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2009.5.15

人にやさしい医療機器「Patch」


デザインコンペで青木さん(デザイン科学専攻)に審査委員賞
青木さんの作品「Patch」
青木さんの作品「Patch」
 本学大学院工学研究科デザイン科学専攻(山和彦研究室)の青木孝太朗さんが、このほど「NEXT COOL JAPANコンペティション」で審査委員賞を獲得した。
 今、デジタル機器や家電製品がネットワーク化され、どこでもいつでもさまざまな情報を入手、発信できる。その中で、自在に持ち運びできるモバイル・プレーヤーが注目されている。今回のコンペは、使い方や使うシーンを応募者が設定し、次世代のモバイル・プレーヤーをデザインするという狙いで行われた。
 青木さんの作品は「patch」と名付けられた「人にやさしい医療機器」。「ふれあい」をコンセプトに、子供が怖がらずに診察に応じられるモバイル機器を作り上げた。
 端末は、指輪型と、カルテの役割をするロケット型の2つ。診察のときナースが指輪をはめて手のひらを肌にあてる。体温を測るときはオデコ、心拍数を計るときは胸に手をあてる。データはロケットに送られ、他のナースや医師と情報交換する。
 青木さんは「設定したシーンは病院の中。patchは子供との肌のふれあいを通して、楽しく診察できる機器。人と機械との関わりで新しい価値を創造できたとすればうれしい」と語っている。
 審査委員は「高度な技術を使う診断も大事だが、身近な予備医療も重要だ。青木さんのアイデアは、子供だけでなくお年寄りや言葉の通じない人などへの広がりも持つ。人に優しい医療の世界につながるものだ」と評価している。
 なお、今回のコンペでは、プロのデザイナーを含めた多数の応募の中から入賞は金賞を含め5点だけだった。
青木さん
青木さん

南元教授が名誉教授に


本学の発展に多大な功績
南名誉教授
南名誉教授
 長年にわたって教鞭をとられ、本学における学術の向上に寄与された元機械工学科教授の南和一郎氏が、4月27日付けで千葉工業大学名誉教授の称号を授与された。
 南氏は、昭和38年に助手として本学に就任。平成元年4月に教授となる。長期間にわたり、教育・研究に尽力され、学生に対する教育ならびに研究指導に熱心に取り組んだ。また、機械工学科主任、クラフトハウス運営委員会委員長、技術・情報センター運営委員会委員長をはじめとして多くの役職を歴任し、千葉工業大学の発展に多くの功績を残した。

本学学生のデザインを商品化


川崎市が企業と協力、PRへ
E−CHACO BAG HANABIRA SOAP
E−CHACO BAG HANABIRA SOAP
 川崎市はこの3月、本学の学生らのデザインを市内の中小企業によって商品化した。これらの商品を「かわさきのデザインギフト」として、川崎の魅力と技術力のPRのために使うという。
 川崎市は、「ものづくり」で日本の成長を支えてきた同市の技術力をPRするため、2007年に「かわさきギフトコレクションコンペ」を開催し、デザイン作品を市内外から公募した。
 本学からは、デザイン科学科の4年生(当時)3人が受賞した。パッケージ部門で加藤晃君が部門賞、鈴木亜弥さん(現在、大学院在学中)が審査委員長特別賞、さらにギフト部門で金子のぞ美さん(同)が審査委員特別賞を得た。
 今回商品化されたのはその時の入賞18点のうち6点。鈴木さんの作品は「E−CHACO BAG」の名でエコバッグとなった。「いい=E」「ECOLOGY」「ECONOMY]をキーワードに、KAWASAKIの8文字を、スポーツ、芸術、自然などを象徴するロゴとしてバッグ表面にあしらっている。
 金子さんの作品は「HANABIRA SOAP」という商品名で、薄い花びらを一枚一枚取りながら使えるギフト用石けんになった。モチーフのツバキは川崎市の「市の木」。インテリアと実用性を兼ねたギフトとして売り出される。
 今回の商品化について、鈴木さんは「自分のデザインしたロゴ(柄)が賞を取り、そして商品化するなんて思ってもいませんでした。話し合いや検討を繰り返して出来たバックなので、少しでも多くの人に使っていただきたいと思います。自分のデザインしたものが販売されることになって、とても嬉しいです。このバックで川崎市をアピールしてほしいです」と語り、また金子さんも「去年の春から約1年間、商品化に向けて企業さんと何度も打ち合わせを重ね、より良いものに仕上げるために頑張ってきました。自分の考えたものが現実に商品化になり、出来上がっていく過程を見て、とても嬉しく思いました。学生生活では味わえない貴重な体験ができたと思います」と話していた。
鈴木さん(左)と金子さん
鈴木さん(左)と金子さん
米田教授に文部科学大臣表彰

ロボット教育の手法を評価
文部科学大臣表彰の米田教授
文部科学大臣表彰の米田教授
 本学工学部未来ロボティクス学科の米田完教授が、平成21年度「科学技術分野の文部科学大臣表彰」を受賞した。
 この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進などで顕著な成果を収めた人の業績を讃え、日本の科学技術水準の向上に寄与するために設けられたもの。4月14日に表彰式が行われた。
 米田教授の表彰は、5部門ある「科学技術賞」の中の理解増進部門20件の一つで、青少年はじめ国民の科学技術理解に寄与した人が対象。坪内孝司・筑波大教授、大隈久・中央大教授との連名で受賞した。
 米田教授らは、ロボット創造設計の教科書3冊を執筆し、高校生、大学生、専門学校生らにロボットの面白さを伝えることによって、遊びから工学の勉強への橋渡しを行った。
 以前は別々に扱われていた「工学理論」と「設計・製作の実践知識」とを関連付けて解説した教科書は、各地の学校で採用され、座学講義用だけでなく、競技会など実践に役立つ参考書として評価されている。
 米田教授は、「ロボット教育も、私たちの教科書のようにまず楽しさを伝え、勉強の必要性を認識させ、自分でロボットを作りながら技術を学んでいくという方針でやっていきたい。今回の表彰はその手法が全国的に認められたということだと思うので、たいへんうれしい」と語っている。
 同教授らの教科書は、「はじめてのロボット創造設計」、「これならできるロボット創造設計」、「ここが知りたいロボット創造設計」の3冊。「はじめての・・・」では、「車輪型移動」、「腕型」、「歩行」各ロボットの創造設計の解説と「ロボット工学百科」から成っている。
 3冊を通読すれば、ロボットの全てについて、おおむね理解し、実践製作に結びつくよう、工夫されている。