2007.4.15
2面

平成19年度入学式 本岡誠一学長式辞


学問に王道なし、目標に向け努力を
大勢の父母が見守る中、力強く宣誓する並木君 本岡誠一学長
大勢の父母が見守る中、力強く宣誓する並木君
「師弟同行」「自学自律」
 新入生諸君、入学おめでとう。
会場にご臨席のご父母の皆様にも、衷心よりお祝い申し上げます。桜も開花し、若葉の萌えいずる素晴らしい春の季節に、この様に大勢の新入生を迎えて、盛大な入学式を挙行出来ますことは、私ども千葉工業大学教職員一同、この上ない喜びとするところでございます。
 本日の入学式には、工学部が機械サイエンス学科、電気電子情報工学科、生命環境科学科、建築都市環境学科、デザイン科学科と未来ロボティクス学科の6学科合計1714名、情報科学部が情報工学科、情報ネットワーク学科の2学科合計347名、社会システム科学部が経営情報科学科、プロジェクトマネジメント学科の2学科合計312名で、3学部合計2373名の学部新入生を迎えております。また、大学院は、修士課程が、工学研究科、情報科学研究科、社会システム科学研究科合計226名、博士課程は同じく3研究科合計12名です。
 新入生諸君、諸君が今日から学びの場として選んだ千葉工業大学は、第二次世界大戦中の昭和17年に創立し、今日まで65年間に6万5千余名の卒業生を世に送り出してきました。現在は、先ほど紹介致しました様に、工学部、情報科学部及び社会システム科学部の3学部とそれぞれの研究科に大学院の修士課程、博士課程が在り、在学生総数9700名が芝園、津田沼の二つの校舎で学んでおります。学部新入生諸君は2年間芝園校舎において主として教養教育、基礎教育の課程を修めて、3年生から津田沼校舎で専門課程を学ぶシステムになっております。
 また、千葉工業大学では、専任教員は言うに及ばず、さらに非常勤の先生方、他の教育機関や産業界と幅広く連携しながら日夜を問わず、機械、エネルギー、エレクトロニクス、情報、建築はじめ環境、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、材料、デザインから社会システムなど人間の営みに関する事まで、つまり、ハードウェアからソフトウェアまで非常に幅広い工学分野 の先進的な科学技術の教育・研究を行っております。
 また、わが国の大学としては一番早く、平成14年12月に小型人工衛星「観太くん」を打ち上げました。観太くんは今も800キロメートルの上空、南北の極軌道を飛び、貴重なデータを送り続けております。また、平成15年7月に、「未来ロボット技術研究センター(fuRo)」を設立し、未来ロボットに関する先進的な研究を行っております。
 この千葉工業大学の教育・研究の基本は、建学の精神にあります。この建学の精神には、知育・徳育・体育のバランスの取れた素晴らしい理念が謳われており、現在、私達はこの建学の精神の中でも、特に「師弟同行」「自学自律」ということを強調し、実践しております。このことを簡単に申しますと、大学における学習・研究と言う、先生と学生が一緒になって行うきめ細かな協同作業を通じて、現代の激しく変化する科学技術に対応できる、しっかりした基礎学力をもった創造性豊かな人材の育成をすると言うことです。
基礎学力の修得を支援
 さて、諸君はそれぞれ、具体的な夢、希望、目的を持ち、大学へ入学されていると思いますが、それらを一言で言いますと、「学ぶため、教育を受けるため」と言えるのではないかと思います。人生を旅に例えると、高等学校までは旅に必要な基礎体力を付けることに主眼を置いて来たのですが、今からは自分を知り、時代を知り、社会全体を見て、具体的な旅の目的を定め、旅する地方つまり専門分野の知識をしっかり身に付け、人生と言う旅を楽しく成功裡に進めるための旅行地図を作り上げること、これが大学で学ぶことの意義だと考えます。
 ところで、諸君が生まれ育って来たこの10数年は、日本の社会は大きく、急激に変化し続けております。諸君もご存知と思いますが、現在続いている変化は、一般的には、グローバル化、世界の平準化などの言葉で説明されております。実際には世界単一市場経済が実現し、食べ物をはじめ、諸君が愛用している携帯電話、自動車や生活用品に至るまで、私達の生活は世界中のあらゆる国々で生産された商品で溢れております。IT革命や交通機関など科学技術の発達によって、世界中の国々の政治、経済や人の交流が密接になり、全てのことが同時進行する様になって来ました。この様な急激な転換期に、しっかりした正確な地図を持たずに、旅に出たのでは、混乱の中に浮遊してしまい、旅の目的地に辿り着くことは難しいでしょう。
 しかも変化の早い現代では、一度入手した地図は、常に更新、つまりバージョンアップし続ける必要がありますが、先ず基本となるバージョンを作り上げること、これが今日から始める大学生活の目的であることをしっかり認識して下さい。
 ところで、世の中は豊かで大変便利になりましたが、我々が行う「学ぶ」と言う行為もまた楽に、便利で簡単に出来る様になったと言う訳ではありません。学びの本質は何時の時代でも変わりません。諸君がやがてそれぞれの専門分野に進み、卒業研究や大学院、更に実社会で旅を楽しく続けるためには、先ずは、明日から始まる数学、物理、化学や語学などの教養基礎学力がとても大切なのです。
