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2016.11.15

aba 3賞に輝く


排泄検知シート「Lifi」で
 本学発ベンチャー企業(株)aba(代表・宇井吉美さん=工学専攻博士後期課程1年・写真右)の介護用「臭気センサーによる排泄検知シートLifilm改めLifi(リフィ)」が「第4回ディープテックグランプリ2016」(9月10日、東京都江東区豊洲の日本ユニシス社で=(株)リバネス主催)でJT賞とサントリー賞を、「Tech Lab PAAK(テック・ラボ・パーク)第5期」(9月27日、東京・渋谷のTech Lab PAAKで=(株)リクルートホールディングス運営)ではアンカースター賞のトリプル受賞に輝いた。
 各コンテストはいずれも技術シーズのビジネス化を応援するもの。プレゼンテーションでは宇井代表が説明、ディープテックグランプリでは秋庭裕さん(未来ロボティクス学科4年=大川茂樹研究室・同左)が説明に加わった。
 「Lifi」の開発について、Tech Lab PAAKは「臨床実験を重ねて、着実に前進している」、JT賞は「介護現場を丁寧に調査し、技術視点だけではたどり着けない課題解決策にたどり着いているビジョン」、サントリー賞は「現場に真摯に向き合っている」と評価した。
 宇井さんは「介護現場での実験が大変だった。Lifiは夜間帯も使用するので、泊まり込みの実験と、日中業務を平行するのが本当に大変だった」と振り返り、「そのおかげで少しずつデータ回収が出来るようになり、研究開発も前に進んだ」と語った。
宇井代表の話
 現場での臨床結果を評価いただいたのが非常にうれしかった。少しずつではあるが、介護現場に役立つものづくりを進めたい。
「Lifi」=写真上
 寝たきり被介護者のオムツ交換について、介護者は排泄タイミングが分からないため排泄の有無にかかわらず定時交換で対応。2割は空振り交換と調査され、時間ロスが介護者に負担となっている。Lifiは、臭いや気体中の成分変化に反応する安価なセンサーを活用、独自のアルゴリズムで排泄の有無を検知し、介護者にタブレットなどで通知する。実証テストで成果が確認され、TECH LAB PAAK第3期でTechCrunch Japan 賞を受賞。当時の名称「Lifilm」を「Lifi」と改名して現在、提携関係にあるパラマウントベッド(株)と量産へ向け協議しており、来春にも本格販売できる見込み。

世界初 600度超で記録動作


菅研究室 高温耐久メモリーを開発
菅助教(奥)と(前列左から)鈴木さん、柏原さん、篠村さん。
菅助教(奥)と(前列左から)鈴木さん、柏原さん、篠村さん。
 千葉工大と国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、物質・材料研究機構(物材機構)は10月11日、セ氏600度でも動作する不揮発性記憶素子(電源を切っても記録情報が失われないメモリー)の開発に世界で初めて成功したと発表した。
 ナノテクノロジーを応用し、機械サイエンス学科の菅洋志助教(現・機械電子創成工学科助教)、鈴木博也さん(機械サイエンス専攻修士1年)、柏原翔太さん(2014年、機械サイエンス学科卒)、篠村勇磨さん(2013年、同学科卒)が産総研ナノエレクトロニクス研究部門、物材機構国際ナノアーキテクトニクス研究拠点と共同で開発した。
 通常の半導体メモリーは高温で固体内の電子伝導を制御できなくなるため、200度程度で情報書き込みも保持もできなくなる。菅研の新技術はナノメートルの隙間(ナノギャップ)に起こる量子効果で電子伝導を制御するため、非常に高い温度でも動作する。
 今回、研究グループは、室温下でも高温下でも安定に情報を書き込むことができ、セ氏600度で8時間以上情報を保持できることを確認した。プラチナ単結晶を用いてナノ構造を作る千葉工大の技術と、学生たちが繰り返し実験して得たデータが、成果に大きく寄与した。
 この技術はフライトレコーダー、惑星探査機など高熱下でデータ保護が必要な場面への応用が期待される。また、データセンターでデータ保護のために消費される冷却エネルギーを大幅に削減できることから、省エネ社会に貢献すると期待される。
 菅助教は「学生たちの奮闘と大学のサポートに感謝したい。今後は1ナノメートルより小さい領域に注目して現象をより精密に制御するなど、大学らしい基礎研究に取り組みたい」と話している。
 成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版(10月11日付)に掲載された。
開発した高温耐久メモリー
開発した高温耐久メモリー

金子さん養成塾で受賞


「働く意味」学んだ3カ月
 就活学生のための「次代人財養成塾One-Will(ワンウィル)」第6期(7月2日〜9月3日、東京・銀座の(株)秀實社などで研修=秀實社主催、産経新聞社協力)に参加した金子幸平さん(経営情報科学科3年・写真)が、9月24日の修了式でシルバーライニング賞に選ばれ、表彰された。
 秀實社はコンサルティング会社で、One-Willは3カ月間の無料塾。約3〜7時間の研修を9回前後受ける。
 第6期研修には約50人が参加。自己啓発セミナーや、成功した実業家らの講義を通して「働く意味」を学び、3年後の自身の将来像や実現計画を「未来創生新聞」にまとめた。
 修了式では選抜された塾生が未来創生新聞を発表。その内容や成長ぶりから6賞8人が選ばれた。
 金子さんは受賞を「3カ月の短期間で積極的に学べるものを学ぼうとしたからだと思います。志の高い学生や企業人と出会って、思考や行動が変化し、社会へ出る期待や自信を持てるようになりました」と語った。

中静教授に貢献賞


本学で開いた国際会議を運営
 電子情報通信学会のソサイエティ大会(9月20〜23日、北海道札幌市の北海道大で開催)で、本学情報通信システム工学科の中静真教授=写真=が、基礎・境界ソサイエティ分野の貢献賞(国際会議)を贈られた。
 中静教授は、通信と信号処理、コンピューターシステムに関する会議であるスマートインフォメディア・システムズ・イン・アジア2015(昨年8月26〜28日、津田沼キャンパスとモリシアホールで開催)で実行委員長を務め国際会議を運営した手腕を評価された。会議にはタイ、ベトナム、フィリピンなどの研究者が参加しチュートリアル講演、特別講演など40件が発表された。
 中静教授は、コンピューターに人間の知覚を超えた能力を持たせることを目標に、複雑な現象の中から、隠れた信号パターンを学習する方法と画像・音声処理への応用を研究している。
 電子情報通信学会は基礎・境界、通信など5つのソサイエティで活動、正会員が2万5千人を超す大規模学会。
中静教授の話
 千葉工大で国際会議を開催することで、微力ながら海外、特にアジア圏における千葉工大の知名度を上げることに貢献できたのではないかと思う。津田沼キャンパスでは、建物の表示・案内図に英語の表記がないなど整備が不十分な点もあり、若干の苦労があった。今後も機会があれば千葉工大の知名度の向上に貢献したい。

学位取得


東京工業大博士号(工学)=9月20日
入江清・未来ロボット技術研究センター(fuRo)主任研究員
▽学位論文「Mobile Robot Navigation Using Statistical Dependence(統計的依存性を利用した移動ロボットのナビゲーション)」
 入江主任研究員は、移動ロボットや自動運転車が地図の準備なしで自律走行できる研究を進めている。今回、自己位置推定やセンサー校正について、統計的依存性を利用したセンサーデータの位置合わせを応用することで従来よりも優れた性能を持つ手法を開発した。