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2011.2.15

沼さん(情報科学専攻)に最優秀賞


HASCチャレンジ2010
センサで歩行者ナビ補正
最優秀賞に選出された沼杏子さん。右は屋代智之教授
最優秀賞に選出された沼杏子さん。右は屋代智之教授
 人間行動のセンシングを通じて行動を認識、理解し将来のデバイス開発とサービス提供につなげたいと、搭載型センサによる大規模なデータベースの構築に産学共同で取り組んでいる団体HASC(人間行動センシングコンソーシアム  Human Activity Sensing Consortium)。そのHASCが昨年12月8日、名古屋大でChallenge2010(実行委員長・河口信夫名古屋大教授)と題して開いたイベントで、大学院情報科学専攻修士1年、沼杏子さんが最優秀賞に選出された。
 パターン認識研究ではすでに実用化されている「音声」「画像」認識に比べ「行動」認識は後れをとっている。
 理由はそれだけ人間行動が複雑かつ多様だからだが、必須の行動認識アルゴリズムを確立するため、まず膨大な学習データ収集と認識技術の向上が不可欠としてChallenge2010が企画、開催された。
 沼さんは日ごろから、加速度センサが搭載されたiPodを用いて歩行者ナビゲーションの位置を補正する研究を行っている。
 たとえば屋内や高層ビルなど電波障害によりGPSで現在位置を確認できないとき、加速度センサを使って歩行者自身の行動コンテキスト(歩行、走行、階段上り、階段下り、スキップなど)を推定、ずれてしまった位置を補正するというもの。
 Challenge2010では、参加24チームのメンバーが、それぞれ事前に数人分の行動データを取って提出、全部で約100人分のデータになった。それらのデータがそれぞれどの行動状態を指し示しているかを推定した結果、沼さんの行動認識率が一番だった。
 沼さんは「自分のデータ集めのとき、端末操作があるので被験者と一緒に行動したが、階段はつらかった。また100人分のデータ分析も大変でした」と苦労を語った。

板倉さん、矢野君が佳作


ユニークな構想に高評価
長谷工住まいのデザインコンペ
「これからの活動に勢いがつきます」と、喜びを語る板倉周平さん(左)と矢野健太君。
「これからの活動に勢いがつきます」と、喜びを語る板倉周平さんと矢野健太君。
 第4回長谷工住まいのデザインコンペティション(審査委員長・隈研吾東大教授)の授賞式が昨年12月12日、東京千代田区丸の内の東京国際フォーラムで行われ、大学院建築都市環境学専攻修士1年、板倉周平さんと建築都市環境学科4年、矢野健太君(共に遠藤政樹研究室)の作品が佳作に入選した。
 今回の課題は「10の違うものが集まる100戸の集合住宅」。応募は学生に限られた。
 コンペの趣旨は「環境問題も建築の重要な要素になり、持続可能な建築が必要であるとされる。そのための技術も進化している。建築の持続可能性が実現されると、暮らしはどのようになるか。いろいろなものが混じり合いながら、周囲や環境と関係を持つ、公共性がある、地域に密着している、さらに使い勝手の良さなどが考えるヒントになる。10の違うものが集まる集合住宅は、多様な他者を受け入れ、関係をつくり出すことで社会問題も引き受け、将来の変化もふまえた生活につながる」というもの。
 2人は「下に伸びるケンチク」というタイトルで、巨大な天井からいろいろな部屋がぶら下がるような形を描き出し、さまざまな時間にそれぞれの場所を発見できる、街のような集合住宅を提案した。
 選考では、地面ごとひっくり返したみたいな単純明快なアイデアのもと、木もれ日の取り込みと空間の専有と共有の差から生じる公共空間をうまく演出していると評価された。
 板倉さんらは「何百もの作品を審査員が見て判断する時間は3秒ほど。その一瞬で目に留まるよう、インパクトのあるビジュアルにしました。隈審査委員長はじめ長谷工の役員からも言葉を頂き活動に勢いが付きます」と喜びを語っている。
佳作に入選した作品
佳作に入選した作品

小沼・中野共同作品が佳作に


「夫婦のための超ミニハウス」
早大建築学科100周年記念国際設計コンペ
コンペの「ファイナリストに残ったことは、これからの励みになる」と語る小沼慶典さん(右)と中野友貴さん。
コンペの「ファイナリストに残ったことは、これからの励みになる」と語る小沼慶典さんと中野友貴さん。
 早稲田大学建築学科創設100周年記念国際設計競技(稲門建築会主催)の公開審査が昨年11月6日、東京都新宿区の早大理工学部大久保キャンパスであり、大学院建築都市環境学専攻修士2年、小沼慶典さんと同1年、中野友貴さん(共に遠藤政樹研究室)の共同作品が佳作に選ばれた。
 このオープンコンペのタイトルは、「SUPERMINI―HOUSE」。課題は新婚の若い夫婦のための床面積最大15平方メートルの住宅設計。つまり地球環境負荷が少なく、ゲスト2人が宿泊できる未来型住宅のアイデアを競った。
 2人は細長く狭い敷地でリビング、キッチン、ダイニング、寝室などの各部屋をスライドさせることで、中庭的外部空間を部屋間に取り入れるという、いわば戸建てが分棟に自由に変わる作品「Sliding House」を提案した。
 小沼さんは「ハーバード大学、ロンドン大学バートレット校、慶応義塾大学などがコンペのファイナリストに残り、そこに入り込めたことはこれからの励みになる」と感想を語った。
 小沼さんは昨年8月、東京・新宿で開かれた全日本学生建築コンソーシアム2010住宅設計コンペ(テーマ「住まいの原点を再考する」)でも「カベは裸にされハシラは自由になる」という作品で入賞している。
佳作に選ばれた共同作品
佳作に選ばれた共同作品

未来ロボ学生ら8人
エコプロダクツ出展


アルミ缶リサイクルをジオラマで
 日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2010」が昨年12月9日から3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれ、未来ロボティクス学科を中心に本学学生8人が、アルミ缶リサイクル協会と協力して出展プロジェクトに参加した。
 このイベントは産業環境管理協会と日経新聞社が主催、次世代へつながる持続可能な社会の形成を加速するため年1回開催されており、今回が12回目。
 出展ではアルミ缶リサイクルの流れを分かりやすく派手に展示して、社会科見学などで訪れる小中学生や親子連れに3R(リデュース、リユース、リサイクル)の環境学習を楽しく理解してもらえるよう企画が進められた。
 このため、ブースにアルミ缶の姿形をした住民が暮らす街並みをジオラマで作り、周辺に漂う空き缶を来場の子供たちがアルミ缶型のかわいいロボットを操作して回収するというゲーム要素を取り入れた。
 その面白効果で会期中は約3500人がブースを訪れるにぎわい。メンバーたちは応対に追われっ放しだった。
 参加した一瀬大地君(未来ロボティクス学科2年)は「プランニング、デザイン、設計、プログラミング、造形といった役割をメンバー各自の得意分野を発揮して製作できたのがよかった。今回は長時間の稼働に耐えられるものを作ることの必要性を学びました」と感想を述べていた。
 なお、プロジェクトには青山学院大学、東京理科大学、八王子桑志高校からも各学生1人が参加した。
約3500人が訪れるにぎわいをみせた会場の様子と作品 約3500人が訪れるにぎわいをみせた会場の様子と作品
約3500人が訪れるにぎわいをみせた会場の様子と作品