NEWS CIT ニュースシーアイティ

2009.3.15

2008年電気学会回転機研究会優秀論文賞


電子情報工学専攻修士2年 狩野祐二さん
受賞を喜ぶ狩野さん
受賞を喜ぶ狩野さん
 2008年電気学会で、電気電子情報工学専攻修士課程2年、狩野祐二さんが優秀論文発表賞A賞(本部表彰)を受賞した。狩野さんは「大学院に進学した2年間の集大成です。最後の最後に受賞出来て本当にうれしい」と喜んでいる。
 受賞論文は「逐次アダプティブ有限要素法による集中巻永久磁石同期電動機の形状最適化計算」。集中巻永久磁石同期電動機は、ハイブリッド車の駆動などに用いられる高性能電動機だが、渦電流によって磁石が熱減磁を起こしやすい問題点があった。
 こうした背景をもとに、狩野さんは、電気電子情報工学科の山崎克巳教授と共に、有限要素法を用いた自動最適化計算によって磁石の渦電流を軽減する電動機形状を決定した。本学と共同研究している日産自動車で試作され、新形状によって磁石の温度上昇が抑えられることが確認された。
 狩野さんは、昨年9月19日、大分県で開かれた電気学会回転機研究会でこれらを発表。130件の同研究会論文の中から、35歳以下の発表者を対象として投票で狩野さんを含む3人が優秀論文発表賞A賞(本部表彰)に輝いた。
 狩野さんは「4月から社会人ですが、就職先でも研究したことに近いことが出来るので、学んだ知識を生かして頑張ります」と新たな仕事へ力強い意欲を見せていた。

研究成果を発表
「周辺景観からみた中世平泉の市街地形成」


工学専攻3年 磯野綾さん
 岩手県の「平泉文化」を研究する第9回平泉文化フォーラムが2月7日、同県平泉町の平泉小学校体育館で開かれ、研究者の一人で本学大学院博士後期課程工学研究科工学専攻3年、磯野綾さんがこれまでの研究成果を発表した。
 平泉文化フォーラムは、岩手県教育委員会と岩手大学が「12世紀東アジアにおける平泉文化の意義」をテーマに、平泉文化研究の先端的調査、研究成果を公開する場として平成12年度から設けている。磯野さんは平成18年度からの3カ年研究員募集に応募、採用されて毎年度末に研究発表してきた。
 研究員生活最後の今年は共同研究者の3人と共にフォーラムの輪に。「周辺景観からみた中世平泉の市街地形成」と題して、現地調査とコンピューターを用いた可視領域の計算により、周辺景観と建物配置、太陽の運行と主要施設の位置関係などの関連性を考察した。
 磯野さんは「平泉は当時の信仰の対象でもあった周辺山稜景観が一望出来る土地に、周辺山頂との位置を考慮して建物や道路が建設された。特に東岳峠と観音山は、東側山頂の中でも平泉の周辺景観形成への寄与が高かったと考えられる」などとした。
 今回、平泉研究の期間3カ年が、磯野さんの博士後期課程の在学期間と一致したことも共同研究者に応募したきっかけのひとつ。磯野さんは「平泉の柳之御所遺跡が私の研究テーマに即していたことも動機でした。これからの研究に生かしたいご意見も頂き、たいへん勉強になりました」と話している。

本学と筑波大「移動ロボ研」 連携


ツクバリカセイキ(株) 布ベルト用自走計測ロボ開発へ
移動ロボ研の小柳副所長
 「ツクバリカセイキ」(茨城県つくば市、中山俊明社長)は、工業用の布ベルトの仕上がり状態を計測する自動走行計測ロボットを、本学と筑波大学が設立した大学発ベンチャー企業「移動ロボット研究所」と共同開発する。3月末に1号機の完成、納品を目指す。
 ツクバリカセイキが計測部分とプログラミングを担当し、移動ロボット研究所が本体を製作する。ロボットのサイズは1・8メートル、幅73センチで、高さは26センチ〜80センチの範囲で伸縮し、たわんでいる布のどの位置でも計測することが出来るという。
 ツクバリカセイキは当初、単独で試作機を開発していたが、自動走行時に課題となる工場内の段差や、温度や照明の場所による違いに対応するため、同研究所と連携を図ることにした。
 移動ロボット研究所は、本学未来ロボット技術研究センターのと、恩師である筑波大学システム情報工学研究科の油田信一教授が2007年9月に立ち上げた。は「レスキューロボの複雑な地形でも自由に走行が出来る技術と、あらゆる変化の中でも影響を受けることなく、安定した状態で走行を可能にする技術を提供した」と話している。
「快適音環境の創生」へ
報告会、シンポジウム開く

三井田教授 橘教授
 学術フロンティア推進事業の研究プロジェクト「快適音環境の創生」で、その研究報告会とシンポジウムが2月28日、津田沼キャンパス7号館で開かれた。
橘教授 第2部の交通騒音問題シンポジウム 三井田教授
橘教授 第2部の交通騒音問題シンポジウム 三井田教授
 本学の音響学研究者が協力・共同研究して、音響的快適性の向上と音響情報伝達の高密度化を目指す同プロジェクトは今年4年目を迎え、出始めた研究成果について活発な評価・意見交換が行われた。
 第1部「快適音環境の創生」における研究成果では、情報科学部情報ネットワーク学科の三井田惇郎教授が概要報告した。
 三井田教授は「人は外界から取り入れる情報のほとんどを音と映像に頼っているが、あまりにも簡単に情報が発信できるようになったため、有害な情報があふれ、多くの弊害が生じている」と指摘した。
 こうした状況の中で、情報媒体の主要部分である音の快適な環境をつくるため、技術開発をする研究機関の存在意義を強調し、「千葉工業大学では、他に類を見ない音響研究者グループが在籍し、有用な成果を効率的、継続的に生み出せる」と本学の特色を説明。研究プロジェクトとして、空間的広がり感の豊かな音楽および再生音の創生など、具体的研究テーマを挙げた。
 この後、東大生研の横山栄氏らが「音響」に関する研究報告を続けた。
 第2部のシンポジウム「交通騒音問題への取り組み」は、初めに情報工学科の橘秀樹教授が「快適音環境の創生」に関連する重要なテーマとして取り上げる趣旨を説明。シンポジウムには、環境省大気生活環境室の志々目友博氏らが出席。
 環境騒音の中で最も重要な交通騒音を取り上げたことで、この問題に関する法律・基準の体系・行政的対応の現状にも意見交換が広がり、交通機関別の問題の特徴および問題軽減のための技術開発の最先端についても話題が及んだ。