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2014.7.15

27年度入試説明会


計148校の高校教諭参加 2回開く
スカイツリータウンキャンパスで開かれた入試説明会
スカイツリータウンキャンパスで開かれた入試説明会
 本学の27年度入試説明会が5月30日、初めて東京スカイツリータウンキャンパスで開かれ、関東地方を中心に71校72人の高校教諭が参加した。
 冒頭、日下部聡入試広報部長が「このキャンパスはお年寄りからお子さんまで幅広い皆さんに、最先端の科学技術に親しんでもらおうと2年前に開設しましたが、お陰さまで入場者は32万人に達しました」とあいさつ。
 続いて小宮一仁学長が「私はいま52歳。全国の大学学長の中で11番目の若さで、オバマ大統領と同い年なのです」と自己紹介した後、本学72年の歴史や学部・学科構成、施設、教職員など教育体制の現況を説明。
 この中で学長としての大学づくりビジョンとして、「多彩さ、多様性を大切にし、工学系を中心に、デザイン、情報、マネジメントなども伸ばしていきたい」と、社会科学系の分野にも注力する考えを表明し、さらに次のように語った。
 「ご批判が強かった退学率・留年率も、この2年間で相当改善した。これからも4年間できちんと卒業できる学生の数を増やしていく」「卒業生の就職は理系好調の波に乗って、昨年度の卒業生の進路決定率は95%まで回復した」「学部志願者は6年連続で増加し、昨年度は初めて4万人を突破。志願者の増加数では全国1位に輝いた」
 そして「師弟同行・師弟共生の教育目標の下、キメ細かい、温かい教育で、建学の精神の『世界文化に技術で貢献する』人材を育てていく」と結んだ。
 この後、入試委員長の熊本忠彦教授(情報科学部情報ネットワーク学科)が、27年度入試について説明。AO入試、推薦入試、前年度入試との相違点や一般入試、センター利用入試のほか、試験日自由選択方式、併願受験料優遇制、参加高校の卒業生の成績や進路状況などについても、入試広報課の出口武志課長とともに丁寧に説明した。
 説明会の前後の時間を利用し、希望者らは「エリアIロボット技術ゾーン」「エリアII惑星探査ゾーン」「CITシアター」を見学。福島第一原発で活躍している「クインス」や「太陽系グランドツアー」などに興味深そうに見入っていた。また、個別相談会場を設置し入試委員・入試広報課員が高校教諭らの相談に個別で対応した。
 なお、6月6日には津田沼校舎で2回目の入試説明会が開催され、77校78人が参加した。
 昨年度に続いてキャンパス見学会を行い、惑星探査研究センター内「国際宇宙ステーション流星観測ミッション運用室」や生命環境実験室において「高分解能NMR分光計」等充実した研究設備を見て回った。

江尻研マシン 3位


WEM 燃料電池部門に出場
Violet Beam03号と江尻研チーム
Violet Beam03号と江尻研チーム
 電気自動車の省エネ性能を競う「ワールド・エコノ・ムーブ(WEM)2014=第20回記念大会」は5月4、5日、秋田県大潟村ソーラースポーツラインの6キロ往復コースで開かれた。全国の大学・高専などから63チームが参加。本学機械サイエンス学科・江尻英治研究室チーム(磯野大樹さん=機械サイエンス専攻修士1年=ら5人)のマシン「Violet Beam03」が燃料電池部門オープンクラスに出場し、3位に入賞した。
 江尻研究室は2010年から参加し今年で5回目。このレースでは一定量のバッテリーや水素を与えられ、2時間内にどれだけの距離を走れたかを競う。江尻研究室はインホイールモーター、ウルトラキャパシタ、ボディーにCFRP(炭素繊維強化樹脂)を使ったハイテクマシンを短期間で製作した。
 泉翔理君(同学科4年)をドライバーに、レースマネジメントは鈴木雅人君(同)が担当。レース中盤、雨が降り出したが、大きなトラブルもなく2時間を完走し、総走行距離40.3キロで3位入賞を果たした。
 総監督を務めた磯野さんは「例年より気温が高く、燃料電池が空冷タイプなので、オーバーヒートを心配した。これまで途中で走行不能になるなど結果が振るわなかったが、今年は初めて2時間連続走行ができ、うれしい。性能を向上させて、来年はぜひ優勝したい」。
 江尻教授は「レースは思ったように行かないもの。周到な準備ももちろんですが、想定外の事態に迅速的確に対応できるかどうかが勝負を決めます。自分たち手作りの『走る実験室』に関わることで、学生には技術力と人間力を身につけてほしい」と語った。

