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2017.4.15

椿さんゴールドポスター賞


ヤヌス粒子の調製結果を発表
 2016年度材料技術研究協会討論会(昨年12月2、3日、千葉県野田市の東京理科大・野田キャンパスで開催)で、椿杏菜さん(生命環境科学科4年〈受賞時〉、橋本和明・柴田裕史研究室=写真)が「O/Wエマルションを用いたヤヌス粒子の調製」を発表し、ゴールドポスター賞に決定。2月に表彰状が届いた。
 橋本・柴田裕史研では、物質同士が接する界面をデザインして新機能を持つバイオ材料などを開発している。
 椿さんは、水と油のエマルション(乳濁液)で、水を主相とする水中油滴(O/Wエマルション)のなかのピッカリングエマルション(液界面に吸着した固体粒子)を用いてヤヌス粒子(表裏で表面組成や物性が違う“2つの顔”を持つ異方性粒子)の調製に挑戦。球状シリカヤヌス粒子の調製に成功したさまを発表した。
 できた粒子の評価が難しかったといい、また、初めての学会発表で緊張したという。
 椿さんは「(受賞に)とても驚き、信じられませんでした。たくさんの方々にアドバイスをいただき、いい経験になりました。先生や先輩方に感謝を伝えたい」と語った。

中田さん学生優秀発表賞


骨モデルを作り超音波透過実験
 日本音響学会の2016年秋季研究発表会(昨年9月14〜16日、富山市の富山大・五福キャンパスで開催)で、中田晶平さん(生命環境科学専攻修士1年〈受賞時〉、大野正弘研究室)が発表した「3Dプリンタによる骨モデルの作製―実寸モデルの作製と超音波透過実験―」が学生優秀発表賞に決まった。
 3月16日、神奈川県川崎市の明治大・生田キャンパスで開かれた春季研究発表会の場で表彰された。
 中田さんは、骨粗鬆症診断の一つ・超音波診断法を発展させようと研究。健康人、骨粗鬆症患者の踵骨(かかとの骨)の疑似モデルを3Dプリンターで作製し、超音波の透過具合を実験。得られたデータ(透過音場画像)を自己相関関数などで評価し、骨密度を評価できるか調べた。
 3Dモデル作製にあたって、データ作りに一苦労。研究室仲間と3DCADのあらゆる機能を試し、ようやく成し遂げた。実験結果を指標に、実際に超音波診断で骨密度を測定できるようにしたいという。
中田さんの話
2年間研究してきたことを評価いただき、うれしく思います。今後も研究を続け、医療の発展に貢献していきたい。大野先生のご指導に感謝します。
中田さんと、作製した骨モデル
中田さんと、作製した骨モデル
中田さんと、作製した骨モデル

五十嵐さん優秀賞 4人奨励賞


PM学会春季発表大会 学生研究発表賞で
 プロジェクトマネジメント(PM)学会の2017年度春季研究発表大会(3月9、10日、東京都文京区の東洋大・白山キャンパスで開催)で、本学PM学科3年の五十嵐匠さん(下田篤研=写真)が学生研究発表賞の優秀賞を受賞。同4年の上野奈々さん(下村道夫研)、大場隼人さん(谷本茂明研)、今野裕紀さん(堀内俊幸研)、篠恭介さん(下村研)の4人が奨励賞を受賞した。
 優秀賞の五十嵐さんは「インフォーマルネットワークに着目した業務遂行に望ましい人間関係の考察」を発表した。
 労働者の生産性は、環境よりも職場の人間関係や心理的要因に影響される(ホーソン実験)。人間関係には、指揮命令系統のフォーマルネットワークと、命令系統から離れたインフォーマルネットワークがある。五十嵐さんは、インフォーマルネットワークがフォーマルネットワークにどんな形で寄与するかを、以前のアルバイト先・ファミリーレストランの職場を例に考察。専門性の高い調理部門と、個人の技量に比較的依存しない配膳部門との人間関係などを、ネットワーク分析法を利用して定量化・可視化し、シフトごとのネットワーク構造の違いと業務の効率性との関係を調べた。
 その結果、職位をまたいだ上下のインフォーマルネットワークによる職場の一体感、職場をまたいだ横の情報連携により、業務効率が向上する事例を抽出できた。
五十嵐さんの話
 知識不足から論文執筆に苦労しました。卒論ではさらに深く研究していきたいと思っています。

 奨励賞4人の発表内容は次の通り。
●上野奈々さん 「PBLにおけるメンタルトレーニング選択手法の提案」
 緊張を緩和するメンタルトレーニングとPBL(Problem Based Learning=課題解決型学習)との関連について。緊張しがちな会議や質疑などの各場面で、被験者の性格に有効と思われるトレーニング(呼吸法、筋弛緩法、自律訓練法など)を提案して基礎検証を実施。提案したトレーニングが有効との示唆を得た。目に見えず主観を伴う「緊張」や「気分」を扱う点が難しかったという。
上野さんの話
 この研究がPBLを経験する学生の助けになれば幸いです。下村先生、研究室仲間、家族らに感謝します。
●大場隼人さん 「ITガバナンスに資する情報セキュリティ投資対効果モデルのコンセプト提案」
 企業の情報セキュリティー対策への投資と、外部ウイルスの脅威や情報漏えいはイタチごっこ。大場さんはセキュリティー対策について、経営層に十分に投資してもらうため、経営層が投資する際の意思決定プロセスに類似している消費者購買意思決定プロセスに基づいて低コスト型から高精度型までの段階型算出モデルを提案。提案モデルを評価し有効性を明らかにした。
大場さんの話
 大変うれしく、今後の励みになります。研究に携わった多くの方に感謝の気持ちを伝えたいです。
●今野裕紀さん 「CCPMのスケジュール設定におけるボトルネックの摘出に関する研究」
 ソフトウエア開発プロジェクトの工程でボトルネック(阻害する主要因)を発見するために、プロジェクトの総合効率、業務効率、生産性を提案してシミュレーション。プロジェクトの場でもボトルネック摘出が可能なことを示し、プロジェクト管理手法であるCCPM(Critical Chain Project Management)のスケジュール設定で利用できることを示した。
今野さんの話
 堀内先生や皆様のお力添えがあっての受賞。ありがとうございます。この経験を生かし、さらに励みます。
●篠 恭介さん 「清涼飲料水がPBLでの創造性に与える影響に関する一考察」
 授業でPBL中に、よいアイデアを出すのが難しいと感じたのを機に研究を始めた。
 アルコールも適度な摂取で創造性が向上するという先行研究があり、学生なのでアルコールならぬ清涼飲料水に着目。コーラやコーヒー、茶など6種類の清涼飲料水を選定し、PM学科の3、4年生計10人に飲んでもらった上で創造性測定作業を行う実験を繰り返した。
 普段飲まなかったり嫌いな飲料の方が、創造性が向上したという面白い傾向が示唆された。
篠さんの話
 この研究がPBLを行う学生の創造性発揮の手助けになればいいと思います。下村先生、研究室の仲間に感謝します。
上野奈々さん 大場隼人さん
上野奈々さん 大場隼人さん
今野裕紀さん 篠恭介さん
今野裕紀さん 篠恭介さん