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2011.11.15

ビジネスコンテスト
「非接触型尿検知器」がグランプリ
未ロボ「aba」の2人


学生ベンチャー企業設立
左から富山教授、宇井さん、大矢君
左から富山教授、宇井さん、大矢君
 未来ロボティクス学科の学生たちが、介護現場を支援するために考案した「マットレスに組み込んだ非接触型尿検知器」(本紙3月号で既報)が10月、「学生ビジネスコンテスト in CHIBA」でグランプリ(副賞賞金30万円)を獲得した。検知器は特許出願中で、学生ベンチャーとしてビジネスプランの実現へ、大きく一歩を踏み出した。
 コンテストは千葉市が(財)千葉市産業振興財団の設立10周年を記念し主催した第10回「ベンチャー・カップCHIBA」の学生部門。
 学生は4年・宇井吉美さんと同・大矢将登君の2人。富山健教授の指導のもと「awakened bunch activity=未来を創造する者達」略称aba(アバ)プロジェクトを立ち上げ、開発に取り組んできた。
 介護現場は人手不足で、寝たきり高齢者のおむつ交換は大変だ。交換時を知るため現在使われている排泄通報機器は、おむつに尿取りパッドやチューブをじかに装着するため、お年寄りが違和感を感じ、使い捨てで経費もかかるので、施設側の負担となっていた。
 abaは介護実習の体験から尿検知器を発想。においセンサで排泄を感知する機器を、ベッドのマットレスパッドに組み込む方式を考案した。これなら肌接触がなく、設置したら交換の必要もないので経費減につながる。
 この成果を「介護の未来を作る 非接触型尿検知器」―製造販売ビジネスプランとしてコンテストに応募した。応募作22組中、1次審査通過の5組が10月7日、2次審査(プレゼンテーションと質疑応答)にかけられた。
 プレゼンテーションで宇井さんは▽開発動機▽abaが目指す介護現場▽他社製品との比較▽製品コンセプト▽期待される効果、売り上げ――を、現場統計や試算をもとに説明。3e(easy=敷くだけで設置完了、exact=排泄時を正確に検知、enjoy=介護者には効率的、高齢者には快適)の長所を訴えた。最後にその場で、学生ベンチャーとして「株式会社aba」(宇井吉美代表取締役)設立を宣言、告示した。審査の結果、見事abaの優勝が決まった。
 abaは今月16日(日)、三井ガーデンホテル千葉で開かれる「ベンチャー・カップCHIBA」で、学生代表として業界関係者ら聴衆を前にプレゼンテーションし、資金援助や取引先を獲得する機会を与えられる。その後、表彰式が行われる。
 さらに優勝特典として、千葉市ビジネス支援センター内の企業家育成ブースの1年間利用権が与えられる。千葉市で1年以内に起業すれば、副賞30万円とは別に資金30万円が提供されるほか、現役経営者や専門家の経営相談などのサポートを受けることができる。
 宇井さんは「目指すのは研究、開発を中心においた企業です。研究者、開発者が自由に活動できる環境を、どん欲に突き詰めていきたい」と語っている。

