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2017.9.15

モータースポーツ
20年ぶり男子団体V


全日本学生ジムカーナ 個人は森戸選手3位
 舗装サーキットでパイロンが示すコースを正確に走り抜ける全日本学生ジムカーナ選手権大会(全日本学生自動車連盟主催)は8月19、20日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット国際南コースで開かれ、男子団体戦で本学体育会自動車部チーム=山口大貴さん(機械サイエンス学科4年)▽土屋亮太さん(未来ロボティクス学科4年)▽森戸亮生さん(機サ4年)=の車(写真)が優勝。個人の部で森戸さんが3位に入賞した。本学の男子団体優勝は1997年以来、20年ぶり。
 団体戦は全国の大学から32校が出場。各校チームの3人が2走し合計タイムを競う。正確なドライビングテクニックとともに、初日予選、翌日決勝とマシンとドライバーのコンディション維持が重要で、メカニックやサポートメンバーたちの働きも大きく影響する。
 ところが予選前日の練習走行会で、本学の車に不具合が発生。エンジントラブルで半分の性能も出なかった。急きょメカニックが原因を調べ、無事に突き止めて修理。ドライバー3人は心置きなくマシンを操ることができた。
 予選は7位で通過したが、決勝では2位の日本大を1秒以上突き放す大健闘を見せた。3位は中央大だった。
 チーフメカニックの蓮見吉崇さん(機サ4年)は「エンジントラブルで一時はどうなるか心配だった。しかしドライバー、メカニック、メンバーそれぞれが諦めずに攻め続けたから勝ち取れた勝利だと思う」と語った。
(左から)土屋さん、森戸さん、山口さん
(左から)土屋さん、森戸さん、山口さん
優勝を支えた自動車部員たち
優勝を支えた自動車部員たち

石井さん全日本制覇


学生ダート女子個人
 未舗装の指定ルートを走る自動車の全日本学生ダートトライアル選手権大会(全日本学生自動車連盟主催)は8月6日、栃木県那須塩原市の丸和オートランド那須に全国5支部から勝ち上がった18大学の車が集結して開かれ、本学体育会自動車部の石井与詩乃さん(デザイン科学科4年=上の写真中央)が女子個人で見事優勝した。男子は団体で5位、個人の部で森戸亮生さん(機械サイエンス学科4年)が5位に入賞した。
 石井さんは6月の全関東ダートトライアル選手権女子個人で優勝し全日本学生大会に進出した。
 ダートトライアルは悪路(主に土・砂利)コースを1台ずつ2走しタイムを競う。マシンコントロールが勝敗を分け、ベテランでも集中力と果敢さを保ち続けることは難しい。女子個人は9台で競われ、石井さんは全関東大会で見せた素晴らしい気力で攻め続け、ミスなく走行。2位の法政大選手にわずか0.5秒差で1位を勝ち取った。
 表彰式のインタビューで、石井さんは「部員、OB、OG、お世話になった人たちに、結果で恩返しできた」と謙虚に喜びを語った。
ダートを走る石井さんの車
ダートを走る石井さんの車
男子団体5位
 男子団体は18チームがエントリー。本学の兼定吉登さん(機械サイエンス学科3年)▽土屋亮太さん(未来ロボティクス学科4年)▽森戸さん――の3人チームが、それぞれコンスタントにいいタイムを出し、5位に食い込んだ。
 3人は「前日の練習会でフロントガラスが割れるアクシデントがあったが、部員たちが総出で整備し直してくれ、安心して走ることができた」と仲間に感謝していた。