 新入生諸君の中には、高等学校での教育課程の多様化や入学試験の多様化のために、これらの教養基礎学力修得のためのトレーニングが必ずしも十分でない学生もいるかも知れません。本学では、これらの基礎科目について、十分理解して次に進める特別なプログラムを用意しております。これらのプログラムが必要な諸君は、積極的に参加し、自己研鑚に励んで下さい。
 更に今年度から、新しい試みとして、新入生諸君全員を12〜13名程度の少人数に分けて、各グループに専門各学科の先生が一人ずつ付き、基礎学力の修得や、いわば人生旅行プランや旅行地図の作成を積極的に支援するプログラムを用意致しました。これらのプログラムの詳細や受講方法は、ガイダンスやオリエンテーションを通じ、クラス担任や各学科担当者から詳細な説明があります。よく主旨を理解し、有効に活用して下さい。
 この様に、千葉工業大学では、厳しい世の中の変化に対しても、十分対応できる基礎学力のしっかりした人材を育成する事が出来るプログラムを準備し、実践しておりますので、諸君は安心して、先ず第一歩を踏み出して下さい。
自ら学ぶ姿勢が大切
 しかし、先に述べました様に、学びに利用する道具は便利になっても、学ぶと言う行為は世の中の進歩や便利さとは関係ありません。諸君は、今から新しいことを学ぶ訳ですから、自ら学ぼうとする姿勢が大切です。限られた時間で所定の課程を修めるためには、それぞれ自分の個性に合った、地道な努力が必要であり基本になります。今までは家族や学校の先生の指示に従って行動する、いわゆる指示待ち人間だった人もいるかも知れませんが、今からは自主的、主体的に生活し、行動することが極めて重要になります。そのために必要なことは、まず第一に健康管理、第二は計画、第三がコミュニケーションです。
 第一の健康管理については、説明が不要かも知れません。心身が健全でなければ、全てのことはうまく運びません。十分な睡眠とバランスの取れた食事は健康のために欠かせません。
 第二の計画と言うのは、4年間、一年毎、学期毎と言う様に、目標と計画を立てて生活すると言うことです。「光陰矢の如し」と言う諺がありますが、時の経つのは早いものです。後になって、2年間、或いは4年間何をやって来たのだろうと言うことにならない様にして下さい。立てた目標に向かって、時間を有効に使って努力を続けて下さい。継続は力なり、継続することが目標達成、自信につながります。
 もう一つはスケジュール管理です。大学は諸君を大人として遇します。従って、学生の自主性を尊重しますが、一方、実験やレポート作成など期限付きの作業も多くあります。指示待ち人間の生活スタイルから脱却して、時間の自己管理を上手に行って下さい。
 三番目のコミュニケーションについては、コミュニケーション能力が最近重要視されておりますが、あまり難しく考える必要はありません。
 諸君は、毎日「おはよう、頂きます、お帰り、おやすみなさい」と家族の間で挨拶していると思います。同様に、教室や研究室で友人や先生と大きな声で挨拶を交わして下さい。社会と言う大勢の人の中で、積極的に生きて行くためには、他人とのコミュニケーションは欠くことが出来ません。教室や研究室あるいはサークル活動などで、自分の意志や考えを正確に伝え、相手の考えや情報を正しく理解することは極めて重要です。そのコミュニケーションの取っ掛かりとなる最も基本的なことが挨拶です。また、「独り善がり」にならずに、不明な点や分からないことは、積極的に聞いたり、質問する姿勢がとても大切です。
 以上、ごく当たり前のことを3点述べました。これらのことが実行出来れば、諸君の学生生活は必ず、開けて来るはずです。早速今日から実行に移して、若々しく活力に溢れる学生生活をスタートさせて下さい。
 さて、ご父母の皆様、人生の多感な成長の一時期、ご子弟の教育をお引き受けすることに大変責任を感じ、身の引き締まる思いでいっぱいです。皆様のご期待に応えるべく、誠心誠意努力を惜しまないつもりでございます。今日こうして入学式で一同に会した新入生諸君全員が、それぞれの課程を見事に修了して再び一同に会する日の来ることを切に望んでいます。ご父母の皆様におかれましても、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 最後に、新入生諸君、学部、大学院のそれぞれの課程で、またサークル活動などを通して、精一杯情熱を傾け、悔いのない楽しく実り多い、学生生活を送って下さい。明日から、諸君の笑顔が、キャンパス中に溢れることを期待して式辞と致します。


歓迎の言葉を贈る大原章君 校歌で新入生を迎える千種寮寮生 入学式を知らせる電飾看板 本岡誠一学長
歓迎の言葉を贈る大原章君 校歌で新入生を迎える
千種寮寮生
入学式を知らせる電飾看板 入学の喜びを満面に


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