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2017.4.15

「AIシンポ」秋葉原で


ステアラボが初開催
“最先端”に企業 熱視線
 機械学習、自然言語処理、画像処理などの人工知能(AI)分野の新進気鋭の若手研究者を招いて、最先端のホットな研究の実際を聞こう!
 本学人工知能・ソフトウェア技術研究センター(STAIR Lab=ステアラボ・米澤明憲所長)は3月12日、東京都台東区のAP秋葉原で、「ステアラボ人工知能シンポジウム2017」を開いた=写真
 企画・司会を務めた吉川友也主任研究員によると、これは同センターが昨年4月から原則毎月1回、東京スカイツリータウンキャンパスで開催してきた「ステアラボ人工知能セミナー」8回の総まとめとして開く初の試み。これまでの講演者のうちの4人に、それぞれの研究分野で発表されたここ2年間の重要論文を紹介してもらい、現在のAI研究の「本質」を議論しようという狙いだ。
 公募で集まった180人の参加者は、企業の研究者や開発担当者が合わせて約60%を占め、その他の部門を含めると企業関係者が約80%と圧倒的。企業がいかにAIに高い関心を寄せ、なかでもその最先端の研究がどのような方向に進んでいるか、また「千葉工大のステアラボ」の活動に熱い視線を注いでいることを示していた。
 講師は進藤裕之(奈良先端科学技術大学院大助教)▽牛久祥孝(東京大講師)▽馬場雪乃(京都大助教)▽中島悠太(大阪大准教授)の各氏。
 進藤氏は、自然言語処理分野における最新の研究を紹介し、機械翻訳、品詞タグ付け、構文解析といった自然言語処理の中心タスクがディープラーニングによって精度向上することを報告。
 牛久氏は、視覚と言語の融合をテーマに、これら2つの技術をつなぐ研究について紹介した。
 また、馬場氏は「ヒューマンコンピュテーションのための専門家発見」というタイトルで、AI技術を用いて専門家を発見する技術を、中島氏は映像解析のためのAI技術をそれぞれ紹介した。
 これらの発表から何が見えてきたのか。
 竹内彰一副所長は次のように話している。
 「自然言語や画像などそれぞれの分野で手詰まり感のあった技術課題がディープラーニングによって一気に前進した。ただ、いずれディープラーニングだけでは超えられない次の壁が出てくるだろうが、それまでは突っ走れるだけ走れ!という熱狂がしばらくは続くだろう。この熱狂の間に翻訳や画像認識、ゲームなどさまざまな分野で実用化されるものがたくさん出てくると期待できる」
2種類の大規模
データセット構築
 シンポジウムでは、ステアラボが現在、人工知能の開発に必須の大規模データセットを構築していることを、竹内副所長が紹介した。
 1つは画像の説明文を自動で生成する人工知能を作るためのStair Captions(完成済み)。2つ目は動画の中の人の動作を自動で認識する人工知能を作るためのStair Actions(構築中)。前者は無料公開を、後者についても公開の方向で検討中であることが発表された。

2チーム16人 ロケット無事上昇!


伊豆大島でロケットガール&ボーイたち
ロケットを製作(Aチーム)
ロケットを製作(Aチーム)
 高校生がハイブリッドロケットの設計・打ち上げに挑む「2016年首都圏版ロケットガール&ボーイ養成講座」(9月22日〜3月20日=本学主催)は3月18〜20日、伊豆大島・三原山実験フィールドで無事終了した。
 参加高校生は16人(男子11人、女子5人)。大半が関東圏からだが、広島の高校生も参加した。
 講座で作るハイブリッドロケットは、液体の酸化剤と固体の燃料を組み合わせて推進剤にする。火薬を使わないので安全性が高いうえ、大きな推力を得られるのが特徴。
 初回ミーティングから「チームで、自分たちの力で」設計から打ち上げまでこなそうと、2チームに分かれ励んできた。毎月の新習志野・津田沼キャンパスでの定例集合日、御宿研修センターでの合宿のほか、自発的に週末や放課後を利用して集まり、ハイブリッドロケットの製作に取り組んできた。
 製作は、本学工作センターなどで惑星探査研究センター(PERC)の研究員3人と学生ティーチングアシスタント(TA)8人が高校生を指導し、苦心の末に完成した。
 伊豆大島での初日、高校生たちは現地下見を兼ねて大学生の打ち上げを見学。2日目、ついに打ち上げ本番。
 冷たい風にも負けず、2チームのロケットは真っ青な空に上昇。打ち上げは成功した。目的の上空に達した瞬間、高校生も学生も感動の表情だった。
 打ち上げ場では地元小学生を集めて小型モデルロケット教室を開き、多数の親子が参加した。自作ロケットを次々に打ち上げると歓声が上がり、子どもたちに夢を与えるイベントとなった。
 最終日には廃校になった小学校の体育館で技術交換会。各大学の知見を集めたプロジェクトの解説を、参加者は熱心に聴いていた。
 TAで参加した高砂民明さん(機械サイエンス学科3年)は「高校の学校活動も忙しく、完成しないのでは、と不安な中、どうやってモチベーションを上げるかに苦心しました。頑張ってきた進捗状況を可視化して励まし、完成にこぎつけることができました」と話した。
打ち上げを待つAチーム
打ち上げを待つAチーム
打ち上げたロケットを追うBチーム
打ち上げたロケットを追うBチーム

富井研が鉄道シンポ


本学で初開催 西田さんが研究発表
 情報工学科の富井規雄教授の研究室が主催する鉄道シンポジウム「NU-Rail2017」が3月23日、津田沼キャンパス7号館で開かれた=写真
 このシンポジウムは、鉄道に関係する車両、ダイヤ、電力、軌道など多岐にわたる分野の大学研究者や企業の実務家などの横断的な集まり。1年に1回、研究発表会を開いており、今回が10回目だが、本学での開催は初めて。
 日本大、工学院大、上智大、千葉大、東京大、法政大などの研究者と学生、東京メトロや小田急などの鉄道事業者、信号機メーカーや交通安全環境研究所などの研究機関から66人が参加した。
 研究発表は事故防止や軌道管理、超高度化鉄道システムなどの分野の11のテーマで行われ、本学からは富井研の修士課程2年、西田真央さんが「相互直通列車における各社の意図を考慮した運転整理アルゴリズム」と題して研究成果を発表した。
 西田さんの研究は、相互直通運転で遅れが発生した場合に人手で行われている復旧作業を、コンピューターで行うためのアルゴリズムを構築しようというもの。近い将来の実用化を目指している。
 研究発表終了後、2号館20階に会場を移して開かれた懇親会には、黒ア直子学長補佐も出席。夜の東京湾を一望できる絶景に、参加者たちは「うらやましい」と感嘆の声を上げていた。
富井教授の話
 このシンポジウムは鉄道研究に関わる日本のほとんどの人たちを結集しています。そうした人たちに千葉工大に足を運んで、当研究室の活動を知ってもらうことは、千葉工大の存在をアピールする上でも意義のあることだと思います。