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2012.1.15

長谷工コンペで優秀賞
小学校と集合住宅を一体に


院生 別府さん、板倉さん共作
左から別府さん、隈教授、板倉さん
左から別府さん、隈教授、板倉さん
 建築設計を志す学生の登竜門「第5回長谷工住まいのデザインコンペティション」(長谷工コーポレーション主催)で、工学研究科建築都市環境学専攻修士2年、別府拓也さんと同、板倉周平さん(ともに遠藤政樹研究室)の共作が優秀賞に選ばれた。
 今回は大震災で、人が集まって暮らす大切さが再認識されたとして、課題は“再び「集まって住むこと」の豊かさ”――「東京都品川区内の湾岸エリア、最寄私鉄駅から徒歩2分、商店が並ぶ旧街道沿いの敷地に30戸の集合住宅を」などと細部が定められ、条件に合う設計が募集された。
 別府さん・板倉さんの作品タイトルは「ショウガッコウ―かこむ・まなぶ・くらす―」。小学校と集合住宅の一体設計を提案した。
 小学校と街の間に住まいを挟み込み、個々の住まいが小学校の各教室を囲むように配置。住まいは街に開かれ、小学校は街の日常に溶け込む。住まいの住人は、子どもらの気配を感じて過ごす。
 「見る、見られる」関係によって3者が開かれ、溶け合う。
 板倉さんは前年度、同コンペで、他学生と組んで佳作を受賞。その経験から今回は、審査員が読み解きやすいよう、プランと街全体の構成をできる限り図式化した。模型写真1枚1枚を、アングルや影、ピントの位置などに気をつけ、丁寧に撮影したという。
 隈研吾・東京大学教授、建築家の乾久美子氏、藤本壮介氏らが審査し、2人の受賞が決まった。隈教授は「学ぶことと住むことが共有し合えるという点で面白かった。職・住のSOHOはあったが、学と住も近いのだと鮮やかに指摘した」と評価している。
 別府さんは「著名な建築家から評価を頂け、次への自信につながりました」。板倉さんも「同感です。さらに向上を目指します」と語った。
 表彰式は12月14日、浦安ブライトンホテルで行われ、優秀賞の賞金50万円が贈られた。
 同コンペは長谷工70周年の2007年から毎冬、東京国際フォーラムを舞台に開催される。毎年300点を超す応募があるが、今回は最多501点の応募の中から最優秀賞1点(100万円)、優秀賞2点(50万円)、佳作7点(10万円)が決まった。
板倉さんらが図式化したプラン
板倉さんらが図式化したプラン

千葉県が採択


“まちづくりアーカイブズ”の開発
建都と習志野市などの提案
地域の方々とのアーカイブズ活用ワークショップ
地域の方々とのアーカイブズ活用ワークショップ
 建築都市環境学科と地元・習志野市が中心となって提案した“地域の課題解決プログラム”が昨年8月、内閣府が進める「新しい公共支援事業」の千葉県で実施される事業として採択された。
 内閣府は都市に、地域に、現代にふさわしい「公共」の再編を促し、モデル事業を支援している。採択されたのは「まちづくりアーカイブズによる地域課題・地縁力・志縁力のマッチングと中間支援機能強化プログラム」。建築都市環境学科の寺木彰浩教授、鎌田元弘教授と建築都市環境学専攻修士2年・青木和也さんらが計画した。
 アーカイブズとは、まちづくりに関する行政側、大学側、NPOなど市民側それぞれの蓄積データを1カ所に集約し、課題解決時に、使いやすい形に加工された資料集(アーカイブズ)として、ウェブ上に地図ツール化し、公開しようというもの。
 自治会間の連携や、公有地管理、高齢者の買い物支援などについて、新しい公共の仕組みを模索し、農村部でみられた互助組織「結い」の現代都市版のような形を目指すという。
 建築都市環境学科と習志野市がコアとなり、ほかに千葉大学、地域NPO、千葉県、南房総・市原・船橋の各市、企業からは日本マイクロソフト社が参画して協議会(会長・寺木教授)を立ち上げた。事務局長には、青木さんがプレゼンぶりを高く評価され、異例の学生の就任となった。
 事業では、NPO・自治会・町会の課題解決能力(地縁力)を調べ、アーカイブズと照らし合わせて、住民が自主解決できるかどうかを判断する。できないときは、NPO・大学・行政などの協働力(志縁力)で解決を支援していく。
 先行例として習志野市(都市部)、南房総市(農村部)、袖ケ浦市(中間部=予定)を1カ所ずつ取り上げ、本学学生が地域コーディネーターをサポートする。予算措置を経て24年度からの事業展開を目指している。

