2007.2.15
2面

松田さん ポスター賞受賞


―極限環境微生物学会 2006年度年会―
賞状を手に喜びを語る松田さん
賞状を手に喜びを語る松田さん
 過酷な環境下にいる微生物を通じて生命を探求する研究者の集まり「極限環境微生物学会」の2006年度年会(昨年11月)で、本学大学院工学研究科生命環境科学専攻の松田崇志さんが「ポスター賞」を受賞した。同賞は年会のポスター発表の中で特に優れたものに与えられるもので、受賞対象は「超好熱性古細菌Pyrococcus furiosusのSRPの構造と機能の解析」。
タンパク質の工業的生産にも貢献
 指導にあたった河合剛太教授(工学部生命環境科学科)は、松田さんの論文内容と受賞について「タンパク質の中には、細胞の中で働くものと、細胞の外で働くものがある。細胞の外に分泌されて働くタンパク質の多くは、その末端に分泌シグナルと呼ばれる領域があり、それをシグナル認識粒子(SRP)が認識して、細胞の外に分泌させる。SRPは、RNAとタンパク質という生体高分子の複合体であり、今回の研究では、その複合体形成のメカニズムを明らかにするために、核磁気共鳴(NMR)法などによる解析を行った。今回の研究対象は、超好熱性古細菌の一種であるPyrococcus furiosusのSRPで、80℃以上という生物にとっては超高温で働くことができる分子である。SRPは、高い熱安定性を持っているが、実は、SRPに含まれるRNAだけでは不安定で45℃くらいで構造が緩んでしまうが、SRPに含まれるタンパク質の一つであるSRP19タンパク質が結合すると、構造が安定化することがわかった。つまり、超好熱環境で活動する分子の熱安定化の仕組みを解明することにつながる研究が評価されたと思う」と説明している。
 超好熱性古細菌由来の生体高分子は熱安定性が大変高く、工業的な応用という点でも注目されており、この研究は、タンパク質の工業的生産の高効率化にも貢献すると期待できる。
 松田さんは「河合先生や坂本泰一先生の丁寧で的確な指導の賜物です。研究を進めてきた先輩、後輩ともども受賞を喜んでいます」と語った。

出版案内 「恋して泣ける…」は大切なこと


プロフェッショナル 仕事の流儀8
プロフェッショナル 仕事の流儀8 プロフェッショナル 仕事の流儀8
編者=茂木健一郎&NHK「プロフェッショナル」製作班
発行=NHK出版
定価=1000円+税
 なぜ「恋して泣ける技術者」をめざすのか――おや、と思わせるような見出しが目に飛び込んでくる。本書はNHK総合テレビで放映されたシリーズの一つで、主人公は本学fuRo(未来ロボット技術研究センター)の小柳栄次副所長
 番組は、時代の最前線にいる各分野のプロフェッショナルに仕事の実際や魅力、喜びなどを語ってもらうもので、キャスターは脳科学者の茂木健一郎さん。
 高校の教師を勤めたあと、40歳で研究を始め51歳で博士号をとった小柳さん。世界コンテストで2連覇を果たしたレスキューロボットには、自然災害の現場での多様な働きに大きな期待が寄せられている。「人が使い、人の命に関わる技術だから機械のことばかり考えていてはいけない。人の気持ちがわかってこそいいロボットがつくれる」――「恋して泣ける」の意味だ。
 新潟中越地震の現場での経験から学んだのも、「人が使う」ことをしっかり認識してロボットをつくることだった。
 このほか、部品は一つひとつ手づくりしていること、最先端のパーツでなくいつでも手に入るものを使っていること、いい失敗はできるだけたくさんして明日につなげたいと考えていること――などが語られる。
 「自分たちのロボットが実際に救助活動に使われ、成果を上げること」が小柳さんの究極の目標だそうだ。

機械サイエンス学科 創造演習競技会でロボット競技


「もの作り」のプロセスを経験
ロボットの動きに一喜一憂する学生たち
ロボットの動きに一喜一憂する学生たち
 本学機械サイエンス学科の1年生(創造工学演習1・2)を対象にした「創造演習競技会」が、昨年12月20日(水)芝園校舎クラフトハウス2階で午前と午後の部に分かれて行われた。同競技会は、機械工学科時代から数えると11回、機械サイエンス学科になってから4回目の開催となる。
 同学科は創造プロセスの中で各専門科目の基礎的知識がどのように役立つのか理解できるようにと「もの作り」を課題(機械工学コース)としている。競技会は「壁に囲まれた所定の領域内に置かれたピンポン球を自陣のゴールに搬送するロボット(2機対戦方式により搬送個数を競う)を製作する」というもの。
 グループに分かれての競技で、午前の競技優勝は1班グループ、午後の競技優勝は12班グループだった。1班グループの西村健志君は、高校時代(長野県松本工業高校)には、マイコンカーラリー(手作りの完全自走式マイコンカーのレース)でも全国のベスト8という好成績を残している。また、この競技会は、競技の成績だけでなく、アイデア・デザインともに優秀なグループに贈られる最優秀賞も設けられ、同賞は午前の部で競技優勝を果たした1班グループが手にした。全体の成績結果は別表のとおり。
 競技終了後、創造工学演習について、機械サイエンス学科長の船見国男教授は「小中高時代には学ばなかった発想から設計・製図、そして製作と『もの作り』における一連のプロセスを経験したことは大きな財産となる。社会ではグループで作業することは当たり前で、本講義の経験を糧にしてほしい」と語っていた。
「創造演習競技会」結果

海外留学で国際感覚磨こう!


体験談や留学生から学ぶ 留学準備説明会
 海外留学で異国の文化に触れ、国際感覚を磨こう――と、国際交流委員会(委員長=上原勝教授・デザイン科学科)主催の「留学準備説明会」が1月23日、津田沼校舎6号館622教室で開かれた。

 はじめに上原委員長から、これまでの本学の留学の実績と留学制度について説明があった。続いて、本学学生で、コンピエーニュ工科大学(フランス)に留学経験のある太和田亜希世さん(大学院情報科学専攻修士2年)と青木由里子さん(大学院デザイン科学専攻修士2年)が体験談を披露した。
 太和田さんと青木さんの2人は「なぜ留学したか」「留学して得られたこと」などを語り、「とにかく自分から行動することが大事です」と聴講者にアドバイスした。
 このあと、本学に留学している呉鎮峯さん(台湾)、楊華さん(中国)、黄興臣さん(中国)、ニコラ・レイノーさんとクレマン・ブランデンビュルジュールさん(ともにフランス)が、自国の文化や歴史、日本の大学生活で感じたことなどについて発表した。
フランスからの留学生が自国を紹介
フランスからの留学生が自国を紹介


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