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2017.4.15

山アさん優秀ポスター賞


環境に優しい有機材料の研究で
 高分子学会関東支部の第34回千葉地域活動若手セミナー(3月7日、東京都葛飾区の東京理科大・葛飾キャンパスで開催)で、山ア綾香さん(生命環境科学専攻修士1年〈受賞時〉、島崎俊明研究室=写真)が優秀ポスター賞を受賞した。
 発表したのは「キノリン-エチニレン共役多量体の合成と物性」。
 島崎准教授の研究室では、金属を用いる照明やダイオードに代えて、環境に優しい有機ELや有機太陽電池の素子開発を研究。報告例がない芳香族化合物のキノリン-エチニレン多量体(ポリマー)を合成して吸光・発光・電気化学的性質などを解明し、有機半導体中の電子輸送材料への応用を目指している。
 山アさんは、これら複数の化合物を合成し比較する研究の現在をまとめた。聞き手が把握しやすいようポスターの色、数値の表記や配置にこだわり、説明では目的、結果、考察を簡潔に話すよう心がけたという。
 発表内容がよくまとまっており質問への回答が明確、と評価された。
 山アさんは「驚きました。いろいろな方の支えがあっての受賞と思っています。感謝の気持ちを忘れず悔いの残らないよう研究に取り組んでいきたい」と感想を述べた。

鴻巣教授 3年連続


28年度ベスト・ティーチャー賞
小宮学長から盾を受け取る鴻巣教授(右)
小宮学長から盾を受け取る鴻巣教授(右)
 平成28年度ベスト・ティーチャー賞に鴻巣努・プロジェクトマネジメント学科教授が3年連続で選ばれ、4月4日の教授総会で小宮一仁学長から表彰された。平成28年度後期グッド・レクチャー賞に8人が選ばれ、前後期のグッド・レクチャー賞からベスト・ティーチャー賞が決まった。
 鴻巣教授は学生による授業アンケートの年間ランキングで約1800講義中1、2、4、5、7位を獲得。授業公開などにも積極的に取り組んできたことが評価された。
 グッド・レクチャー賞は小宮学長が2014年、それまでの教育業績表彰制度に授業アンケート結果を反映させて創設。今年で3年目。
鴻巣教授の話
 身に余る賞をいただき、まことにありがとうございます。賞を励みとし、今後も授業改善に取り組んでまいりたいと思います。
 グッド・レクチャー賞受賞者=写真=とその講義は次の通り。
◇平成28年度後期グッド・レクチャー賞
 鴻巣努教授「コミュニケーションマネジメント」▽米田完教授「ロボット構造力学」▽石原沙織准教授「建築構造材料」▽福嶋尚子助教「現代社会論」▽小山和也教授「電気化学」▽笹野祐輔非常勤講師「基礎統計学」▽鈴木治非常勤講師「情報技術社会論」▽佐藤和准教授「スポーツ科学」

神坂さん学生奨励賞


加齢種子の発芽を放電処理で促進
 化学工学会の第82年会(3月6〜8日、東京都江東区の芝浦工業大・豊洲キャンパスで開催)で、神坂真司さん(生命環境科学専攻修士1年〈受賞時〉、矢沢勇樹研究室=写真)が「パルスパワー放電の印加エネルギーによる水稲種子の発芽促進効果」をポスター発表し、学生奨励賞に選ばれた。
 太陽・水・炭酸ガスで生み出される生物由来資源(バイオマス)は、限りある石油資源に代わると期待されている。植物の種子は加齢や生育・貯蔵環境で発芽率が低下し、バイオマス生産を妨げる要因になる。
 加齢種子に高エネルギー密度のパルスパワー放電を加えると発芽が促進されることが知られている。神坂さんは、放電エネルギーと水稲種子の発芽にかかわる代謝との関係を化学工学的に追究し、整理した。
 ポスター発表398件中、最優秀学生賞は5件、優秀学生賞33件、学生奨励賞19件だった。
 神坂さんは「評価していただき、うれしいです。矢沢先生のご指導と研究室のみんなの助言のおかげだと思います。慢心せず研究に精進していきます」と喜びを語った。

三ツ口さんポスター優秀賞


腐植物質の可能性を追究
 日本海水学会若手会の第8回学生研究発表会(3月2、3日、山口県下関市の海峡メッセ下関で開催)で、三ツ口舞さん(生命環境科学科4年〈受賞時〉、矢沢勇樹研究室=写真)が「超分子破壊された疎水性腐植物質の水に対する溶解性」を口頭とポスターの両方で発表し、ポスター優秀賞を受賞した。
 動植物の遺骸が微生物によって分解・結合(重縮合)された天然有機物(腐植物質)は、地球上で重要な役割を担っている。
 三ツ口さんは腐植物質を、弱い結合からなる分子の集合体(超分子)と捉え、分子間の結合を水分子を介して切ることで機能性を向上させる試みに挑んでいる。発表会では、研究の成果と腐植物質の無限の可能性を述べた。内容と、研究の組み立て方、プレゼンテーション能力が総合評価され、受賞が決まった。
 三ツ口さんは「腐植物質は身近ですが未知な部分が多くあります。発表会で腐植物質を知ってもらい、さまざまな人と出会ったことで、研究に対する考えが深められたと思います」と述べた。

西川さん竹内さんに
笹川科学研究助成金


地域の産業や自然環境に密着した研究
 平成29年度笹川科学研究助成事業(財団法人日本科学協会)学術研究部門・一般科学研究(自然科学)に、本学の西川雄貴さんと竹内舞子さん(ともに生命環境科学専攻修士1年〈採択時〉、矢沢勇樹研究室)が各研究を申請し、2つとも採択された。
 研究テーマは、西川さんが「オゾン微細気泡を用いた水溶性腐植物質を含む古代海水からのヨウ素選択的分離」。竹内さんは「森林から供給されるフルボ酸ミネラルが谷戸田の水稲と生態系に及ぼす影響評価」。
 西川さんの研究は――。房総半島は太古の海成堆積層から成り、数百万年前に形成した上総層群には海水(かん水)が多量に存在。かん水にはメタンやヨウ素、水溶性の腐植物質(フルボ酸)が含まれ、メタンやヨウ素は千葉県を代表する資源として工業利用されている。西川さんは、かん水に含まれるヨウ素を微細化されたオゾンガスで選択的に酸化し、ヨウ素を取り出す方法を研究。塩素ガスを酸化剤として加える現在の生産法よりも環境に低負荷の新技術として期待される。
 一方、竹内さんは――。今から6千年前の温暖期に海水位が上昇(縄文海進期)、現在の平野部の大半は、海に覆われ内陸台地には無数の入江が形成されていた。これが「谷津」で、房総半島内陸には貝塚が多く点在する。この地形を利用して人々は「谷津田」または「谷戸田」と呼ばれる水田をつくってきたが、時代とともに谷戸田は放棄され、囲む森林も荒廃している。
 研究は、特徴的な谷戸田の構造に注目。森林が生産したフルボ酸ミネラルが雨水によって谷戸田の水稲と生態系にどう影響しているかを実証し、里山と里地、里海との関係の重要性を再考する。
 笹川科学研究助成は、新規性・独創性、萌芽性がある研究に与えられる。矢沢研究室はこれまでに13件申請し、採択は今回で6件目。
西川雄貴さん 竹内舞子さん
西川雄貴さん 竹内舞子さん