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2013.10.15

入江fuRo主任研究員研究奨励賞


ロボットの位置認識技術を高度化
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の入江清主任研究員=写真=は第18回ロボティクスシンポジア(日本ロボット学会主催=今年3月14、15日、山形県上山市で開催)で「電子市街地図を用いた単一画像からの自己位置推定」を発表し、ロボティクスシンポジア研究奨励賞の受賞が決まった。9月5日、東京都八王子市の首都大学東京で日本ロボット学会学術講演会があり、会場で表彰された。
 入江主任研究員は、友納正裕副所長とともに、ロボットが目的地まで自律移動する技術を研究している。例年参加する「つくばチャレンジ」=公道で課題機能を実証実験する大会=では、常にトップの成績を維持している。
 従来の技術は、ロボットに予め経路を走行させて詳細な地図を作らせておき、その地図を参照し自分の位置を見失わないよう移動する方法だった。
 入江主任研究員らは、さらに高度な移動技術を目指し、ロボットが地図を作るのではなく、GoogleMapのように人間のために作られた電子市街地図をロボットが解釈し、自分の位置を認識する方法を提案。昨年末に計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会で解説し、優秀講演賞を受賞した。今回の発表でもこの技術を紹介し高く評価された。
 続く受賞に、入江主任研究員は「研究成果が認められ、大変うれしい。これを励みに一層頑張りたいと思います」と語っている。

自動車部が準優勝


全日本学生ダートトライアル
藤枝主将ら3人チーム
 「全日本学生ダートトライアル選手権大会」は全国5支部の選手権を勝ち上がった強豪19校が参加して8月4日(日)、栃木県那須塩原市の丸和オートランド那須で開かれ、本学体育会自動車部=加藤強士君(機械サイエンス学科3年・前主将)、藤枝亘君(同・主将)、多門寛晃君(電気電子情報工学科3年・副将)の3人チーム=が男子団体の部で準優勝した。個人の部でも多門君が3位に入賞。理工系単科大学で最高位だった。
 本学は6月の全関東学生選手権で団体3位に入賞し全日本出場を決めていた。ダートトライアルは、当日朝に公表されたコースに従って悪路を走り、タイムを競う。団体戦は1チーム3人の合計タイムで決まり、タイム差が1秒未満で順位が変動する。実際、本学と3位・東海大の差はわずか0・686秒差だった。
 男子チームは昨年度の全日本大会では団体5位だった。「今年こそ」と気合を入れて臨んだ。午前の1走目で1位だったが、午後の2走目、日本大(1位)の追い上げに耐えきれず、惜しくも優勝を逃した。
 資金力で負ける本学自動車部は、有名強豪校のパワーのある新式車両にここ数年、辛酸をなめさせられてきた。
 個人3位の多門君は「競技はお金ではなく、技術と努力で勝ち取るものと示したかった。優勝を逃し非常に悔しい。今後は後輩の育成に力を入れます」と語った。
 同会場では女子の部も行われ、11人が出場。本学の伊藤彰さん(電気電子情報工学科2年)は健闘したが、入賞はならなかった。
 伊藤さんは「初出場で、うまくいかなかった面もあります。後輩の女子が入部し、来年は女子も団体戦に出場できる人数になるので、何とか結果を出したい」と語った。
準優勝した自動車部
準優勝した自動車部