fuRo、3年連続つくば市長賞


「つくばチャレンジ」圧倒的な安定感
つくば市内の遊歩道を進むPapyrusIII
つくば市内の遊歩道を進むPapyrusIII
 自律移動ロボットが街の公道で、課題機能を実証実験する「つくばチャレンジ2011」(ニューテクノロジー振興財団・つくば市主催)は、昨年11月15日にトライアル(約500メートル)、16日にファイナル(約1.4キロ)の走行が茨城県つくば市で行われた。
 トライアルには全国から66チームが出場。本学からはfuRoアウトドア部(責任者は小柳栄次副所長)、情報工学科・藤田茂研究室(山達郎・4年)、未来ロボティクス学科・林原靖男研究室の3組=アルファ(石黒岳生・修士2年)、ベータ(林原教授)、ガンマ(谷本和城・4年)=の計5チームが出走し、fuRoのロボット「PapyrusIII」がファイナルに進出した。藤田、林原研究室のロボットは残念ながら課題クリアならず。藤田准教授は「人の行き交う環境内でロボットを試す貴重な経験になった」。林原教授は「全てのロボットで共通のRTコンポーネントを使用しソフトウエアの汎用性を検証した。実践を通して多くのことを学生が学んだ」と話した。
 ファイナルは25チームが、公園通りや駅前プラザ、屋内商店街などを周回した。エレベーター搭乗や登りスロープもある難コースだったが6チームが完走した。fuRoのPapyrusIIIは独立二輪操舵型。3次元レーザースキャナで周囲を把握しながら、最高時速4キロほどで最初に完走、つくば市長賞を手にした。3年連続の課題達成はfuRoチームだけ。審査・評価委員会は「圧倒的な安定感と安心感。小気味良い走り」とベタ褒めだった。

3氏を教育功労者表彰


本学の発展に尽力
県私学連
平田 幸夫施設部次長 小出 範雄学務部次長 小野寺茂則財務部次長
平田 幸夫
施設部次長
小出 範雄
学務部次長
小野寺茂則
財務部次長
 本学の小野寺茂則・財務部次長、小出範雄・学務部次長、平田幸夫・施設部次長の3人が12月3日、千葉県私学団体連合会から教育功労者として表彰された。
 小野寺次長は、昭和58年4月に勤務以来、本学の財政基盤を築くため、効果的資金運用や補助金獲得などさまざまな取り組みを行い、本学の拡充発展に貢献した。
 小出次長は、同58年7月から勤務し、大学事務の根幹ともいえる教務課、大学院教務課、入試広報課、国際交流課で業務。学務課に配属後は学部・学科の改組に伴う申請業務に携わり、本学の発展に力を尽くした。
 平田次長は、同58年4月から勤務して情報管理業務を担い、学内情報システムの基礎を築き上げ、その後、情報システム課長として学内ネットワーク管理に尽力し、本学の発展に貢献した。

山崎研究室の論文、3位


米国電気電子学会 産業応用部門で
山崎克巳教授
山崎克巳教授
 電気電子情報工学科の山崎克巳教授がIEEE IAS(米国電気電子学会・産業応用部門)から電気機器委員会論文賞銅賞を受賞した。2010年に同部門で発表された電気機器に関する全論文中、3位に認定された。
 論文タイトルは「Harmonic Loss Analysis and Air‐Gap Optimization of High Speed Induction Motors」。山崎研究室と(株)安川電機の共同で行われた高速誘導電動機に関する研究成果をまとめた。
 誘導電動機は、新幹線の主電動機などさまざまなシステムに用いられるが、発明以来120年間、固定子と回転子の間のエアギャップは機械的に許す限り狭いほどよいと考えられていた。
 受賞研究では、最近行われるようになったインバータによる高速運転の場合、むしろ従来よりもエアギャップを広げた方が、損失が減少するだけでなく出力も増加する場合があることを、電磁界解析と実機検証の両面から明らかにした。受賞者には本学電気電子情報工学専攻修了の鈴木章浩さんも含まれている。
 昨年9月、米アリゾナ州フェニックスで授賞式が行われ、本学を代表して山崎教授が出席した。
 なお、昨年度に(株)安川電機と共同で発表した、高速誘導電動機に適した等価回路の提案に関する論文も、昨年5月、カナダで開かれた米国電気電子学会・電気機器とドライブ技術に関する国際会議でポスター論文賞銀賞を受賞している。