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2009.9.15

生体内使用可能の抗菌剤作製


松本さんに「最優秀講演賞」
日本セラミックス協会関東支部
「最優秀講演賞」の松本さん(左)
「最優秀講演賞」の松本さん(左)
 生体(人間の体)内に新型インフルエンザなどウイルス・細菌が原因とされる病気や、歯のインプラント材、人工関節などが移入された場合、感染症になる危険がある。それを予防・解決するために生体内外で使用できる抗菌剤が必要だ。本学大学院博士後期3年の松本尚之さん(生体機能材料化学=戸田善朝・橋本和明研究室)は、7月に群馬県みなかみ町で開かれた第25回日本セラミックス協会関東支部研究発表会で、抗菌剤作製に関して「最優秀講演賞」を受賞した。
 発表のタイトルは「銀および二価抗菌性金属イオン同時固溶β型リン酸三カルシウムの作製と抗菌性評価」で、松本さんらのグループはインプラントなど生体材料が生体内に移入後の感染症予防・解決のために、高い抗菌性とそれを長時間持続させる抗菌剤作りを目指してきた。
 松本さんが注目したのは、以上の性質を備えた抗菌性金属イオンと骨補填材として臨床応用されているβ型リン酸三カルシウム(βーTCP)。これまでに松本さんらは金属イオンが簡単にβーTCP構造中のカルシウムイオンと置換固溶することを明らかにしてきたが、細胞毒性の問題や抗菌持続性の懸案が残っていた。
 そこで、銀イオンとともに二価金属抗菌性イオンである亜鉛および銅イオンを同時にβーTCPに固溶させた。
 結果は銀単独の場合より抗菌性が向上し、かつ光触媒能も出現した。さらに細胞毒性を示す銀イオンの溶出も、二価金属イオンの同時固溶によって制御できるため、生体内で使用できることを示した。

白田君が二席入選


ヒューマノイドロボを製作 マグネシウムデザインコンテスト
二席入選した白田君
二席入選した白田君
 6月11日に東京・両国の江戸東京博物館で開かれた社団法人・日本マグネシウム協会主催「第18回学生マグネシウムデザインコンテスト」で、本学未来ロボティクス学科3年、白田竜二君が、ヒューマノイドロボットを出品し二席に入選した。
 このコンテストは、同協会が毎年行っているもので、ジャンルを特定せずにマグネシウムを材料とした作品を募集し、デザインや機能を競う。
 白田君は本学の文化会総合工学研究会に所属しており、ロボットの軽量化と高い剛性による動作性向上を目指し、研究会の仲間と一緒にマグネシウム材料を使って設計・製作に取り組んできた。ロボットを製作する場合、軽量かつ高強度のフレームが必要になり、また関節の間隔が大きくなるとモーメントも増加する。そのためアルミニウムより強度があり、切削加工しやすいマグネシウム合金を採用、ヒューマノイドロボットを作り上げた。
 会場では、自らロボットを操作して「マグネロボ」の軽快な動作を披露し見学者の注目を「独り占め」した。今年度は一席に該当する作品がなく、白田君が最高賞ということになる。同協会の相良達一郎会長から表彰状が授与された。

「MPEG」で積極的活動


八島教授「標準化貢献賞」を受賞 情報処理学会
「標準化貢献賞」の八島教授
「標準化貢献賞」の八島教授
 新しい映像処理技術の研究に取り組んでいる本学情報ネットワーク学科の八島由幸教授が、社団法人・情報処理学会情報規格調査会の平成21年度「標準化貢献賞」を受賞した。
 同調査会は、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)などの情報技術に関する国際規格の審議や調査研究を行い、情報処理および電子計算機の標準化に寄与することを目的としている団体で、平成7年度から標準化貢献賞などの表彰制度を設けて表彰している。
 八島教授の受賞事由は「MPEG国際標準化活動に関する貢献」。膨大な情報量を持つビデオやオーディオなどのデータ圧縮規格を標準化する国際的な組織「MPEG」(Moving Picture Experts Group)において、日本の立場を踏まえた積極的な活動が評価され、7月13日、東京都港区の機械振興会館で表彰された。
 今回の受賞について八島教授は「MPEGはデジタルテレビ放送、携帯向けワンセグ放送、DVDなど私たちの身近なところで使われています。その国際標準化活動に日本としての立場をしっかり主張していくために、国・産業界・大学が連携して取り組んでいくことが非常に大切です。研究室においても、高速ネットワークと高性能コンピュータを駆使して、MPEGに続く次の新しい映像技術に取り組んでいきたい」とコメントしている。
支援会議構成員に松井所長を選出

最先端研究開発支援プログラム
松井所長
松井所長
 3〜5年間で世界をリードし、世界のトップを目指す最先端の研究に対し、総額2700億円の基金が充てられるというダイナミックさで評判になった「最先端研究開発支援プログラム」。対象は30件ほど、1件当たり30億〜150億円程度が助成されるが、プログラムの基本方針、中心となる研究者・研究課題の選定などについて審議・検討するのが「最先端研究開発支援会議」で、座長は総理大臣が務める。その構成員に、本学惑星探査研究センターの松井孝典所長が選ばれた。
 会議の座長代理は科学技術政策担当大臣で、松井所長のほか、相澤益男総合科学技術会議議員、榊原定征東レ社長、佐々木毅学習院大教授、白井克彦早稲田大総長、渡辺捷昭トヨタ自動車社長ら10人が構成員を務める。
 6月末に開かれた初会議で麻生太郎首相(当時)は「これまでのしがらみにとらわれず、代表的な研究者、研究課題を選んでほしい」と述べ、そのあと公募・選定方針が決まった。
 実際の選定作業に当たるワーキングチームも発足、日本学術会議などからヒアリングを行い、60件程度を選定、その後、支援会議が対象を絞り込んだ。プログラムは今年度実施される。
「フューロワークス」10月設立 学内ベンチャー第2弾

古田所長が社長に就任
古田所長
古田所長
 千葉工業大学は株式会社「移動ロボット研究所」に次ぐ2社目の学内発ベンチャー企業「フューロワークス」を10月に設立する。
 自動車技術とロボット技術を融合した「ハルクII」をはじめとする多種多様なロボットの企画・研究・販売が目的。国家プロジェクトで、本学未来ロボット技術研究センター(fuRo)や企業が共同開発したロボット用デバイスの改良・製造・販売も行い、産官学が連携し開発した成果物を広く一般に普及させることも目的としている。
 また、ロボット全般に関するコンサルティング業務も行う。そのほか、技術者を養成するためのロボット製作セミナーの開催などロボットに関する事業を幅広く展開する。
 本社は津田沼校舎8号館5階に置き、代表取締役社長にfuRoの古田貴之所長が就任。他の創業メンバーはfuRoの友納正裕副所長や研究員8人となっている。