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2017.6.15

石原准教授に論文奨励賞


ウレタン塗膜防水研究で建築仕上学会
 建築学科の石原沙織准教授=写真=が、ウレタン塗膜防水の施工性と品質に関する研究で、日本建築仕上学会・2017年学会賞の論文奨励賞に決まり、5月23日、東京都港区芝の建築会館ホールで表彰された。
 ウレタン塗膜防水は、塗膜の厚さが適切でないと、漏水などの不具合を招く恐れがある。石原研では多くの施工実験を通じ、適切な塗膜厚さを確保できる施工条件を、施工のしやすさも加味しながら明らかにし、不具合の少ない施工につながる指標を提示した。
 これまで、防水分野で施工性を加味した品質に関する研究はほとんど行われてこなかった。
 石原准教授は「着任以来5年間取り組んできた研究を評価していただき、うれしく思います。共に研究してきた1〜5期の学生たち、職人さん、恩師に感謝を申し上げるとともに、気持ちを新たにして今後も精進したいと思います」とコメントを寄せた。
 日本建築仕上学会は建築仕上げに伴う設計・材料・構法・施工技術の進歩を目指す学会。
 石原准教授は、建物を長持ちさせるための仕上げ材料や、屋上・壁、人工地盤などを植物で覆う都市緑化を研究。漆喰や畳などの伝統建材の再評価にも目を向けている。

吉村教授に警備局感謝状


熊本地震の警察救助活動を調査分析
 昨年4月の熊本地震で警察が行った救助活動プロセスを詳細に調査し、今後の危機管理体制向上に役立てる分析に貢献したとして、都市環境工学科の吉村晶子教授に6月6日、警察庁から警備局長感謝状が贈られた。
 熊本地震は揺れによる家屋倒壊では阪神淡路大震災以来最大の被害が出た。前震・本震型の地震だったことで、警察は前震後ただちに部隊を大規模に派遣。隊員約千人が既に熊本入りした状態で本震発生を迎え、直後から活動を開始し160人を救助した。
 地震で倒壊した木造家屋での救助活動の実情はこれまでよく知られておらず、具体的な救助プロセスも明らかではなかった。警察庁は今後の救助体制に向けて検討するため、これまで救助訓練施設の設計に協力してきた吉村教授と岐阜大・小山真紀准教授らとともに調査を開始。救助にあたった警察官に各現場の状況や活動内容、所要時間などを聴き取り、今年4月までの約1年をかけて分析し、適切な体制や救助方法、訓練や資機材の改善点などをまとめた。倒壊家屋での救助活動がここまで詳細に実態調査されたのは初めて。
吉村教授の話
 調査項目の設定や調査シートの設計から行う必要があったが、現場をよく知る警察担当者が再現模型を使って聴き取るなど調査方法の工夫に率先して取り組んだ。研究者の我々もデータの信頼性確保に努め各分野の力を結集したことで、今後の災害対応向上に役立つ有意義なデータが得られたと思う。
感謝状を手に吉村教授(右)と児嶋洋平警察庁災害対策室長
感謝状を手に吉村教授(右)と児嶋洋平警察庁災害対策室長

竹内さんベストポスター賞


谷戸田を囲む森林の水源涵養システム研究
 日本沙漠学会の第28回学術大会(5月27、28日、本学で開催)で、竹内舞子さん(生命環境科学専攻修士2年、矢沢勇樹研究室=写真)が「耕作放棄された谷戸田を囲む森林の機能性と今後の課題」=平成29年度笹川科学研究助成事業に採択された研究=をポスター発表し、ベストポスター賞に選ばれた。
 世界の陸地の4割は年間降水量より蒸発量がはるかに上回る乾燥地。沙漠学会では乾燥地で生活している人たちの文化や灌漑システム、土壌改良や植林などを幅広く研究・情報交換している。
 竹内さんは、乾燥地ではないものの湿潤な房総半島南部・いすみ市の耕作放棄された谷戸田に注目、谷戸田を囲む森林による水源涵養システムについて報告した。
 このシステムはウオーターハーベスト(雨水涵養)の原点となる治水管理がなされており、イスラエルのアヴダト遺跡やペルーの世界遺産マチュピチュ遺跡をイメージさせるもので、審査員から高く評価された。
 ポスター発表16件中、ベストポスター賞2件のうちに選ばれた。
 竹内さんは「矢沢先生のご指導と研究室メンバーの協力なくしては受賞できなかったもので、とてもうれしく思っております。今後も谷戸田の機能解明に向けて研究していきます」と喜びを語った。

内定率最高 目指し


就活 採用選考スタート
 2018年春の卒業予定者を対象にした企業の採用選考が6月1日に解禁となり、本学のキャンパスにも「内定獲得!」の声が飛び交っている。本学の今年3月学部卒業者の内定率は94.1%と、現在の形で記録を取り始めてから最高となったが、就職課はさらなる記録更新を目指して学生支援に全力を挙げている。
企業の担当者の説明に、真剣にメモをとる学生たち
企業の担当者の説明に、真剣にメモをとる学生たち
ブランド力と教職協働味方
 就職委員会のまとめによると、ここ3年間の学部卒業者の内定率は2015年87.4%、16年90.6%、17年94.1%と年ごとに記録更新している。
 一方、文部科学省と厚生労働省の4月1日時点の調査によると、全国の大学の就職率は97.6%と過去最高。この就職率は「就職希望者のうち実際に仕事に就いた人の割合」であり、これを本学に当てはめると98.2%で全国の数字を上回る。
 ちなみに本学の内定率は「在籍者数から大学院進学と卒業(修了)不可人数を差し引いた数字で、実際に就職した人数を割ったもの」だ。
 好調そのものといえる本学の就職状況の背景には、ここ数年のブランド力の向上や2年連続全国9位に象徴される志願者数の増加、教育改革の成果としての留年率・退学率の減少などがある。「千葉工大(生)の実力」に社会や企業が着目していることの表れだ。
 「教職協働」による本学独自の学生支援態勢もこの好調を後押ししている。就職課のスタッフが各学科の教員とミーティングを重ねながら、それぞれの学科に最適な学生支援プログラムを展開している。
 このような動きの背景には「フェイス・トゥー・フェイスを大切に」という大学トップから発せられた理念がある。教職員と学生、大学と企業の担当者の直接の意思疎通が相互の信頼関係を醸成し、高い内定率をもたらしている。
 昨年度、本学に求人を寄せた企業は1万4111社で、前年より966社増えた。今年度は一層の求人企業増も予想される中で、就職・進路支援部は3月、4月に続いて今年3回目の合同企業説明会を6月21日に開催。10月1日の正式な内定解禁に向けてさらに手厚い学生支援を行っていく。
迷ったら就職課へ
 
福江聡就職・進路支援部長の話
 「いくら“学生の売り手市場”だと言っても油断は絶対に禁物。しっかりと準備を重ねて自分の就活スキルのレベルを上げておいてください。困ったことや迷いがあったら、就職課に相談に来てください」
OB・OG懇談会に詰めかけた学生たち
OB・OG懇談会に詰めかけた学生たち