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2016.11.15

「技術と人材育てるロボカップ」


未ロボ・林原教授 ユニバーサル未来社会へ向け講演
 本学未来ロボット技術研究センター(fuRo)と文部科学省が共同で事務局を務める「ユニバーサル未来社会推進協議会」のワークショップが10月21日、東京ビッグサイトで開かれ、未来ロボティクス学科の林原靖男教授が来年7月に名古屋市で開かれるロボカップ世界大会に向けて、ロボカップの意義と本学の取り組みなどを語った=写真
 このワークショップは2年に1度開かれるロボット技術の専門展「ジャパンロボットウイーク2016」の企画の一環。同協議会は2020年の東京五輪・パラリンピック開催に併せて、先端ロボット技術を使った夢の未来社会の“実証フィールド”を各地に造り、ショーケース化して世界に発信しようという国家プロジェクトを推進している。
 一方「2050年にサッカーの世界チャンピオンに勝てる自律型ロボットのチームを作る」という目標を掲げるロボカップの第1回世界大会は、1997年に名古屋市で開催された。21回目となる2017年名古屋大会は2020年に最先端ロボットが活躍するユニバーサル未来社会の姿を実証して見せようというプロジェクトの“プレイベント”としての意味も持つ。
 ワークショップでは司会を務めた文科省の渡辺その子科学技術・学術政策局研究開発基盤課長が「千葉工大はロボカップの大変な強豪校」と紹介。
 林原教授は、本学が2006年に未来ロボティクス学科のチーム「CIT Brains」を作って07年のロボカップ世界大会に初挑戦してからの足跡をたどりながら、2014年に「苦節9年目」で、ヒューマノイド・サッカーロボットの最高の栄誉「ベストヒューマノイド」を獲得したこと。ロボカップは社会の変革を進めるキーテクノロジーの開発と、そのキーテクノロジーを扱える人材を育てるという面でも非常に役に立っていると、参加者に熱く語りかけた。
 なお、「ジャパンロボットウイーク2016」に出展された「ユニバーサル未来社会推進協議会」のブースでは、未来ロボティクス学科米田研究室の奈良林大輝さん(3年)、伊東稔明さん(4年)、花田百優さん(2年)が説明員を務めていた。

本学6組が“環境”出展


「エコメッセ2016inちば」
 県内で最大級の環境イベント「エコメッセ2016inちば」が9月22日、幕張メッセ国際展示場で開かれた。
 今年のテーマは「見つけよう私のCOOL CHOICE」。産官学・市民の約100団体が出展。本学からは▽生命環境科学科生物圏環境研究室(村上和仁教授)▽「環境科学研究会」(代表・村上教授)▽同社会圏環境研究室(五明美智男教授)▽化学第4実験研究室(谷合哲行准教授)▽CITものづくりプロジェクトの2チーム(廃棄食品由来の学内燃料生成プロジェクト、3R-lab PC班)――の6組が研究成果を展示した。雨天にもかかわらず会場には約8500人が訪れた。
村上研
 バイオ・エコエンジニアリングを活用した環境保全、特に微生物生態学の立場から水環境の保全を研究。今回は4年生11人の研究成果をパネル展示し、▽生物指標による県内河川環境マップの作成▽谷津干潟(船溜り・三角干潟)の環境調査▽海浜公園ボート池の24時間モニタリング調査▽湖沼版水環境健全性指標の開発▽マイクロコズムを用いたWET試験法の提案――などを発表。各種ミネラルウオーターを飲み比べる「利き水」を催し、硬度分析を実演した。
 環境科学研は、継続調査している印旛沼の水環境健全性指標や水質調査による環境評価について展示、説明した。
五明研
 4年生11人の研究成果と、研究室が進める千葉県内を中心としたフィールド活動を集め▽中小河川での生物調査や竹林運営経験に基づく環境教育▽房総半島におけるホタルの生息環境調査、サーモカメラによる変温動物の体温特性分析▽箱庭模型を応用した環境コミュニケーション▽印旛沼での視覚化手法を用いた環境評価および外来魚対策▽千葉県内環境NPOの分布特性およびチーバくんの健康診断▽多摩川河口干潟におけるトビハゼの生息環境、ヤマトシジミの潮干狩り場としての分析――をパネル展示。併せてチリメンモンスターのお試しコーナーを提供した。
CITものづくり 廃棄食品由来の学内燃料生成プロジェクト
 学食から廃棄された廃食用油から製造したせっけんを原料に、参加者の好みの香りを付けた透明せっけんづくりワークショップを開催。子どもも含めた参加者と廃食用油のリサイクルを実感した。
CITものづくり 3R-lab PC班
 自転車型発電装置に電動滑車を接続し、発電量の見える化体験を試みた。駆動部分に不具合があり体験はできなかったが、発電装置やエネルギー変換について参加者と意見交換できた。廃油利用と発電の両代表者は午後から開かれた千葉県主催の3Rシンポジウムで講演。70人を超す参加者を前に活動状況を紹介し、議論することができた。
県内の河川環境を説明(村上研) フィールド活動を展示(五明研)
県内の河川環境を説明(村上研) フィールド活動を展示(五明研)

人工知能 細かな動作 認識へ


STAIR Labが開発に挑戦
 10万本の動画を深層学習させることによって人の多様な動作を高精度に認識させるこれまでにない技術の開発に、本学人工知能・ソフトウェア技術研究センター(STAIR Lab)が挑んでいる。その概要が10月5、6日に幕張メッセで開かれた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の展示会でポスター発表された=写真
 「きめの細かい動作認識の研究開発」と題したこの研究は、NEDOの委託事業「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」に応募して採択され、今年4月にスタートした。研究期間は4年間。
 具体的には、「座る」「歩く」「リンゴを食べる」「水を飲む」「抱き合う」などの日常的な人の動作100種類を認識することを目指している。このために1つの動作ごとに1千本、計10万本の動画学習セットを作成し、これらの動作を認識する深層ニューラル・ネットワーク(DNN)を開発する。
 このDNN開発をさらに進めて、▽短い動画を見て、それを言語化(文章化)する▽長い動画を見て、その中に含まれる出来事についての質問に応答する段階へとDNNモデルを進化させる。
 そして「出口イメージ」としては、開発した動作認識ソフトをロボットやカメラに搭載し、介護や見守り、セキュリティーの監視などに応用すれば、より正確に人の状態を推定できるようになり、タスクの質を高めるなど、幅広い応用が可能だとしている。

好調「シンナライブ」


魅力あふれるミニ講義
内海教授のトランペット演奏を交えたミニレクチャー
内海教授のトランペット演奏を交えたミニレクチャー
 新習志野キャンパスの図書館前で先生方がミニ講義する「シンナライブ」が好評だ。図書館事務課が教員と“協働”して昨年始めたもので、昼休みの30分間、普段の授業では聞けない先生方の“取って置き”講義を、聴ける。
 第9回の10月26日は、内海秀幸・都市環境工学科教授の「モダンジャズの楽しみ方とエンジニアリングデザイン」。
 アマチュアのモダンジャズ・トランペッターとして活動している内海教授が、ジャズの歴史と楽曲構成、基本となる音楽理論、即興演奏とエンジニアリングデザイン能力の関係などについてミニレクチャー。内海教授ならではの生演奏も交え、楽しい講演となった。
 11月14日には、東條晃次・教育センター教授の「等質空間〜行列を使って球面を表現してみる〜」、12月1日には東山幸司・同准教授の「原子核物理学でせまるニュートリノの秘密」と、魅力あふれる講座が続く。