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2014.12.15

駅力 生かした街づくりを


大田教授、原講師 習志野商工会議所で講演
習志野商工会議所で講演する原講師
習志野商工会議所で講演する原講師
 現在、習志野市内にはJR津田沼、新津田沼、京成津田沼、京成大久保、実籾、谷津、新習志野の7つの駅が実在している。習志野商工会議所街づくり戦略委員会は、駅の魅力を再発見し、駅を生かした街づくりについての研修会を11月11日、同市民などを対象に習志野商工会議所で開き、経営情報科学科の大田勉教授と原洋平非常勤講師が「駅力指数による鉄道交通の利便性」と題して講演した。
 原講師は4人の共同研究者とともに大田教授の研究室で、関東の1都5県の鉄道144路線計1941駅の「駅力」を算出。これを基に駅周辺の「土地の鉄道交通利便性指数」を求める公式を生みだした。さらに算出した土地の鉄道交通利便性を17段階に色分けし、グーグルマップ上に表示した。
 研究によると、JR津田沼駅には、JRと東京メトロ東西線を合わせ3路線が乗り入れており、列車の発車本数と、その駅から乗り換えなしで移動が可能な駅の数を基に算出した「駅力」が一番大きく、千葉県内395駅中6位となっている。
 首都圏で同程度の駅力を持つ駅は、都営大江戸線とゆりかもめが乗り入れる汐留や東急田園都市線の鷺沼などだ。
 講演で原講師は、「同程度の駅力を持つ駅を参考にすることが、街づくりの助けになる。千葉県居住者が回答した『住みたい街ランキング』では、JR津田沼は2位であり、ランキング上位に入る街を参考にすることで、JR津田沼の評価は、さらに上がると考えられる」と指摘した。
■池袋の駅力も講演
 原講師は、東京都豊島区が取り組む「国際アート・カルチャー都市」構想実現のための説明会(10月22日、豊島公会堂)でも区民らを前に「『駅力』から見る池袋の魅力」と題して講演した。
 原講師たちの調べでは、池袋駅は豊島区の中心ターミナルでJRと私鉄の計10路線が乗り入れ、「駅力」は新宿駅に次ぎ2位。研究を知った豊島区が、高い駅力を国際アート・カルチャー都市実現のバネにしようと、大田教授を通じ原講師に講演を依頼した。
 豊島区は今年5月、日本創成会議が発表した全国自治体の将来人口推計に基づき、東京23区で唯一「消滅可能性都市」とされた。これを受けて同区が持続発展都市づくりの柱に掲げたのが「国際アート・カルチャー都市」構想。豊島区を、世界中から人が集まって新しい文化を生み出す“劇場都市”に変身させることを目指している。
 原講師は講演で、「池袋は交通利便性が充実しており、周辺の広い地域で容易に鉄道交通機関が活用できるため、住民は広範囲に移動が可能だ。住宅地として『住みたい街ランキング』の上位に入る街を参考にすることで、池袋の評価がさらに上がると考えられる」と構想を励ました。

“お掃除ロボ”親子教室開く


青木准教授と学生たちが指導
青木研の学生の指導でロボットを操縦する子どもたち
青木研の学生の指導でロボットを操縦する子どもたち
 ごみに見立てたピンポン玉を、いくつゴールに入れられるかな!
 親子2人が1組になってスカベンジャー(お掃除)ロボットを作り、競技を楽しむ「親子ロボットスカベンジャー工作教室」(日本機械学会主催)が11月9日、津田沼キャンパス2号館で開かれた。
 この教室は、日本機械学会が一般の人たちを対象に1997年から毎年開いている「ロボットグランプリ」の参加者をもっと増やす狙いで、3年前から開かれている。
 今回は特に初心者を対象に同学会と本学のホームページで参加希望者を募集。先着順で千葉県や東京、茨城の5歳から小学5年生までの子どもとその父母10組が参加。未来ロボティクス学科の青木岳史准教授の指導で午前9時から午後4時までロボットの魅力にたっぷり浸っていた。青木研究室の学部3年生3人がアシスタントを務めた。
 ロボットグランプリでは、1大道芸ロボット2ロボットランサー(槍騎兵)3ロボットスカベンジャーの3競技が行われる。このうちロボットスカベンジャーは、誰でも簡単に製作できる参加型の競技。
 有線のリモコン操作で動き回り、それぞれに工夫をこらして手作りしたショベルやバケットで2色のピンポン玉を集めて、決められたゴールまで運び、入れた数を競う。
 この製作と競技を通して、ロボットが動く仕組みを理解し、新しい機能を考え出す創造性を育むのが狙いだ。さらにこうした経験を通して、子どもたちが科学への関心を高、将来、技術者への道を歩んでほしいという願いが込められている。
 参加者には「チバニー」が付いた千葉工大グッズがプレゼントされた。

