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2011.12.15

長瀬教授に「1906賞」


国際電気標準会議が授与
長瀬亮教授
 機械サイエンス学科の長瀬亮教授がIEC(国際電気標準会議)の「1906賞」を受賞した。この賞はIEC設立(1906年)100周年を記念して創設されたもので毎年、各技術委員会の中から5人を限度に大きな貢献のあった個人を表彰する。
 IEC(The International Electrotechnical Commission=本部・スイスのジュネーブ)は電気・電子技術及び関連技術に関する国際規格を開発し、発行する国際機関で、担当範囲は電子や電磁気、電気音響、マルチメディア、通信、発電・送配電、それらに関連する用語や記号、電磁両立性、測定や性能、信頼性、設計及び開発、安全や環境など多分野に及ぶ。
 長瀬教授は前職NTT研究所時代の1985年から、光コネクタの研究開発に携わり、2001年からはIEC光ファイバ技術委のエキスパートとして国際標準化活動に尽くしてきた。特に直径1・25ミリの細径ジルコニアフェルール(接続部品の1種)を用いた小型光コネクタ接続技術と標準化開発に貢献、その成果は近年広く普及した。
 IECは「長瀬教授は日本チームのキーパーソンであり、多くのIEC規格の開発に貢献した」と授賞理由を述べ「細径ジルコニアフェルールの技術は、次世代光ネットワークで用いられる小型光接続デバイスを実現する最も重要な構成要素になっている」と賞賛している。 
 長瀬教授は「教育に直接貢献できない標準化活動に時間を割くことは大変厳しいものがありますが、我が国の産業の発展に寄与することも工科系大学の責務の1つと考え、引き続き活動を続けます。ご協力いただいた皆様に深く感謝します」とコメントを寄せた。
 表彰式は10月17日、東京都千代田区平河町の都市センターホテルで、経済産業省の工業標準化表彰式と併せて行われた。

5氏を教育業績表彰


学部教育シンポ・口頭発表
杉山和成助教 石原健也准教授 相川文弘教授
杉山和成助教 石原健也准教授 相川文弘教授
渡邉努助教 東山幸司助教
渡邉努助教 東山幸司助教
 第3回学部教育シンポジウム(教育業績表彰委員会〈委員長=梅村茂・機械サイエンス学科教授〉とFD委員会〈委員長・菅原昌彦・教育センター教授〉共催)の第2部・口頭発表は11月19日、津田沼新1号棟大教室で行われた。
 シンポジウムは、学内で実践される教育について、教員が互いに学び合って、質を高めようと2009年から開いている。
 第1部(9月14日)のポスター講演47件から選出された16件がこの日、1件15分ずつ口頭発表され、次の5氏の発表内容が優れているとして教育業績表彰の対象に選ばれた。
 ▽相川文弘・教育センター(物理教室)教授=リアクション・ペーパーの活用▽石原健也・建築都市環境学科准教授=実践教育としての震災復興支援プロジェクト▽杉山和成・教育センター(数学教室)助教=「FDノート」を利用した教授法の改善について▽東山幸司・同(物理教室)助教=学生を飽きさせない講義を目指して▽渡邉努・同助教=物理の授業構成についての現状と課題
 表彰は11月24日、新2号棟20階展望ラウンジで教職員懇親会の席上、紹介と併せて行われ、5氏に本岡誠一学長から表彰状と副賞(教育研究費目録)が手渡された。

赤羽教授が基調講演


交通安全 全国サミットで
  建築都市環境学科の赤羽弘和教授が10月28日、東京・品川ガーデンシティで開かれた交通安全の全国サミット「グッドストリーム・サミット」に招かれ、「進化する交通安全」と題して基調講演した。
 「東京スマートドライバー」プロジェクトが主催。映画「おくりびと」の脚本で知られる放送作家・小山薫堂(くんどう)さんを発起人に交通安全運動を展開している組織で賛同116社・団体。一般賛同者が9月に5万人を超えたとして記念にサミットが企画された。
 赤羽教授は基調講演で、首都高速道路や千葉県鎌ケ谷市での交通安全に向けた取り組みを紹介した。教授は1991年と2011年に国際交通安全学会賞の論文賞を受賞。ITS(インテリジェント交通システム)や社会インフラを専門に研究しており、交通工学研究会の理事を務めている。
 サミットでは、小山さんや道路会社、自動車メーカーの社員、全国のスマートドライバー代表が地域や業界の垣根を超えて、事故を減らすアイデアなどを話し合った。

習志野市長が期待感


産官学フォーラム開く
第1回産官学連携フォーラム
 2011年度第1回産官学連携フォーラム(運営委員会委員長=坂本幸弘・機械サイエンス学科教授)が11月26日午後、津田沼校舎で開かれた。産業界・地域社会と情報交換し、時代のニーズに応えるため本学産官学融合センターと技術・情報振興会が2005年から続けており、今年で7年目。
 地元産業は円高など厳しい状況に揺れているが、今回は冒頭、宮本泰介・習志野市長自らが顔を見せてあいさつ、産業界振興にかける期待感の強さをうかがわせた。
 この後、根本企画工業株式会社の山田正明・技術開発部次長が「小口径非開削掘進工法の応用と管曲がり測定装置の開発」と題し事例発表した。
 本学からは▽「水と油を安定混合するナノテクノロジー」=矢沢勇樹・生命環境科学科准教授▽「惑星探査研究センター(PERC)が目指すもの」=千秋博紀・PERC上席研究員▽「環境配慮型高機能材料の開発」(私立大学戦略的研究基盤形成支援事業)=本保元次郎・機械サイエンス学科教授――の3研究が紹介された。

出版


太陽系の最新事実
松井孝典所長
松井孝典所長
 我々の太陽系はどのように生まれたのか、地球以外の惑星はそれぞれどんな環境か、生命の存在は?――さまざまな探査機が、疑問解明のため送り込まれてきた。その成果をまとめた技術評論社「知りたいサイエンスシリーズ」の1冊。
 PERCの松井所長は、東京大、NASA、マサチューセッツ工科大、ドイツのマックスプランク化学研究所などを巡ってきた我が国惑星科学の第一人者だ。
 第1章「月探査」に始まり、以下▽火星▽木星▽土星▽水星▽金星▽天王星・海王星▽太陽系小天体――の8章構成。各探査機について、科学的成果の重要度、費用対効果から筆者独自に4段階で評価している。
 その時々の最先端技術を集めた各国探査機が投入され、各天体の組成や大気、重力や磁場の偏りなどが次第に明らかになってくる。そこから誕生の仕方が推定され、さらに最近分かった事実や未解明部分も明かされる。
 土星の衛星タイタンでは水やメタンが存在し、生命の予感が語られる。金星では、炭酸ガスに包まれて地表が摂氏500度近くまで熱せられ、温室効果の"教科書"となった経緯が説明される。
 小天体イトカワから微粒子を持ち帰った日本の探査機「はやぶさ」についてはもちろん、時折、地球に近づくハレーやヘール・ボップといった彗星についても知ることができる。
探査機でここまでわかった太陽系
探査機でここまでわかった太陽系
著者= 松井孝典・千葉工大惑星探査研究センター(PERC)所長
発行= 技術評論社
価格= 1659円(税込)