宮田准教授に論文賞


画像復元の新手法を提案
宮田准教授
宮田准教授
 画像処理を研究する電気電子情報工学科の宮田高道准教授が、2012年暮れに電子情報通信学会の論文誌に発表した「Image Recovery by Decomposition with Component‐wise Regularization(成分分離と成分ごとの正則化による画像復元)」が、同学会の第70回(平成25年度)論文賞に選ばれ、6月5日、東京・芝公園の機械振興会館で表彰された。
 論文は、雑音やピンぼけなどで劣化した画像(観測画像)から劣化のない、きれいな画像(原画像)を推定する画像復元問題について。原画像について、予め分かっている特徴を凸関数で表した正則化項を用いる手法が数多く提案されてきた。しかし、画像全体を滑らかにする正則化項が採用されてきたため、テクスチャ(質感表現)などの精細な画像情報の復元は困難だった。
 宮田准教授らが提案したのは、画像を3つの成分(滑らかな成分、エッジ成分、テクスチャ成分)の和としてモデル化する手法。これら3成分の同時推定問題を直積空間上の凸最適化問題に帰着させることで、各々の特徴に適合した正則化項を同時に適用することに成功した。また、この最適化問題が交互方向乗数法を用いて解決できることも明らかにした。
 実験で確かめた結果、滑らかな成分と精細成分の同時復元が成功していることが示された。
 論文は宮田准教授が東京工業大教授らと連名で発表。電子情報通信学会論文誌に発表された論文のうち、特に優秀と評価された。
 宮田准教授は「このテーマは私にとって大きな転機となったもので、大変感慨深い。何かを始めるのに遅すぎることはなく、新しいことにチャレンジしていく態度と努力が重要であることを学生に伝えていきたいと思います」と語った。

田島助教らに著作賞


“住まいのリノベーション図鑑”
都市住宅学会
 建築都市環境学科の田島則行助教=写真=が、学外の5人と共同執筆した「最高に気持ちいい住まいのリノベーション図鑑」(エクスナレッジ社刊、B5判231ページ)が、都市住宅学会が選ぶ2014年学会賞の著作賞に選ばれ、5月19日、東京・水道橋の住宅金融支援機構すまい・るホールで表彰された。
 住宅業界では、中古住宅を再生する「リノベーション」が加速している。水・電気・ガスのラインや間取り、内外装を、現在のライフスタイルに合わせて改修して、快適な暮らしを実現するもの。
 田島助教らの著作は、不動産ストック活用の裾野を広げようと編まれた。リノベーションの設計者たちが、実践で蓄えた知恵やノウハウ(仕上げ、パーツ、収納、間取り、敷地、環境、構造など)を、200件近い事例で分かりやすく、初めて体系的に説明した。種々の住空間を眺める「図鑑」としても楽しめる内容だ。
 都市住宅学会は本書が、リノベーションの手法をオープンにし、その対象が使い手・住み手であること。使い手の構想力によって生活空間が生み出され、使いこなされていく時代への転換期を表した記念碑的な労作であることなどを評価した。
 田島助教らはHEAD研究会リノベ図鑑製作委員会を編成して執筆。他の執筆者は馬場正尊東北芸術工科大准教授、新堀アトリエ一級建築士事務所の新堀学氏、ブルースタジオの大島芳彦氏、佐々木設計事務所の佐々木龍郎氏、らいおん建築事務所の嶋田洋平氏。
 田島助教は「光栄な賞をいただき、うれしく思います。少子高齢化が進む日本では、不動産ストックの再生が大きなカギになります。リノベーションを通した都市再生の可能性を今後も進めて行きたい」とコメントしている。