学生活の悩みや修学支援に関しては、クラス担任とメンターの先生が、卒業研究指導教員にバトンタッチするまで相談に乗ってくれます。
■本学を支える3つの柱
 「PPA」は在学生のご父母と教職員の会で、学生を側面から援助するため1949年11月に設立されました。
 同窓会は全国61支部(職域12支部、地域49支部)からなる同窓生の組織で、就職あっせんや奨学金の給付などの支援も行っています。
 産官学融合センターは本学と産業界・公共団体が技術および就職などの情報交換を行い、社会に貢献する組織です。本学卒業の技術士による技術士育成の援助と協力を行っています。
■就職状況
 東洋経済新報社の調査による平成23年度上場企業役員数大学別ランキングでは、本学卒業の役員在職者は全国国公私立大学780校中60位で、単科大学の実績としては高く評価されてよい数字だと思います。卒業生が大いに社会で活躍している大学だとおわかりいただけると思います。
 卒業生の内定先は資本金100億円以上の企業に限っても、自動車、機械、電子機器、鉄鋼業、建設、輸送から金融・銀行、商社まで、幅広い分野にわたっています。
■千葉工業大学の誇り
 本学は学生諸君に、ものづくりを通して夢を実現してほしいと考えます。2002年には国内の大学初となる人工衛星鯨観測衛星「観太くん」をH2Aロケットに載せて打ち上げました。この衛星は電子情報通信学会で賞を受けた学生諸君の計画から生まれたものです。未来ロボット研究所が開発した災害対応ロボット「Quince」は福島第一原発で活躍していますし、惑星探査研究センターは国内の大学の先陣を切る惑星観測の研究拠点です。
 本学は日本で最も古く歴史と伝統のある工業大学です。建学の精神は将来、社会動向がどう変容しても永続します。伝統とは、長い教学の歴史の中で培われ、引き継がれてきた有形無形の財産です。教職員はこの伝統を誇りとして、諸君を立派な人間に育てるよう努力しております。
学長講話に耳を傾ける新入生たち
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