飯島さん 滝さん 優秀プレゼン賞


情報処理シンポで新手法披露
受賞した滝さん(左)と飯島さん 受賞した滝さん(左)と飯島さん
受賞した滝さん(左)と飯島さん
 情報処理学会がネットワークの問題を話し合うDICOMO(マルチメディア、分散、協調とモバイル)2017シンポジウム(6月28〜30日、札幌市の定山渓万世閣ホテルミリオーネ)は、10の研究会から約500人が集まって開かれ、大学院工学専攻の飯島安恵さん(博士後期課程3年、今野将研究室)と情報科学専攻の滝雄太郎さん(修士2年、藤田茂研究室)が研究を発表し、2人とも優秀プレゼンテーション賞を受賞。滝さんは優秀論文賞も受賞した。
 飯島さんは「演奏会を考慮した吹奏楽団向け電子譜面システムのための譜めくり担当者選定アルゴリズム」を発表した。
 タブレット端末の普及で、音楽界では楽譜のデジタル化が進んでいる。既存の譜面アプリはまだ個人使用が中心で、吹奏楽団などで使うと、紙の譜面並みの手間がかかりかねない。その負担の一つ、譜めくり作業について、飯島さんらは吹奏楽団向け電子譜面システム「PEANUTS」を提案・試作した。
 まず単体の各楽曲で、提案アルゴリズムに基づいて譜めくり担当者を決定。評価実験してみたところ、譜めくり作業の負荷軽減は確認できたが、複数曲を続ける実際の吹奏楽団では、特定の演奏者に作業が偏ってしまうのが難だった。
 そこで今回、吹奏楽団で実際に演奏されたプログラムをもとに、必要データを抽出。そのデータで譜めくり担当者選定アルゴリズムとシミュレーションシステムを構築して評価実験した。その結果、特定の演奏者に偏ることなく、譜めくり作業の負担が軽減された。
 飯島さんは「(受賞は)大変、光栄に思います。難しい課題がたくさんありましたが、指導の先生とさまざまな方々の協力を得て発表することができました。シンポでは企業や他大学の方々の講演を聞くことができ、勉強になりました」と語った。
 一方、滝さんは「軽量Nパーティ秘匿関数計算の一般解と情報銀行の分散型セキュアストレージへの応用」を発表した。
 情報を暗号化(秘匿)し安全に分散・保存した上で計算できる秘密計算手法を研究。その一つ“軽量3パーティ秘匿関数計算”を“軽量Nパーティ秘匿関数計算”へと拡張し、一般解を導いた。
 一般解の導出は難しかったが、秘密分散・秘密計算とは異なった分野の理論・知識が助けになったという。
 滝さんは「論文やプレゼンは、1人で作らず他の人の意見をもらい、推敲していくことが重要です。今回も諸先生方や研究室仲間、多くの方々の助けがあっての受賞と考えています」と感想を語った。

永井さん技術賞


アルミ表面の封孔処理に新手法
 大学院工学専攻博士後期課程を今春卒業した永井達夫さん(坂本幸弘研究室、現・栗田工業(株)勤務=写真左)の「アルミニウム陽極酸化における封孔処理への電解硫酸技術の適用」(日本材料科学会誌「材料の科学と工学」53巻2号に収録)が、日本材料科学会の平成29年度技術賞に決まった。6月26日、関東学院大関内メディアセンター(横浜市)で開かれた学会総会で、共同研究者の山本裕都喜氏=同中央、坂本幸弘教授=同右=とともに表彰された。
 半導体製造装置などに使われるアルマイト部品は、耐食性を持たせるため、表面の微細孔を狭くする封孔処理(沸騰水法や加圧水法)が施される。しかし、処理に時間がかかる割に封孔がきちんとなされないことが課題となっている。
 永井さんらは電解硫酸技術を適用。アルミニウムを陽極酸化し表面に孔を開けたものを、ペルオキソ二硫酸(過硫酸)を含んだ硫酸濃度9%、絶対温度323度の電解硫酸溶液に浸漬。実験室レベルではあるが2分間で緻密な封孔を実現できた。
 硫酸溶液中でアルミが溶解する速度と、過硫酸による酸化速度とのバランスにより実現した。
 陽極酸化(孔開け処理)の実験中、「孔が開いていない! なぜだ!」と、あわてたところ、溶液に電気を流し忘れていた…という失敗からの発見→技術開発だった。失敗した実験を、なぜそうなったのかと振り返る必要を実感したという。
 永井さんは「受賞連絡に、本当だろうか…と平静さを失いました。しかし人間、欲が出るもので、今後は論文賞を狙いたいです」と語った。