多様に環境保全活動


本学、今年も「エコメッセ」に
 「エコメッセ2014inちば」が9月23日、幕張メッセ国際展示場で開かれた。県内の市民・企業・行政に大学も加わりエコロジーに取り組む環境見本市で、今年で19回目。114団体が出展し約1万2千人が来場した。
 CITものづくりから▽学内未利用資源発掘プロジェクト(旧くるくる研)▽廃棄食品由来の学内燃料生成プロジェクト▽Hyper竹とんぼプロジェクト――が出展。本学教育センター化学第4実験研究室(谷合哲行准教授)▽生命環境科学科生物圏環境研究室(村上和仁教授)▽同社会圏環境研究室(五明美智男教授)▽環境科学研究会(代表・村上教授)――も参加し、展示を通して多くの関係者と交流した=写真
【学内未利用資源発掘プロジェクト】
 学内で廃棄されるパソコンのリサイクル技術を応用して、小学生向け電子工作ワークショップ(IC電子ろうそくの作成)を開き、参加者約60人に、ものづくり体験をしてもらった。
【廃棄食品由来の学内燃料再生プロジェクト】
 学食から出る廃食用油から、せっけんとバイオディーゼル燃料の両方を製造している活動ぶりを紹介した。
【五明研】
 4年生12人の研究を集め▽釣り・魚とりによる環境教育と市民調査▽千葉県臨海部の河川底質環境改善と排水路の水生生物調査▽千葉県の寺社林の機能と構造分析▽内房海岸の漂着物を活用した環境教育と海浜植物生息場の評価▽ビオトープ造成のための物理的構造や棚田の地形・水環境調査――などをパネル展示した。
【村上研】
 バイオ・エコエンジニアリングを活用、特に微生物生態学の立場から水環境の保全研究に取り組む。今回も▽生物指標や水環境健全性指標による県内各地(蓮沼海浜公園、夷隅川、海老川)の環境評価▽マイクロコズムを用いた環境リスク影響評価(殺虫剤、除草剤、田面水、金属類)の研究――などを発表。各種ミネラルウオーターを飲み比べる「利き水」も催した。
【谷合研】
 企業・団体と協働で推進している環境関連事業や、エコメッセ実行委員会交流部会長として各地の市民団体や企業活動を支援している活動について報告。
【環境科学研】
 湖沼水質ワースト5に入る印旛沼を昨年度から継続調査。水に関心を持ってもらおうと、水質分析と、水環境健全性指標による水辺環境の評価結果などを紹介した。他大学の出展ブースとも交流した。

 各出展チームは、多数の来場者から質問され、アドバイスを受け、県内の環境団体と交流。環境科学研は県庁職員から、村上研は千葉県環境アドバイザーから質問を受けていた。五明研は県内フィールドマップを展示し、広域な取り組みに賛同の声が寄せられた。

本学の「環境報告書」 2013年度版発行


 地球環境保全に関する千葉工業大学の真摯な取り組みを報告した環境報告書2013年度版=写真=が11月、発行された。教職員で構成する安全委員会の環境報告書ワーキンググループが作成した。
 学長緒言、本学の概要に続いて、今回は6つの環境基本方針に沿って、取り組み状況を分かりやすく報告している。中でも、環境マインドを備えた創造性豊かな人材の育成を目指し、4つの環境教育・研究に取り組んでいる事例が注目される。報告書は大学ウェブサイト(http://www.it-chiba.ac.jp/kankyou2013_2.pdf)からダウンロードできる。