2007.4.15
3面

豊田耕作理事長祝辞 原勇記常務理事代読


私立の工業単科大学では最古の歴史
豊田耕作理事長

 新入生諸君、ご入学おめでとう。
 ご列席のご父母の皆様にも心からお慶び申し上げます。
 さて、既に7年目を迎えた21世紀は「知識基盤社会」であるといわれ、知識・学問への要求が大変強い時代であります。そして、科学技術の進展には目を見張るものがあり、日本政府として「科学技術創造立国」を大方針に据えていることは、皆様よくご存知の通りであります。また、私達の住んでいるこの地球も「地球温暖化」現象が始まりつつあり、世界各国が手を取り合って何らかの対策を考えなければならない事態に近づきつつありますことも、マスコミ報道などで皆様ご承知の通りであります。
 この意味において、理工系大学ではこれらに役立つ基礎教育に一段と奮起しなければならないと覚悟を新たにしているところであります。
 ここで私は、諸君が入学されたこの千葉工業大学の沿革について一言ご説明申し上げたいと思います。
 本学の創立は1942年(昭和17年)にさかのぼります。創立に際し、日本の将来の命運を担う優れた技術者を養成するため「興亜工業大学」と命名されました。この「興亜」という名称からもお判り頂けるように、日本の国策に沿って設立されたものであり、単なる私立工業大学ではなく、国立大学に準じたもので国家の期待が大変大きかったのであります。
 現在のわが国で、創立当初から旧制大学という形で設立された工業大学は本学をもって嚆矢とするもので、本年で創立65年を迎えますことを申し上げておきたいと思います。そして、諸君の先輩に当る本学卒業生は既に6万5千余名をかぞえ、企業の第一線で活躍し、社会から高い評価をうけ、日本の経済成長をしっかり支えてきております。本日入学された諸君も、これら先輩に続くことを願って止みません。
感動の面持ちでわが子の晴れ姿に見入る父母たち
感動の面持ちでわが子の
晴れ姿に見入る父母たち
新校舎建設など再開発に着手
 さて、諸君の入学にあたりこの数年の間に本学で催した記念すべきプロジェクトをいくつかお話ししておきたいと思います。
 [1]去る2002年(平成14年)の暮れも押し迫まった12月14日、種子島宇宙センターから轟音と共に打上げに成功したHIIA4号ロケットに、本学が設計し、その一部を君たちの先輩の学生諸君ら、延べ150人ほどが協力して設計した小型衛星「観太くん」が搭載され、高度800キロメートルでロケットから切り離され、予定の軌道に見事に乗ったことであります。以来、すでに4年有余を経ましたが、今日も、明日も私達の頭上を南極と北極とを結ぶ極軌道の上を毎日14〜15回ほど周回しております。そして、この小型衛星「観太くん」の行動は、津田沼キャンパス7号館の屋上に据付けた巨大パラボラ・アンテナにより時々刻々モニターされ、その飛行状況が把握されています。
 このプロジェクトの目的は、海中に遊泳するクジラに発信器を取付け、クジラの毎日の行動を把握して神秘のべールに包まれたクジラの生態を解明することを目的として計画したものであります。毎年、何回かのクジラのシーズンをねらって発信器の取付けを試みておりますが、残念ながら未だ成功に至っておりません。しかし、これが成功すればクジラの生態が解明できるだけでなく、この技術を他にも応用することで、世界中の珍しい動物の生態調査などもできるのではないかと期待しているところであります。
 [2]次に、2003年(平成15年)6月に政府機関である科学技術振興機構に所属していたロボット研究チームをそっくり本学に移籍して、fuRoの名称をつけ新しい研究を開始いたしました。そしてこの年、12月、全く新しいコンセプトによる8本のタイヤがそれぞれ一つの独立したロボットとして、動くことができる「ハルキゲニア01」をマスコミに発表し、併せて、すでに完成していた2本足で歩く人型ロボット「モルフ3」と共に世間をびっくりさせました。
 この技術力をべースにして、文部科学省の認可を得て、新しい学科「未来ロボティクス学科」が誕生し、本年2年目を迎えることになりました。その間、災害地のガレキの中で活躍できる「チャリべえ」とか、ガレキの隙間に入りこんで人命救助に活躍できる「災害救助ロボット」も生まれ、その応用として日本家屋の床下の腐蝕などを点検できる「アイリス」などが生まれたことは、まことに喜びにたえません。
 [3]2003年(平成15年)11月、格付会社R&Iによる大学審査をうけ、その結果、本学は格付「AA−」を取得しました。そして毎年更新審査を受け、この格付「AA−」を毎年維持して来ております。このことは、本学の学内体制が将来へ向けて「発展する底力」を保有していることの証明であると考えております。
 [4]最後に申し上げておきたいことは、昨年2006年後半からスタートした魅力ある大学づくりへの新構想である「津田沼・芝園キャンパス再開発」5ヶ年計画であります。すでに工事が始まっていますので、ご存知の方もいらっしゃると思います。
 まず、芝園キャンパスに地下1階、地上8階建ての校舎を建設し、教室ほか学生諸君が軽スポーツを楽しめるようアスレチックジム、スカッシュコート、ミニバスケットなどのフロアーもつくることとし、平成20年3月完成を予定しています。津田沼キャンパスも1期工事として1号棟の工事が進んでいます。地下1階、地上20階建ての高層ビルに機械サイエンス学科と電気電子情報工学科及び未来ロボティクス学科の収容を予定し、平成20年9月完成と考えています。
 次に2期工事として津田沼キャンパスに2号棟高層ビルをつくることにより、学部ごとに建物をまとめるように考えています。以上、3つの建物により、学生諸君の勉学環境と生活環境が飛躍的に向上することを心から期待しているところであります。
 入学生諸君、先輩たち本学卒業生6万5千人が、全国津々浦々で頑張っていることを念頭に、諸君もこれら先輩に続いて立派な技術屋になるべく、本日、ここに決意を新たに勉学にいそしみ、体力を養って人格の陶冶に励まれんことを切に期待して、入学の祝辞といたします。


小柳教授のレスキューロボットデモ 早速新入生にアタックする学友会 式典の感慨を胸に退場 学長の講話に聞き入る新入生たち
小柳教授
レスキューロボットデモ
早速新入生にアタックする
学友会
式典の感慨を胸に退場 学長の講話に聞き入る
新入生たち


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