最優秀著者に半沢教授


学会論文誌が業績評価
 工学部教育センター化学教室の半沢洋子教授=写真=が、筆頭著者として日本油化学会の論文誌「Journal of Oleo Science」に発表した主要3論文が、同誌が選定する第4回「Best Author(最優秀著者)」に決まり、学会の第52回年会(9月3〜5日、仙台市青葉区の東北大・川内北キャンパスで開催)会場で表彰された。
 半沢教授(ナノ材料・表面界面物性)は橋本香保子生命環境科学科准教授(分子免疫学)とともにJ.Oleo Science誌に、グリーンケミストリーが希求される中、従来の強酸触媒ではなく、取り扱い・価格・安全性に優れたヨウ素を触媒に用いた無溶媒条件下でのニトリルを用いたアミドの合成について投稿し、高く評価された。
 日本油化学会は油脂や石油化学工業製品、界面活性剤、関連タンパク質などの研究の進歩を図り、産業発展や生活の向上に役立てることを目的に活動。J.Oleo Science誌は旧・日本油化学会誌を引き継いだ欧文誌で、基礎・応用研究を取り上げて発行している。
 受賞について半沢教授は、教育センターで研究機会を与えてくれた鵜澤惇教授、笠嶋義夫教授、共同研究者の橋本准教授に深く感謝したい、と話し「身に余る光栄です。これを励みに努力します」とコメントを寄せた。

村上教授が講演


千葉エリア 産学官フォーラム
 千葉地域の大学と研究機関が地域社会と密接に連携して、新技術の開発や新規事業の育成などを進めて行こうという「千葉エリア産学官連携オープンフォーラム」が9月4日、千葉大学西千葉キャンパスで開かれた。本学からは工学部生命環境科学科の村上和仁教授=写真=が講演したほか、教員11人が研究シーズ展示会に研究成果を出展した。
 村上教授の発表テーマは「マイクロコズムを活用した環境リスク評価解析技法」。われわれの周囲にあふれている化学物質の環境への影響評価を、フラスコの中に閉じ込めた微生物モデル生態系を使って計測することで、より正確で用途の広い環境リスク評価手法を開発しようというもの。
 マイクロコズムシステムは、フラスコの中に緑藻類などの「生産者」と微小後生動物などの「消費者」、「分解者」である細菌類を入れたもので、自然生態系と同様に食物連鎖などの生物間相互作用や物質循環・エネルギーフローといった生態系の基本原理を含有している。このシステムを活用することで、実際の生態系により近い状態での化学物質などの環境リスク影響評価が可能となり、生態系の盛衰を数値として捉えられるという。
 なお、参加機関は本学のほか千葉大、日大、東邦大、木更津工業高専と放射線医学総合研究所。
■研究シーズ展示会への本学からの参加者と研究シーズ
 ▽洋上型ソーラー筏「PVギガフロート」のプロジェクト化構想(社会システム科学研究科・久保裕史教授)▽プラズマアクチュエータによる流れの制御(機械サイエンス学科・佐野正利教授)▽ポータブル電源の開発と特性評価(電気電子情報学科・佐藤宣夫准教授)▽要支援・要介護認定者の日常生活動作に準拠した身体機能測定機器の開発(工学部教育センター・金田晃助教)▽コンフォメーション病治療薬の創薬を支援する分子シミュレーション技術の開発(生命環境科学科・山本典史助教)▽常にユーザの視界内に情報提示するインタラクティブな情報投影システム(情報工学科・今井順一准教授)▽顔映像に対する表情編集システム(情報ネットワーク学科・中村直人教授)▽エージェントベースによるボトムアップ型の人工経済社会モデル(経営情報科学科・荻林成章教授)▽メディアユニバーサルデザイン評価方法(デザイン科学科・長尾徹教授)▽鉄筋鉄骨構造物の柱梁溶接接合部の破壊解析法・建築都市環境学科・山田丈富教授)

環境配慮型新材料
本保研究室が出展


イノベーション・ジャパン
 国内大学の研究成果と産業界が出合って、新たな価値を生み出そうと「イノベーション・ジャパン2013―大学見本市&ビジネスマッチング―」(科学技術振興機構など主催)が8月29、30日の2日間、江東区・東京ビッグサイトの東京国際展示場で開かれた。
 本学からは、平成22年度から24年度にかけて「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」として行われた「環境配慮型高機能材料の開発」の研究成果を出展=写真。本保教授と大学院工学研究科博士課程1年の城谷友保さん、田中一平さんが対応にあたり、従来技術に比べ新規な点や優位性、事業化や産業形成の可能性について説明した。