鶴岡さん(建都院生)にレモン賞
審査委員長賞も


“川の町”提案
研究室で鶴岡さん
研究室で鶴岡さん
 建築・都市・環境設計にかかわる全国の学生たちが卒業制作を比べ合う第34回レモン展(学生設計優秀作品展=同展組織委員会・レモン画翠主催)で、建築都市環境学専攻修士1年、鶴岡桂輔さん(遠藤政樹准教授研究室)の作品がレモン賞10作の1つに選ばれた。さらに審査委員長賞である高橋一(ていいち)賞を、京都大建築学科学生とともに受賞した。
 鶴岡さんの作品名は「採風建築―川と3つの建築と町―」。千葉県市原市牛久をモデル地として、図書館・保育園・食事処を設計した。
 主なテーマは「川と人の共存」。住民の生活に不足している行為は、と考えて、気づいたのが、地域を流れる養老川と生活との関係だった。川との関係が希薄化した町に、現代ならではの関係性を復活できないか。気象や地形など牛久の特性を生かした設計で考えたい……。
 牛久の夏は暑いので、川風を利用して、建物群は夏は風を取り入れ、冬は受け流すように。また、景観を生かし地面の勾配をそのまま使った屋根を、と苦心したという。
 構想に6カ月、制作は1カ月で完成した。A1用紙12枚の解説と、スチレンボードや段ボール、アクリルなどを使った模型3点の作品となった。
 レモン展は5月3〜6日、東京・お茶ノ水の明治大学駿河台校舎アカデミーコモンの特設会場で開かれ、各大学・専門学校から推薦された卒業制作77点、大学院修士らの設計15点が並んだ。
 3日に、出展者によるポスターセッション後、講評会で高橋審査委員長(大阪芸大名誉教授、第一工房代表、日本建築学会員)、自然に溶け込む作品で著名な英国建築家・トム・ヘネガン氏(東京藝大教授)ら第一線の建築家、デザイナーらが審査の結果、鶴岡さんの受賞が決まった。高橋委員長からは「すごく透明で、きれいな提案」と讃えられたという。
 鶴岡さんは「受賞できるなんて夢にも思いませんでした。全国から優秀作が集まる中での受賞は、本当にうれしい」と話している。
 レモン画翠は設計・デザイン・絵画材料の専門店で、レモン展を企画し支援。展覧会は毎年5月に開かれ、参加全作品はフルカラーの作品集として刊行、記録される。
 今年はゴールデンウイーク期間中にあたり、先生と勉強に訪れたゼミ学生たちや、企業関係者、一般の人々でにぎわった。

照明学会全国大会で
優秀ポスター発表賞


池田さん(建都2年)
賞状を手に池田さん
賞状を手に池田さん
 学校照明の省エネについて建築都市環境学専攻修士2年、池田翔平さん(望月悦子准教授研究室)が、社団法人照明学会の平成23年度全国大会(9月15〜17日・愛媛大学城北キャンパス)で報告し、優秀ポスター発表者賞に輝いた。
 発表タイトルは「S区立小学校における建物改修と環境教育実施効果」。
 学校建築での省エネ策は、文部科学省が中心となってエコスクール・パイロットモデル事業を1997(平成9)年から実施している。だが、エコスクールで逆にエネルギー消費量が増加しているとの報告もある。
 池田さんは、東京都S区の既存小学校で、環境(主に照明)に配慮した建物改修・改築と、生徒への環境学習によって、電力消費量をどれだけ削減できたかについて調査した。その結果、建物の改修や、設備の運用方法の違いによって、一部の小学校で電力消費量の削減が確認できた。
 池田さんはこれをA0サイズのポスターにまとめてプレゼンテーションした。見学者に近い距離で説明するので、見た目で興味を引くことができるよう工夫したという。
 池田さんは「前年度も参加しましたが、他の参加者の研究内容に感嘆するばかりでした。今年度も、他の発表に圧倒され、私は準備してきたものを披露することで精いっぱい。賞をいただけるとは考えていませんでした」と喜んでいる。

fuRo発オリジナルロボット工作キット


一般販売を開始
オリジナル電子工作キット「f・palette(エフ・パレット)」
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)発のオリジナル電子工作キット「f・palette(エフ・パレット)」=写真=の一般販売が、10月7日開始された。
 f・paletteは、もともとfuRoが未来ロボティクス学科1年の「体験演習」のために開発したオリジナルキット。CPUボード信号感知用I/O(入出力)ボードモーターに指令を出すドライバボード――の3つで頭脳部分を構成。これに手足や目、口となるDCモーター4個、角度を指定して動かすサーボモーター4個スピーカー1個距離や明るさを検出するセンサ4個文字や数字を表示するLCD1個――などをつなぐ。
 初心者でも簡単に、発想次第で各種用途のオリジナルロボットが作れ、研究レベルの使用にも耐える。今後、拡張ボードを増やしていく予定。
 価格は税込み9975円。年間500セットを、と販売開始したところ、早くも多数の問い合わせが来る人気ぶりという。
 本学の学生は購買で買えるが、スイッチサイエンス、東京エレクトロンデバイス、テクノロジアなどの販売代理店でも購入できる。