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2009.4.15

平成21年度入学式
本岡 誠一学長式辞


「基礎学力の養成」を第一に
期待と不安を胸に入学式に臨む新入生
  期待と不安を胸に入学式に臨む新入生
 新入生諸君、ご入学おめでとう。
 会場にご臨席のご父母の皆さま、ご子弟のご入学おめでとうございます。衷心よりお祝い申し上げます。
 美しい桜の花も開花した本日、工学部機械サイエンス学科、電気電子情報工学科、生命環境科学科、建築都市環境学科、デザイン科学科と未来ロボティクス学科、6学科合計1732名、情報科学部情報工学科、情報ネットワーク学科、2学科合計343名、社会システム科学部経営情報科学科、プロジェクトマネジメント学科と、今年度新設致しました金融・経営リスク科学科、3学科合計327名、また、大学院修士課程工学研究科、情報科学研究科、社会システム科学研究科、3研究科合計271名、博士後期課程も同じく3研究科合計10名、合わせて総数2683名の新入生諸君を迎えて入学式を挙行する運びとなりました。
 千葉工業大学教職員一同、このように大勢の新入生諸君を迎えて入学式を挙行できますことは、この上ない喜びとするところでございます。
 新入生諸君は本日から千葉工業大学という共通の学びの場での生活が始まります。諸君にとって少なくとも4年間、生活の場の中心となる千葉工業大学に1日も早くなじみ、目的意識を持って勉学に励んでください。
 ところで、諸君が生まれ育ってきた1990年以降の約20年間は、われわれ人類の歴史の中でも特に急激な変化が起こり、なお激しく変化し続けています。
グローバル化で 人間力問われる
 約600万年前に地球上に誕生したと言われている人類の進歩は、やっと1万年前になって農業革命が起こるというように、実にゆっくりとしたものでしたが、約250年前の産業革命以来の飛躍的な科学技術の進歩発展とともに、われわれの生活環境の変化は目まぐるしく、年単位、月単位の変化となっております。
 そして、21世紀に入って、世界単一市場経済が実現し、国家間の壁が極めて低くなり、人、物、金、情報が自由に流通するようになりました。IT革命によって、情報は地球上を一瞬のうちに駆け巡ります。昨年来のアメリカ発の経済不況はたちまち世界中を緊張させています。このような時代に生きる私たちは、国内だけを見ていたのでは生きていけなくなっております。大学も諸君も例外ではありません。端的に言うと、このグローバル化によって、従来の学力に代表されるような測定可能な近代型能力、すなわち知識よりもコミュニケーション能力や意欲など、一般教養と基礎学力に裏打ちされた人間力、対人能力、創造性と言われるような、いわゆるポスト近代型能力がより重要視され、求められるようになってきております。価値観も文化も異なる多民族間での交流、交易や競争に軸足が移ったことの当然の帰結と言えるでしょう。
 千葉工業大学では、このように変化の激しい現代社会に、諸君が積極的にかかわり、高度技術者として生きていくために必要な基礎力、創造力が養えるように、きめ細かなプログラムを準備しております。すなわち、私たち千葉工業大学は、先人の英知に謙虚に学び、本学の原点である建学の精神、「師弟同行」「自学自律」ということを前面に掲げて、教職員と学生が教育、研究活動などの場を通してお互いに学び合い、切磋琢磨することによって、「科学技術の厳しい変化に対応できるしっかりした基礎学力を持つ学生の育成」という教育目標の実現を目指したカリキュラムを作成し、実践しております。
 新入生諸君の中には、高等学校までの教育課程の多様化や大学入学試験の多様化のために、基礎力が必ずしも十分でない諸君もいるかもしれません。このような入学生諸君のために、基礎科目を十分理解して、次に進めるためのカリキュラムを編成し実施しております。諸君は、プレ科目、学習支援センターなどのプログラムに積極的に参加し、基礎学力を養ってください。
 また、千葉工業大学では、全教員による入学時から卒業までの一貫した修学支援体制を構築しております。新入生諸君に対して、常時ミーティングを行うなど、高校から大学への移行期の就学環境上の諸問題の解決を含め、その成長に見合った適切な助言・指導によって、その後の「自学自律」の実現に結びつくよう援助支援をすることになっております。諸君はこの支援体制を大いに活用して、学生生活を実りあるものにしてください。
