2007.2.15
3面

活躍する校友


“初代応援団長”で人間形成
旭山動物園の工事施工や車イス寄贈も
西館建設(株)社長
西館 勝友氏(62)
(昭和42年 建築学科卒業)
西舘 勝友氏
『誠意と責任感が信条』と語る西館さん
 「千葉工業大学のOBたちは母校への帰属意識を持ってほしい」とにこやかに語るのは、北海道旭川市で建築・土木の施工会社「西館建設(株)」を経営する西館勝友氏。
 大工だった父親・治三郎さん(98歳でご健在)の長男として旭川で生まれた。治三郎さんは、西館さんが物心がついた頃は大工さんの労務下請けの仕事をしていた。毎年約200人近くの大工さんが、東北地方から“出稼ぎ”として治三郎さんの元へ働きに来ていたという。幼い頃からこの光景を見ていたため、「言い方は悪いが、“私は子どもの時から飯場(はんば)育ち”」と冗談ぽく笑う。
父親の後ろ姿見て育つ
 一人っ子で、父親の後ろ姿を見て育ち、道立旭川北高校から本学建築学科に進んだ。「当時の入試科目の中に英数理のほかに、得意科目の社会科が含まれていたからだった」と言う。
 入学と同時に西館さんは応援団に入部した。だが、当時の応援団は同好会程度の活動。「きちんとやらねば…」という気概の西館さんには馴染まなかった。そこで、西館さんは「自分たちは厳しくやっているのに…」と、2年生の時に先輩たちを追い出した。3年生で実質的初代の応援団長となり団員も増えた。4年生になると、弱いと言われた硬式野球部が頑張って、神宮球場への出場を決めたため、応援団の中に吹奏楽部をつくり、団員は100人以上に膨れ上がった。「楽器はお金がかかるので、当時の川島正次郎理事長にもお願いしました。神宮球場に行きましたよ」。丁寧で穏やかな話し方で、元応援団長らしくない。
 その頃は、北海道や九州からの入学生が多く、4年生の夏休みには、郷里の旭川市内で応援団合宿を張った。団員も90人が参加、旭川駅前から団旗を立て、派手にパレードして地元の人を驚かせた。
 就職は、大学で指導を受けた羽倉弘人教授の紹介で札幌の建設会社「石山組」へ。面接を受けた翌日には採用通知の電報が来て、西館さんを感激させた。だが、自分で建設会社を立ち上げようと3年間勤めて退職した。退職理由は「父の体の具合が悪いので…」だったが、事情を知っていた会社の専務からは「何時戻って来てもいい」と声を掛けられるほどだった。
あいさつに気持ち込めて
 そして、25歳の若さで西館建設を興した。仕事の上で最も印象に残る出来事は、「開業間もない12月ごろ、金額の大きな仕事があり10数社の指名に入りましたが、見積提出後まだ営業不慣れのため他社より遅れて一番最後に挨拶に寄って『よろしくお願いします』と腰を90度に曲げてあいさつしました。すると、そこの社長さんが『土建屋はあいさつができない人が多いが、あなたのあいさつはとても丁寧でした』と感激されて、その仕事を任せてくれたんですよ」と昨日のことのように語る。4年間の応援団活動は決して無駄ではなかった。
 西館建設は、昨年、今年と北海道庁の建築「Aランク」の指定を受けた。いま話題になっている旭山動物園内の“ふれあい動物舎”の工事も請け負った。
母校で「遠隔キャリア教育」実現
 仕事を離れても、旭川北高校同窓会長の立場も十分に考えている。昨年10月には全国初の「遠隔キャリア教育」を実現させた。生徒の進路意識を高めてもらおうと、旭川ケーブルテレビを中継し、東京にいる同高OBがモニターを通して講師役を務め、在校生に仕事の体験談を語る。生徒からも質問ができ、有意義な教育の場になった。西館さんは「今後も続けていけたら……」と話す。
津田沼祭が待ち遠しい
 2004年から2005年、国際ロータリー100周年の時の「旭川北ロータリークラブ」の会長も務めた。体の不自由な入園者のために車イス25台を旭山動物園に寄贈した。
 もちろん、本学への思いは人一倍強い。11月の津田沼祭が近づくと気持ちが落ち着かない。「毎年、津田沼祭は欠かしたことがない。来れば必ず応援団の後輩たちに会えますからね」。今年は応援団の創立40年目。「津田沼祭に合わせていま企画を考えています」と嬉しそうに話した。
 本学の学生に対しては「いまの学生たちは、メリハリが無さすぎる。そして、あいさつができない。言葉遣いができない」と苦言を呈する。
 信条は「誠意と責任感」とズバッと言い切った。
 趣味はハンディー14のゴルフと10年以上前からのソバ打ち。それに「幼い頃からやっている『書』ですかね」と微笑んだ。

