2007.6.15
2面

市川工業の生徒、新校舎建設現場見学


高大連携事業の一環で72人参加
現場係員から説明を聴く生徒たち
現場係員から説明を聴く生徒たち
 千葉県立市川工業高校の建築科3年生72人が、5月24日(木)に千葉工業大学津田沼校舎で新校舎建設現場見学を行った。
 本学は3年前に、県内の工業系高校11校と県内外の7私立大学と「千葉県工業系高大連携加盟校間における連携教育協定」を結んでおり、市川工高も連携事業の一環として参加している。
 林祐介教諭に引率されて参加した生徒たちの主な目的は、現在進行中の新校舎建設現場で、特に建て方の段階の見学だった。早速、午前10時から4班に分かれ、三井住友建設の中田悦夫所長から、工期や用途を始め、実際に使っている基礎工事の図面、高層棟建方要領図、工事の工程表を見ながら説明を聞いた。実際に工事現場にも入り、生徒たちは写真を撮り現場の人達に積極的に質問していた。
 このほかに6号館や8号館では、林友直附属総合研究所教授から「鯨生態観測衛星『観太くん』」の講演を聴き、実物の衛星も見学した。また、工作センターでは石坂久夫工作センター課長から説明を聞いた。
 建設現場を見学した生徒は、「親切にいろいろ教えていただき、良い経験になりました。早く完成した姿を見たい」「SRC造の建設現場を身近に見たのは初めて。質問にも易しく答えてくれて楽しく見学できた」「高層の建物だったので大きなクレーンや大型作業車などを見て良い経験になりました」「皆が一つになって一つの建築物ができるという素晴らしさを実感しました」など多くの感想が寄せられた。
建設現場を見学する市川工業の生徒たち
建設現場を見学する市川工業の生徒たち

物質科学フォーラム


初の学術講演会開く
山口教授(左)から紹介される亀山教授
山口教授(左)から紹介される亀山教授
 附属総合研究所の平成19年度助成研究に申請している「物質科学フォーラム」(代表・雀部實機械サイエンス学科教授)の学術講演会が5月12日(土)、津田沼キャンパス5号館6階大会議室で開かれた。
 人間の生活基盤を構築するためには材料開発が重要だが、このフォーラムはその開発の根幹となる物質科学の教育と研究の将来について検討することを目的としている。講演会はフォーラムのキックオフとして位置づけられた。
 講演会は2部構成で、第1部は本学からの情報発信として、非金属系教員でフォーラム構成メンバーである8人の研究内容を、山口達明生命環境科学科教授が紹介した。
 第2部は世界の研究情報紹介。「これからの物質・材料開発の方向」と題して亀山哲也名古屋工業大学教授(独立法人・産業技術総合研究所、産学官連携総合コーディネーター)が講演した。
 同教授は、第3期科学技術基本計画に基づく国の材料戦略の内容とその動向について報告。同時に、亀山グループの高齢者用人工股関節用素材の開発について研究内容を紹介した。
 教員、大学院生、学部4年生ら75人が熱心に聴講、好評のうちに終わった。次回は8月3日(金)に予定されている。

「人間・ロボット共生社会論」(1)


招待講師の講義 小野晋也衆議院議員
 芝園校舎1011教室に大きな声が響き渡る――5月14日と21日の昼過ぎ、工学部未来ロボティクス学科の1、2年生に対し、小野晋也衆議院議員が「人間・ロボット共生社会論」と題して講義を行った。同学科の「ロボティクス概論I」の一環で、ロボットを多角的に研究するため外部から講師を招くシリーズの第一弾だ。
未来ロボティクス学科の授業で「壮大な夢」を語る小野晋也議員 小野議員の自作画
未来ロボティクス学科の授業で
「壮大な夢」を語る小野晋也議員
小野議員の自作画
「夢出せ!知恵出せ!元気出せ!」