 しかし、どのように環境が整っても、世の中がどんなに進歩し、便利になっても、勉強する、学ぶという人間の行為に王道はありません。楽をして学べるようになったというわけではありません。パソコン、インターネットなど学ぶための手段や道具はたいへん進歩し、便利になりましたが、われわれが行う、学ぶという行為は、何百万年か前、人類が知能を持ち始めた時から不変です。物事に疑問を持ち、好奇心を抱き、視覚、聴覚など五感をフル稼働して情報を収集し、思考し、時には実験を行い、その真実に迫ろうとして、学びが始まります。多くの人々の長い間の努力と試行錯誤や失敗の繰り返しの中から、新しい発見や発明があり、その継承、蓄積が今日の社会の姿なのです。
積極的に参加し 汗を流す努力を
 昨年は日本人の科学者4名がノーベル賞を受賞し、たいへん話題になりました。しかし、このような先進的な研究に携わり、成果を上げるためには、基礎学力抜きでは考えられません。諸君がやがてそれぞれの専門分野に進み、卒業研究や大学院、あるいは社会に出てから成果を上げるためには、来週から始まる数学、物理、化学や語学などの基礎学力がとても重要です。広い一般教養に裏打ちされた基礎学力をしっかり身につけ、その上で自ら問題を見つけ、自ら問題を解決できる力を養うことが肝要なのです。これが建学の精神の「自学自律」ということです。
 そこで、諸君がこれらの千葉工業大学のカリキュラムを有効に活用して、大学生活を実り多いものにするために、今から諸君に心がけてほしい事項3点について述べます。
 第1は「見る生活から参加する生活へ」ということです。
 現代社会でわれわれは、テレビ、ゲーム、インターネットや携帯電話のような仮想現実、仮想社会に取り囲まれて生活しております。実は、ただ見ているだけなのにテレビの中やインターネット上の出来事と現実の境があいまいになり、あたかも自分が主人公で実現したかのごとき錯覚に陥りがちです。このいわば観客型生活から抜け出して、全てに積極的に参加し、汗を流すことが必要なのです。大学では指示待ち人間、いわゆるお客さんでは何も得ることができません。
 2番目は健康です。
 心身が健全でなければ、全てのことはうまく運びません。諸君の生活環境は昨日までとは大きく変わります。大学は自由が多い半面、自己管理に注意を払わなければ、成人病の予備軍ということになりかねません。あまりにも基本的と思われるかもしれませんが、早寝、早起きの生活のリズムを大切にし、健康管理には十分注意してください。
 第3は友人です。
 社会に出てからでは、なかなか友人も得がたいものです。友人を得るには、自分がよき友人になるよう心がけることが大切ですが、学生時代に講義、研究、あるいは課外活動などを通じて、多くの仲間と接触し、切磋琢磨するうちに巡り会った真の友人は、今後の長い人生において何物にも代えがたい貴重な宝です。
 以上、積極参加、健康、友人とごく当たり前のことについて述べましたが、これら当たり前のことが実行できれば、諸君の学生生活は必ず満足できるものになると思います。早速、本日から実行に移してみてください。
 さて、ご父母の皆さま、私ども千葉工業大学の教職員一同は、社会や皆さまの期待に応えるために、本学の教育力を駆使し、学生の出口保証、すなわち卒業時の質の保証を行うべく、誠心誠意努力を惜しまない所存でございます。今後とも千葉工業大学への一層のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、新入生諸君、指示待ち人間にならないで、失敗を恐れず、自分で考えて行動できる21世紀型の人間を目指して、学部、大学院のそれぞれの課程で、また、サークル活動を通して、楽しく実り多い学生生活を送ってください。
 きょうから諸君の笑顔がキャンパスいっぱいに あふれることを期待し、式辞といたします。
バスハイクへの参加を呼びかける学友会のメンバー 部員勧誘の一コマ
バスハイクへの参加を呼びかける
学友会のメンバー
部員勧誘の一コマ
   
千種寮生が校歌で新入生を歓迎 式場前での記念撮影
千種寮生が校歌で新入生を歓迎 式場前での記念撮影