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2014.12.15

小澤准教授に論文賞


高温金属融体 表面張力測定の精度を向上
 高温融体の熱物性などを研究する機械サイエンス学科の小澤俊平准教授=写真=に、日本熱物性学会から論文賞が贈られることが決定。第35回熱物性シンポジウム(11月23日、東京都目黒区の東京工業大大岡山キャンパス)の会場で表彰された。
 発表項目は「溶鉄の表面張力測定に及ぼす試料蒸発の影響」(2013年「熱物性」誌27巻3号収録)。
 材料プロセスでは高品質化、コスト削減、環境への配慮などのために、数値シミュレーションによる最適化や現象解明が図られているが、パラメータとして必要な表面張力の正確な値が、なお整備されていない。
 強力な表面活性元素である酸素が雰囲気中に気相として存在するのに、その影響を考慮した研究が不足したため。
 小澤論文では、雰囲気中の平均的な酸素分圧(雰囲気ガス中に含まれる酸素量)を考慮するだけでなく、金属試料の蒸発が試料近傍の酸素分子や水分子を消費して、酸素分圧を局所的に低下させる可能性について、分子間衝突と熱力学的平衡の観点から理論的に考察した。
 その結果、溶融鉄の場合にはその効果は無視できるほど小さく、雰囲気中のバルク酸素分圧の制御だけで、正確な表面張力測定が可能であることを示した。
 これにより、解明の進んでいない高温金属融体表面でのガス吸着に関して定量的議論が可能になるだけでなく、溶接、結晶成長、精密鋳造など各種高温融体プロセスの数値シミュレーション精度が向上すると評価された。
 小澤准教授は「(受賞は)共同研究者や指導の先生方、実験に協力してくれた学生たちなしにはあり得ず、感謝しています。今後も研さんを続けます」とコメントした。
 日本熱物性学会は工学、理学、農学、医学、生活科学など広い分野の研究者を「熱物性」で結ぶ学際的学術団体。

まちづくり会議など提案


学生たち、習志野市長と意見交換
提案・報告に耳を傾ける
提案・報告に耳を傾ける
 「津田沼祭」2日目の11月22日、宮本泰介習志野市長と本学学生による初の意見交換会が津田沼校舎1号館20階のサロンで開かれた。今年3月に本学と習志野市が締結した包括連携協定に基づくもの。習志野市の今後の発展のためにどのような施策が考えられるかについて、学生側が日頃の研究成果を基に10件の具体的な提案と2件の参考事例報告を行い、宮本市長や市の幹部と意見を交換した。
 交換会は本学の「チバニー」と習志野市の「ナラシド」にエスコートされた宮本市長と小宮一仁学長の入場で始まった。会場には一般市民に交じって、やはり本学と包括連携協定を結んでいる浦安市の担当者、御宿町の石田義廣町長と担当者も駆け付け、本学との協力関係に対する自治体側の期待の高さを表していた。
 学生側の提案・報告は、大別すると1協働まちづくり2都市計画3産業振興4社会教育5ボランティアの5分野。個々の事例について午前は宮本市長、午後は諏訪晴信企画政策部長と市川隆幸市民経済部長が、行政現場の視点からどう受け止めたかを話した。
 まとめの講評で、宮本市長は「すべて前向きな提案であり、習志野市のことをここまで掘り下げて研究していただいたこと、千葉工大の開かれた姿勢に感謝します。最高でした」。小宮学長は「発表のレベルは高かった。学生諸君はさらに未来を見据え、自分たちが将来住んで活躍できる習志野市を創るための研究を進めて頂きたい」と語った。
 最後にあいさつした宮川博光常務理事は「いま地方再生は国の大きな使命となっている。千葉工大は日本全体の“知の拠点”となって、新しい産業や雇用の創成に役立つ教育・研究に力を注いでいきたい」と締めくくった。

【本学学生の提案】

 ◇市民と千葉工大によるロボット特区(未ロボM2・菅野翔平、作本佑輔)◇「埋立地の埋もれない想い」プロジェクト(デザ科M1・佐藤忠輔)◇袖ケ浦団地再生計画(建都4年・鈴木将太)◇行政と市民による協働運営型まちづくりセンターの設置(建都M1・菅原真生)
 ◇まちづくり会議による安心と安全なまちづくり(建都3年・後藤崇)
 ◇デザインと地域貢献・その1「地域ブランドのデザインとつだぬまーるについて」(デザ科M1・皆川伸吾)、同その2「さまざまな事例紹介を通した地域と学生へのプロジェクトによる効果と可能性について」(デザ科M2・小田裕和)◇習志野市の地域資源を活用した都市観光の現状と今後の方向性について(生環M1・長谷川満加)◇防災行政無線の新しいスピーカー設置方式の提案(建都M1・佐藤真生)
 ◇習志野市コミュニケーションデザインセンター構想(機サ4年・千葉亜沙斗)◇千葉工大の特徴を生かした学生ボランティア(経情3年・木村孝一)

【参考事例報告】

 ◇習志野市民のためのスポーツ健康振興施策(PM3年・中條雄斗)◇「千葉工大生による小中学生向け科学工作教室」の提案(生環4年・渡部亮) =敬称略

まちづくりのプラン図を前に参加者たち
まちづくりのプラン図を前に参加者たち

坂本、河合教授ら論文賞


白血病治療めざし 人工RNAの構造を解析
 生命環境科学科の坂本泰一教授、河合剛太教授、元特別研究員の野村祐介博士(現・国立医薬品食品衛生研究所)らが日本生化学会の「The Journal of Biochemi stry(生化学ジャーナル)」誌に発表した論文が、学会のJB論文賞に決まり、10月15〜18日、国立京都国際会館(京都市左京区)で開かれた第87回日本生化学会大会で表彰された=写真受賞会場で坂本教授(右)と野村博士
 受賞論文は「Soluti on structure of a DNA mimicking motif of an RNA aptamer against transcrip tion factor AML1 Runt domain」(転写因子AML1のRuntドメインに対するRNAアプタマーのDNA擬態部位の溶液構造)」。
 急性骨髄性白血病は、骨髄系造血細胞ががん化して起きる。造血細胞の分化に必要な遺伝子発現を、「AML1」と呼ばれるDNA結合たんぱく質が担っているが、AML1が変異するとがん化が起きる。
 AML1に強く結合する人工RNA(RNAアプタマー)を創り出せば、治療薬として利用できるとみられ、研究されている。
 坂本教授らは、人工RNAがどのようにAML1に結合するのか明らかにしようと立体構造を解析した。その結果、人工RNAの一部がDNAの立体構造を擬態していることを明らかにした。

AO・推薦入試終了 27年度


 平成27年度AO・推薦入学試験が、11月16日に行われた指定校制推薦入学試験を最後に、全日程を終了した。
 9月から11月にかけて▽AO創造入学試験▽自己推薦入学試験▽公募制推薦入学試験▽専門高校推薦入学試験▽指定校制推薦入学試験▽特別入学試験(帰国生徒・外国人留学生・社会人)――と、順次行った。
 今年度の変更点は、自己推薦入試を、初めて東京スカイツリータウンキャンパスを会場として行ったこと。志願者数の合計は1593人となった。
 また、編入学試験を11月15日に実施し、今年は14人が志願した。