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2022.10.15

松崎教授 イグ・ノーベル賞


「人がつまみを回す際、効率的な指の使い方」
 デザイン科学科の松崎元教授らが「円柱形つまみの回転操作における指の使用状況について」の研究でイグ・ノーベル賞「工学賞」を受賞した。日本人のイグ・ノーベル賞受賞は16年連続。ふだん意識しない、つまむ動作の規則性に着目した研究に対するもので、松崎教授は「これを機に無意識の行為を研究する若い研究者やデザイナーにもっと注目が集まることを期待しています」と受賞の喜びを語った。
院生当時の研究指導の元4教授と
 同賞を主催する米国の科学雑誌によれば、松崎教授らへの授賞理由は「人間がつまみを回す際、最も効率的になる指の使い方の解明に挑戦したこと」。
 松崎教授は本学の大学院生だった1997年当時、自宅や大学にある水道の蛇口を見て「すべて手のひらサイズで直径はほぼ同じ。しかし、それぞれ形状や溝の位置は違う。デザインした人たちは何本の指で動かすことを想定したのだろう」と疑問を抱き、こうした人とモノの関係をグラフや数式で表すことで、デザインに役立つ資料になるのではないかと考えた。
 実験では、直径が異なる45本(直径7〜130ミリ)の木製の円柱を用意し、被験者32人につまんで回してもらった。この動作を動画撮影した上で画像を解析し、つまみの太さと使う指の本数との関係や指の位置との関係を詳細に調べた。
 その結果、直径が10ミリ未満では2本の指で回す割合が多いが、10〜11ミリでは2本と3本の割合がほぼ半々になった。また、それ以上大きな直径では3本指の割合が増え、90ミリ以上ではほぼ全員が5本指で回すことが分かった。
 指の本数と同時に、円柱に触れる際の指の位置なども明らかにし、松崎教授の修士論文としてまとめられ、今回共同受賞となった指導教員4人と連名で99年に発表された。研究成果は取っ手やつまみ、ふたなどを設計、デザインする際に役立つとしている。
多額の研究費 かけなくても
 受賞賞金は、今は無価値の「10兆ジンバブエドル紙幣」。トロフィーは紙製の円筒。4月に、候補選出に関する英文メールが突然届き、半信半疑のまま授賞式を迎えた。受賞のニュースが流れると、同窓生や知人などから次々とお祝いの連絡が寄せられ、驚きを隠せない様子。
 松崎教授は「身の回りでは、レバー式や非接触の操作も増え、「回すタイプ」は時代遅れな気もするが、着眼点を評価してくれたのはうれしい」と話している。また、多額の研究費をかけなくてもできる研究があることを学生に示せたのでは……と、教員の立場からも受賞の喜びを話している。
イグ・ノーベル賞授賞式で松崎教授(右下)=9月16日©Improbable Research
イグ・ノーベル賞授賞式で松崎教授(右下)=9月16日©Improbable Research
イグ・ノーベル賞
 1991年にノーベル賞のパロディーとして米科学雑誌が始めた賞。「人を笑わせ、そして考えさせる研究」に贈られる。ちょっと変わっているように見えて、想像力に富んだものを表彰し、人々の科学、医学、技術への関心を高めることを目的としている。授賞式は毎年9月に米ハーバード大で開催されているがコロナ禍のため、9月16日にオンラインで発表された。
共同受賞者
 当時院生だった松崎教授の指導に当たっていた大内一雄、上原勝、上野義雪、井村五郎の本学元教授4氏。

来場100万人 達成


スカイツリータウンキャンパス

 本学の東京スカイツリータウンキャンパス(都内墨田区押上)は9月23日(金・秋分の日)に、来場者100万人を達成した。
 東京スカイツリー開業を控え、一角に未来体験スペースを計画した千葉工大は2012年、ツリー直下のソラマチ8階にスカイツリータウンキャンパスとしてエリアⅠ(ロボット技術・人工知能ゾーン)、14年にはエリアⅡ(惑星探査ゾーン)をオープン。最先端の科学技術を楽しめる体験型アトラクションゾーンを展開した。
 開設10年目の今年、100万人目として迎えたのは加藤正樹さん家族(千葉県在住=写真上)。記念品の贈呈式が開かれ、瀬戸熊修理事長が「100万人目、おめでとうございます。本日は楽しんで行ってください」と加藤さんに、未来ロボット技術研究センター(fuRo)のセンサー技術を使ったパナソニック製ロボット掃除機「ルーロ」が手渡された。
 加藤さんは一家4人(ご夫婦と小学5年男子、1年女子)で来訪。タウンキャンパスには2度目という。コンテンツが増えて見応えがあったそうで、小5・大誠さんは車いすレースなどをVRで体験できる「サイバーウィル」、小1・愛理さんは花図鑑アプリ「ハナノナ」がお気に入りに。
 加藤さんは「幸運に恵まれ、びっくり。高価な品を頂きうれしい。理事長から直におめでとうと言われ、恐縮しました」と話していた。
 同日は来場者と本学公式キャラクターのチバニーとのフォトセッションも企画。以後の先着600人に千葉工大オリジナルグッズが贈られた

   100万人達成のこの日、エリアⅠに新たなコンテンツが加わった。ロボカップ世界大会2022(7月11〜16日、タイのバンコク国際展示場で開催)の自律ロボットのサッカー・キッドサイズ競技で、千葉工大「CIT Brains」が3度目の世界一に輝いたことで、出場機「Accelite(アクセライト)」と、持ち帰った優勝トロフィーを公開=写真下。動画で競技の様子やロボットの制作過程を紹介している。

新型コロナ、インフルエンザのワクチン同時接種を実施 11月29日〜12月4日に(※詳細は本学ウェブサイトで)