技術士制度解説シリーズ-No.11-


千葉工業大学 技術士会
南澤  守(電気電子部門、総合技術監理部門)
JABEE認定と技術士
 よく耳にするけど何だか分からない、自分には関係ない、と思っている皆さんに、今回はとても大事なJABEE(ジャビーと呼びます)認定と技術士についてご紹介したいと思います。
1.JABEEとは一体何のこと?
 わが国唯一の技術者教育認定組織である日本技術者教育認定機構(JABEE:Japan Accreditation Board for Engineering Education)は、国際的に通用する技術者の育成を目的として1999年に設立されました。2001年から正式に審査・認定を開始し、2004年までの間、97高等教育機関の186プログラムを認定し、その修了生は1万8千人を超えております。
 さらに2005年6月には、技術者教育の国際同等性を相互に認め合うワシントン協定(Washington Accord)の加盟団体として認められました。
 JABEE認定された教育プログラムの修了者は、その技術力が国際的にも満足すべきレベルであること(国際的同等性)と、身につけた技術・知識や能力を国際的に保証されたことになります。したがって、広く世界で活躍できる道が開けることになります。
 このように現在では技術者教育に携わる関係者でJABEEを知らない人はいないほどまで浸透していますが、産業界、一般の人々にはまだ認知度が低いのが実情のようです。
 本学では2006年度から電気電子情報工学科の総合システム工学コースで、3年後のJABEE認証申請を目指してスタートしました。他の学科についても2007年度以降に準備が始まると聞いています。
 世界に羽ばたく技術者を目指そうとする本学学生にとって、「JABEE」はとても重要なKEYWORDであることは間違いないことです。
2.JABEE認定で何が変わるの?
(1)認定により教育の質保証
 JABEEの目的は、「統一的基準に基づいて高等教育機関における技術者教育プログラムの認定を行い、その国際的同等性を確保するとともに、技術者教育の向上と国際的に通用する技術者の育成を通じて社会と産業の発展に寄与すること」です。
 JABEEの審査に合格した教育プログラムの修了者は、技術者として技術業に就くために必要な教育を受けたものとして、国際的な保証を得たものとなります。
 JABEEが行う審査・認定は、公平姓と透明性を保つために、わが国を代表する多くの学協会等関係団体が派遣する審査員による厳しい審査を経て決定されます。具体的には、教育プログラムの内容と教育システムだけでなく、学生が目標に向かってどこまで達成したか、その成果を評価しており、教育の質保証とともに教育の改善にも期待がかかっています。

(2)認定による効果
 現在まで認定プログラム数、修了生が少ないことから、評価にはもう少し時間がかかると思われますが、コースの修了生は確実な基礎学力、問題設定力、創造性、コミュニケーション力、デザイン力などの教育の質が保証されているとみなされ、産業界が求める人材像と合致していることは確かでしょう。しかし、認定された大学のコース修了生全員が優れているとも限りませんし、この点企業の採用サイドとしては認定コースの修了生であることを加味しつつ、結局は人材評価になることはやむをえないことと思います。ただ、JABEEの認定を受けた教育プログラムの修了生は、良質で組織的な技術者教育を受けることができるとともに、「技術士第一次試験が免除され、修習技術者の(技術士補の登録ができる)資格が付与される」「海外の大学での取得単位の互換が可能」「海外の資格試験の受験などが可能」などのメリットがあります。特に技術士1次試験の免除は大きな資格取得上のメリットであり、技術士への第一歩となります。
3.JABEE認定と技術士との関係
 技術士については、このシリーズで何度も解説してきましたが、おさらいしておきます。技術士制度は、文部科学省が所管する、優れた技術者の育成を図るための国による技術者の資格認定制度です。
 技術士は、技術士法に基づいて行われる国家試験(技術士第二次試験)に合格し、登録した人だけに与えられる名称独占の資格です。すなわち、技術士は、「科学技術に関する技術的専門知識と高度な応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため高い技術者倫理を備えていること」を国によって認められた技術者であり、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格です。
 2004年4月、JABEEが認定したプログラムの修了者は、文部科学大臣の指定を受けて技術士の第一次試験が免除されることになりました。いわば国から「第一次試験の合格と同等」であることを認定してもらえるので、今後多くのJABEE認定プログラム修了者が技術士を目指すことが期待されています。
4.これからの技術者教育への期待
 JABEEは教育の改善のためのツールを提供しているに過ぎないとの見方もあります。しかし、プログラムヘの取り組み方は多種多様であり、主体的にかつ自主性を重んじたやり方が望ましく、また技術と社会との関係など、実務的視点を教育に取り入れていくことも必要であろうと思います。このようなことが、これからの大学の評価につながっていくような気がします。
 JABEEについてもっと知りたい方は、日本技術者教育認定機構(JABEE)のホームページをご覧ください。
http://www.jabee.org/
【電気工学科 昭和50年卒業】
問い合わせ先:千葉工業大学 技術士会事務局長:南澤 守
(携帯)090-8815-2504 e-mail:pe39962minami@d3.dion.ne.jp


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