NEWS CIT ニュースシーアイティ

2016.12.15

学生建築コンペ 院生5人活躍


橋由寛、沙織さん準グランプリ
建築都市環境学専攻の5人。(前列左から)橋沙織さん、橋由寛さん、秋山怜央さん、(後列左から)川合豊さん、嶋田緒音さん
建築都市環境学専攻の5人。(前列左から)橋沙織さん、橋由寛さん、秋山怜央さん、(後列左から)川合豊さん、嶋田緒音さん
 本学建築都市環境学専攻の大学院生5人が、3つの設計コンペで入賞を飾った。
「街の中の街のすきまの家」
 1件目は毎日新聞社主催の第2回学生住宅デザインコンテスト(ヒノキヤグループ共催、国土交通省・林野庁後援)で、募集テーマは、50坪(約165平方メートル)以内の敷地に癒しの空間をデザインする「都市のくつろげる家」。
 橋由寛さん(修士2年・遠藤政樹研究室)、橋沙織さん(同)が2人で「街の中の街のすきまの家」=写真=を提案し準グランプリを獲得した。11月19日、毎日新聞東京本社(東京都千代田区)で表彰式が行われ、12月9〜16日には入賞作品展が東京駅八重洲地下街・センタースポットで開かれた。
 橋さんらは、日本の住宅には隣家との間に軒下空間・縁側・庭など“街のすき間”があり、安らげる空間を生んできたと捉えた。現代の都市では建物がせめぎ合い、窓を開ければ目の前を隣家の壁がふさぐ。家々に街のすき間を取り戻せば、くつろげるのではないか――。
 長屋型の細長い敷地を想定。上に広げ3階建てにすることで軒下・縁側・庭などの“すき間”要素を取りいれ、植物園があり、日向ぼっこもできる家を提示した。時間がない中、1回1回の話し合いを濃いものにしようと案を出し合ったという。
 コンテストには298点が応募。手塚貴晴さん(建築家・東京都市大教授)ら審査員5人が2次にわたって提案の独自性や環境への配慮、木材の生かし方も加えて審査した結果、準グランプリに選ばれた。審査員の1人は「長屋の内部を立体的に構成することで、すき間を作り出している。緻密に考えられた案」と講評した。
 橋さんらは受賞コメントで「開放的でくつろげる家とは、プライバシーを守りながらも内外がつながっている家だと考えました」と答え、「こんなに良い賞をもらえると思っていなかったので、うれしい。(グランプリは逃がし)次に機会があれば頑張りたい」と語った。

秋山、高橋由、川合、嶋田さん受賞


「浅草井楼櫓」 「棲み家のおすそわけ」
 2件目は不動産会社ヒューリック(株)(東京・日本橋)が募集した「第4回ヒューリック学生アイデアコンペ」(7月までに応募)で、テーマは「浅草・ヌーヴォー」。江戸・東京文化の発信地だった街の浅草寺西側を対象地に、新タイプの建築を考え、再び最先端の浅草を発信しようというもの。
 秋山怜央さん(修士2年・遠藤研究室)▽高橋由寛さん(同)▽川合豊さん(修士1年・今村創平研究室)▽嶋田緒音さん(修士1年・遠藤研究室)――の4人で「浅草井楼櫓」=写真上=を提案。隈研吾さん(建築家・東京大教授)ら6人が2次にわたり審査した結果、入選作と決まった。10月2日、ヒューリック本社で表彰された。
 浅草の空気感を大切にし、伝統と新しさをまとわせた櫓建築。木造の格子や簾で「みち」と「まち」と「ひと」をつなぐ新プロムナードを積み上げた。
 各階の人の動きが透けて見え、夜は柔らかな光が漏れ出して、まるで五重塔か舞台のよう。
 「アーキファニチャー(建築兼家具)」の概念を設計に発展させて展開したという。浅草っぽさを残しながらも新しいシンボルになるようにと願った。

 3件目は、建築系学生のために企業・団体が設立した全日本学生建築コンソーシアムが主催した「第10回JACS住宅設計コンペ2016」で、テーマは「思いやりのある戸建て住宅」。
 秋山さん、川合さんの2人で「棲み家のおすそわけ」=写真下=を提案。吉田研介さん(建築家)ら5人による2次の審査を通って特別実現採用賞(第10回を記念し実際に建設・販売される作品)に選ばれた。11月5日、建築会館(東京都港区芝)で表彰された。
 川合さんらは、孤独を大切にしたり、周囲に参加したり、が自由にできることが「思いやり」ある建て方と解釈。上から見て屋根の平行四辺形に対し、四辺の壁の角度を少しずらした。
 屋根に対して壁の角(すそ)が飛びだし、各壁が内部、外部、半外部の3つの機能に添う。内の生活機能が半外部を通って、外の都市空間に緩やかに漏れだす……そんな流れをシンプルな壁の形態操作で作り出した。
 上記2件の代表役となった秋山さんは、1件目を「考えてきたことをプレゼンする機会を与えていただき感謝しています。この経験を建築設計の場で生かしていきたい」。
 2件目には「自分たちの作品が実現されることはとても光栄です。建築の知識を深め、さらに良い物へと発展できるように全力を尽くします」と感想を述べた。

潤間さん学生賞


ナノスケールでダイオード動作観測
 電気学会の「第19回電気機械システム国際会議(ICEMS2016)」(11月13〜16日、アパホテル&リゾート東京ベイ幕張で開催)で、潤間威史さん(電気電子情報工学専攻修士2年・佐藤宣夫研究室=写真)が英語でポスター発表し、Electrical Science and Engineering Promotion Student Paper Award(電気科学技術奨励学生賞)を受賞した。
 発表したのは「走査型プローブ顕微鏡によるSi製ショットキーバリアダイオード面の潜在空乏層の研究」。
 ショットキーバリアダイオードは、金属と半導体の接触時に生じる整流作用(電流を一定方向にしか流さない作用)を生じさせるショットキー障壁(電気的障壁)を利用したダイオード。スイッチング速度が速い半面、均一特性の生産や制御が難しい。
 潤間さんは表面をナノスケールで観測。ダイオードの動作に必須の空乏層(ショットキー障壁を生じさせる電子の拡散層)と金属‐半導体の接合位置の詳細な計測に成功した。
 観測には市販ダイオードを、測定面がむき出しになるようナノスケールで研磨し平らにする必要がある。そこで研磨紙を置く台に鏡を使用。手研磨の程度(表面の凹凸の大きさ)はそのつど測定しなければ分からず、試料の作製段階でトライ&エラーの連続だったという。
 562人が発表し、受賞は8人という狭き門だった。
 潤間さんは「発表内容が国際会議のメインから多少ずれ、賞を頂けるとは思ってもいませんでした。私のテーマも世の中に必要とされているのだと再確認でき、励みになりました」と感想を述べた。

29年度 AO・推薦入試終了


 平成29年度AO・推薦入学試験が、11月13日に行われた指定校制推薦入学試験を最後に、全日程を終了した。
 9月から11月にかけて▽AO創造入学試験▽公募制推薦入学試験▽専門高校推薦入学試験▽指定校制推薦入学試験▽帰国生徒推薦入学試験(指定校制)▽特別入学試験(外国人留学生・帰国生徒・社会人)――と、順次行ってきた。志願者数の合計は1545人。
 また、編入学試験、指定校制(高等専門学校)編入学試験を11月12日に行い、今年は43人が志願した。