ロボット通の国会議員
 小野氏は1955年愛媛県生まれ、東大工学部航空工学科卒、同修士課程修了。ロボット政策推進議員連盟の代表幹事として産業育成に尽力する国会きってのロボット通。
 同氏はまず、2001年に行われた「ロボフェスタ」の理事長が未来ロボティクス学科長の中野栄二教授で、小野氏は提唱者だったことを紹介。そして、ロボットがなぜ「希望」なのか、その壮大な夢を語った。
 初めにいくつかの“真実”を挙げた。資源も土地もない日本の繁栄を支えてきたのはもっぱら技術力であること。アンケートによると、技術者を「暗い、ダサい、もてない」と考える人が多いこと。一方、ロボットコンテストに集う青少年がとても明るいこと。若い世代が希望の象徴でなければ、その文明はいずれ衰退するというのが人類の歴史であること――。
 日本の豊かさの源を担ってきたのは技術者なのに、その存在が低く見られていることには我慢できないと言う。スポーツのスターは心を豊かにしてくれるのだろうが、ほんとうに国を支えるのはいいものを作ろうと努力している人たち。そこに光を当てたいと述べた。
 次いで本論に入る。小野氏によると、人間・ロボット共生社会は、今まだ見えておらず、ロボットはもっぱら工場内の道具の役割が中心。日本は圧倒的に世界をリードしているという。しかし、技術進歩を見ていると、数年内には、ほんとうの共生社会の方向性が見えてくると言い切った。
 愛知万博のテーマは「自然との共生」だったが、もう一つのテーマは「ロボットとの共生」で、展示を見て多くの人が生活の中のロボットを実感したのではないか…と小野氏は言う。近々高性能ロボットが家庭に送り込まれるはずだとも述べた。
10兆円規模の産業に
 昨年、ロボット政策推進議員連盟が発足し、2015年までにロボット関連産業を10兆円規模(現在7千億円)に育てることを目標に掲げた。決して夢物語ではないと小野氏は強調。学生たちに「良いロボットを生み出す力を大学で培ってほしい」と呼びかけた。
 かつてのコンピューターのダウンサイジング化の時期と同様、ロボットの世界にも今や安価なキットが現れ、誰でも取り組めるようになっている。ロボット界のビル・ゲイツを目指せと激励した。
 小野氏によると、21世紀は人間とロボットが共生する時代だ。今までの社会の「改良」ではなく、新しい道具としてのロボットと共に「新しい文明社会」(新大陸)を興すべきである。これは、人間が理想の姿を描き、それを基に社会のあり方を考えるという世界だ。
 新しい文明を構成する要素として、(1)道具(技術等)(2)社会システム(法律等諸制度、組織)(3)思想(どんな社会を理想と考えるか)があり、この三つが一つにならないと新時代は拓けない。人類の歴史を見ると、初めに農業革命(採集から食糧を栽培する暮らしへ)、次に産業革命があり、そこでは内燃機関、人口の都市集中、ピューリタン思想の三つが一体になって社会を変えた。
希望のない社会変えるには
 今の社会は希望がないとも言われるが、これを変えるにはどうするか。まず技術で、ロボットという道具を自由に使えるようにすること。次に社会システムで、ロボットに対応した社会ルール(法律など)を整えること。人間・ロボット共生社会がどうあるべきかという思想を確立することも必要だという。
 ここで、「小野道風と蛙」の話(日本の三大書家のひとり・道風が、柳の枝に飛びつこうと努力して最後に成功する蛙の姿を見て、自身も頑張るという故事)を得意のイラストでわかりやすく紹介。それによると「私たちが取り組むべき課題」として(1)柳の枝=明確な目標の設定(2)蛙=主体的行動者の育成(3)地面=社会的インフラ整備(4)道風=国民的共感・理想の共有――がある。
 小野氏が声を一段と張り上げたのは「夢出せ!知恵出せ!元気出せ!」と呼びかけたとき。夢は個々人が描く目的(何をやりたいか)、知恵は夢を実現する道筋(良いやり方ができているか)、元気は夢を実現するエネルギーを生み出す力(心の響き合い)を指す。
 14日は「人生頑張れ」と激励する講義になったようで、自作の「夢追い人への応援歌」を熱唱するおまけも付いた。
(次号につづく)


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